LITALICO仕事ナビ、就労支援事業所へアンケート調査。障害者雇用の離職理由、約7割が「人間関係」に起因

株式会社LITALICO

株式会社LITALICO(本社:東京都目黒区、代表取締役社長:長谷川敦弥)が運営するLITALICO仕事ナビは、このたび全国の就労移行支援事業所(多機能型事業所含む)51事業所を対象に就職後の定着に関する実態調査を実施しました。本調査と厚生労働省の「令和5年度障害者雇用実態調査」との比較から両者の課題に関する差異、そこからの示唆をまとめましたので報告します。

働く人の離職要因が「人間関係」や「体調・メンタル不調」といった就職後の課題であるのに対し、企業の課題意識は「仕事の創出」など採用時の課題に集中しています。

一方で、企業自身も定着には「社外の専門家」が必要だと感じている実態も明らかになっており、「就労移行支援事業所」のような外部機関との連携が、この構造的な課題を解決する鍵となりえます。


働く人の課題は「人間関係」と「体調・メンタル不調」、対して企業の課題は「業務の創出」と「ノウハウ」

N=51

LITALICO仕事ナビが行った就労移行支援事業所への調査では、支援員が認識している就職後の主な離職理由として「人間関係」(68.6%)と「体調・メンタル不調」(60.8%)が特に高い割合を占めました。一方、厚生労働省の「令和5年度障害者雇用実態調査」によると、企業側の課題は「会社内に適当な仕事があるか」(約74%〜79%)や「ノウハウ不足」(約41%〜51%)など、採用段階である「雇用の入口」に集中していることが分かります 。

しかし、同調査では、企業が「雇用継続・定着のために必要としている支援」として「社外の専門家による支援」なども挙げており 、採用後の定着の段階においても課題を認識し、外部のサポートを求めていることがうかがえます。

この結果は、障害のある方は「就職後の定着」に課題を抱えている一方で、企業側の意識は「入口」に集中しているという視点の違いと、その定着課題の解決には外部との連携を求めているという、企業側の複合的な状況を示しています。


参考:令和5年度障害者雇用実態調査結果報告書


企業の障害者雇用の定着と外部機関との連携の実態

前述の通り、多くの企業が定着のために「社外の専門家による支援」の必要性を感じています。しかし、厚生労働省の同調査によると雇用継続や職場定着のために外部機関と連携している企業の割合は6〜9%と、採用時(10〜16%)に比べて低いのが現状です 。これは、定着支援の重要性を認識しつつも、具体的な連携にまでは至っていないという企業の姿を示唆しています。

この「外部機関との連携」が持つ可能性は、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)が2017年に実施した調査(就労継続支援A型、一般就労含む)でも示されています。この調査では、就労支援機関と連携した場合は1年後の職場定着率が89.3%となり、連携がなかった場合の72.7%を大きく上回るという結果が出ていました 。このことからも、就労移行支援事業所のような外部機関との連携が、障害者雇用において長期的な定着に重要であると考えられます 。

参考:令和5年度障害者雇用実態調査結果報告書

参考:障害者の就業状況等に関する調査研究

定着率を上げる鍵は「就職前後の伴走支援」にある

N=51                              N=51

LITALICO仕事ナビの調査では、就労移行支援事業所が企業とのマッチングを成功させるために、「本人の希望整理支援」(80.4%)や「面談・見学の事前調整」(68.6%)といった取り組みを行っていることがわかりました 。これらの取り組みは、企業が抱える「会社内に適当な仕事があるか」等の課題に対し、就職前のミスマッチを防ぐものです 。さらに、多くの就労移行支援事業所は就職後も「定期的な本人との面談」(90.2%)や「企業との連絡・調整」(84.3%)を積極的に行い、離職原因となりやすい「人間関係」や「体調・メンタル不調」の課題を早期に把握・対応しています 。このように就労移行支援事業所が継続的に伴走することで、本人と企業双方にとって安心して働ける環境が生まれます。

「誰もが活躍できる組織」へ。障害者雇用の持続可能性を高める支援

今回の調査、ならびに関係調査の結果を総合すると、障害者雇用の離職という課題を解決する鍵が、働く本人と企業、そして外部の支援機関という三者の継続的な連携にあることが示唆されます。

今回の調査で明らかになった、就労移行支援事業所による就職前のマッチング支援や就職後の定期的な面談といった「伴走支援」は、まさにこの連携を具体化したものです。企業の「入口」の課題と、働く人の「定着」の課題の双方にアプローチすることで、離職の背景にあるギャップを埋める役割を担っています。

特に、厚生労働省の調査で企業が「社外の専門家」の必要性を感じている点は、企業が課題を単独で抱え込むのではなく、社会全体で障害のある方のキャリアを支えていくという、新しい視点の重要性を示しています。

このような連携を通じて、個々の離職を防ぎ、誰もが安心して長く働ける環境を整えることは、本人の人生の充実だけでなく、企業のダイバーシティ&インクルージョンを推進し、多様な人材が活躍できる持続可能な組織づくりにも不可欠です。

「LITALICO仕事ナビ」は、「障害のない社会をつくる」というビジョンの実現に向け、今後も自社・他社の調査にかかわらず、障害者雇用の現場にある課題やその解決策について社会に広く発信し、全ての企業や働く人と共に考えてまいります。


調査名:就労支援の取り組みと課題に関する調査【LITALICO仕事ナビ】

調査期間:2025年5月20日〜2025年6月10日

調査対象:全国の就労支援事業所(就労移行支援、就労継続支援など)

回答数:338事業所

調査内容: 338事業所からの回答(内訳:就労継続支援B型225、就労継続支援A型68、就労移行支援51、 その他17/多機能型による重複含む)のうち、就労移行支援サービスを提供する51事業所に絞り込んで分析。

調査方法:インターネット調査


【LITALICO仕事ナビについて】

LITALICO仕事ナビ」は、障害のある方の「働く」を支援する就職情報サイトです。2018年3月のサービス開始以降、障害者雇用に特化した求人情報や、就職活動に役立つ記事、福祉事業所の情報などを提供しています。特に、合理的な配慮の項目を明記した求人が豊富で、障害のある方の就職・転職活動を強力にサポートしています。

【株式会社LITALICOについて】

LITALICOは、「障害のない社会をつくる」をビジョンに掲げ、発達障害ポータルサイト「LITALICO発達ナビ」、障害のある方の就職情報サイト「LITALICO仕事ナビ」のインターネットプラットフォームを軸に、障害分野で様々なサービスを提供しています。障害のある当事者向けサービスである、就労支援サービス「LITALICOワークス」及び、ソーシャルスキル&学習教室「LITALICOジュニア」に加え、障害のある子どもの家族向けライフプランニングサービス「LITALICOライフ」や業界全体の質向上に寄与する福祉施設向け業務支援サービスを展開しています。一般教育領域でもIT×ものづくり教室「LITALICOワンダー」を展開している他、学校現場の特別支援教育を支えるICTサービス「LITALICO教育ソフト」を提供しています。2016年3月に東証マザーズに上場、2017年3月に東証一部に市場変更、2022年4月にプライム市場に移行しました。

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会社概要

株式会社LITALICO

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URL
http://litalico.co.jp/
業種
教育・学習支援業
本社所在地
東京都目黒区上目黒2-1-1 中目黒GTタワー15F
電話番号
03-5704-7355
代表者名
長谷川敦弥
上場
東証1部
資本金
3億2968万円
設立
2005年12月