「Pairs 少子化・未婚化白書」第二弾(2022年版)発表 恋愛・結婚意欲低下の背景にあるもの/新たな出会いへ一歩踏み出すためにオンラインメディアセミナー 開催レポート
2022年10月でサービス開始10周年を迎える国内最大級(※)の恋活・婚活マッチングアプリ「Pairs」(ペアーズ)を運営する株式会社エウレカ(本社:東京都港区、代表取締役CEO:石橋準也)は、2022年9月30日(金)、「Pairs 少子化・未婚化白書」第二弾(2022年版)発表を記念し、日本の社会課題である少子化・未婚化と今後をテーマにオンラインセミナーを開催しました。※出典:data.ai(2021年1月~12月)
本セミナーは2部制で構成され、第1部はエウレカCEOによる「Pairs 少子化・未婚化白書」第二弾の概要紹介、第2部では、内閣府の男女共同参画に関する委員などを務める治部れんげ氏をファシリテーターにお迎えし、「シェアライフ」など新しいライフスタイルの提言を行っている石山アンジュ氏、人口問題と少子化・未婚化問題に詳しい河合雅司氏をゲストに迎え、トークセッションを実施しました。(各登壇者のプロフィール詳細はページ下部をご覧下さい)
この発表を受けて第1部では、このような最新の政府統計や、エウレカの独自調査など最新データを収録している「Pairs 少子化・未婚化白書」の概要を紹介、また今回の白書の注目テーマとして少子化・未婚化問題の背景にある交際の問題に焦点をあてた課題分析と、それに対するPairsの取り組みを紹介しました。第2部では、さらにそれを深堀りするかたちで、恋愛・結婚意欲低下の背景、特にデジタルネイティブ世代と言われる現在の20代、30代の交際や結婚に関する意識の変化に着目しながら、新たな時代に求められる出会いの創出、その中でのマッチングアプリの可能性などについて意見を交わすトークセッションを行いました。トークセッションの内容は次ページからご覧いただけます。
第2部:トークセッション「恋愛・結婚意欲低下の背景にあるもの〜新たな出会いへ一歩踏み出すために」
トークテーマ1:交際しない人が増えている〜恋愛離れがもたらす社会への影響
出生動向基本調査の最新データでは、「交際相手を持たない割合」が徐々に増えており、「交際相手はあえて欲しくない人」も、それに伴い増加している傾向が見えてきます。未婚化に繋がる1つ手前の問題として、交際・恋愛しない背景と、社会がどう向き合い、何ができるかについて議論しました。
河合雅司氏:時代の変遷とともに”職場での出会い”が減少、社会人になってからの恋愛・結婚の機会が減少
「最近20代男性の4割が「交際経験なし」ということがメディアでも話題になっていたが、20代男性の交際経験のない割合は、実は40年前からあまり変わっていません。いつの時代も交際が苦手という人は一定数いると思います。1980年代は恋愛ブーム期だったと思いますが、昔は結婚や交際につながる機会として、お見合いや家族や職場の人などから紹介が多くあり、そういった世の中のムーブメントがあったと思います。現在では、個人の価値観の尊重や、働き方に関する意識の変化などで、職場での出会いが減少したことが、出会いが減った要素として考えられます。それは、デート経験のない人々がそのまま年齢を重ねていくと、出会いの機会そのものが減るということです。出生動向調査を見ても、かつては多かった「職場での出会い」が近年では減少しています。社会人になってからの出会いが減ってきていることが、おのずと結婚の減少にも繋がっているのかなと考えています」
治部れんげ氏:「昔は職場でも結婚に向けて何らかの紹介などが実際にありました。かつては善意の行動でしたが今ではそういった行動はしづらくなってきていると思います。”与えてくれる出会い”が少なくなっているという社会の変化がありますね」
石山アンジュ氏:人とつながることに自信がない世代、ただ年を重ねて”気づき”のきっかけがあるのでは
「私が体現している拡張家族、シェアリングの活動の中で感じたことですが、コロナ、自然災害、何がおこるかわからないという時代には「つながり」が必要なはずですが、大変な時代だからこそ、逆に「つながりを絶つ」人も一方で増えていると感じます。背景として、人とつながることに自信がない、生まれたときから核家族、頼ることに慣れてない、などの傾向があるのかと感じます。
デジタルネイティブ世代は、あらゆることで比較することが当たり前の世代で、比較をして自分の価値を決めてしまっているのかなとも思います。SNSで自分を見せているつもりが、本当の自分ではないフェイクの感覚もあるのではと思います。つまり本当の自分を出し切れていないのかなと。ただ若者といっても世代によって違いますし、大学生と社会人でも違います。年を重ねるにつれてお金があっても、一人で解決できないことに直面したときなどに、改めて恋愛的な「つながり」が欲しいと気づく場面が出てくるのではないかと思います」
治部れんげ氏:「つながることに自信がない方が多いというのが印象的ですね。私としては自信がない部分も含めて受け入れてくれるのが恋人、家族なのかなという感覚でしたが、恋人、家族になることにも自信が必要というのが今の世代なのかなと。この世代の一部の考え方としてですが、比較して自身の価値を決めてしまうという側面もある、という部分が興味深かったです」
石橋CEO:「出会い」のあり方や意識が変化している
「出会いについて、今、社会全体で考えていかなければならないと感じます。出会いの減少というポイントでは、河合さんのご指摘のように、特に社会人になってから出会いのきっかけが減っているのだろうと。そこにマッチングアプリとして出来ることがあるのではないかと考えます」
トークテーマ2:現代の恋愛・結婚に対する意識〜今若者に何がおきているのか
トークテーマ2では、なぜ今の若い世代、20代や30代が交際に消極的になっているのか。1部で石橋CEOから、Pairsの親会社であるMatch Groupの自社調査による国際比較でも「交際しない・あるいは一度も交際したことがない人が日本人は他国に比べ多い」という傾向も紹介しましたが、現代の若者が交際しない要因として何が考えられるのかを議論しました。
石橋CEO:調査研究結果からエウレカが分析したポイント
「Pairsの自社調査や、治部様、石山様にもメンバーに入っていただいた『Pairs 少子化・未婚化アドバイザリーボード』でも指摘された内容として、交際をしない・交際のための活動をしない要因として、①交際経験の低下でどうしたらいいかわからない負のループ、② 強まるリスク回避傾向 (身近なコミュニティでの出会いを避けたい)、③価値観の変化と型にハマりたくないという意識、④一人でいるという選択肢があり、むしろ一人でもかまわない、といった4つの傾向があげられました。恋愛や結婚に対する意識や価値観が変化しているなかで、複雑・多様化する価値観を認めあって、ポジティブな面に目を向けられるような環境や情報が必要だと考えます」
河合雅司氏:自分の将来を想像できる環境、機会が減っているのではないか
「結婚後の人生がシミュレーションしづらい時代になったのかなと思います。例えば、年功序列、終身雇用であれば、会社の先輩、上司を見れば、ある一定の暮らしのモデルをイメージしやすいわけです。しかし、今の若い世代は雇用環境が変化、多様化しており、将来のイメージがしづらいことが不安要素としてあるのではないかと思われます。一方で、いずれ結婚するつもりという人は依然多く、最新の出生動向基本調査でも、男女とも8割以上が「良い出会いがあれば」という人を含めてですが、「いずれ結婚するつもり」と回答しており、結婚に対する意識は依然低いわけではないのかなと期待しています」
石山アンジュ氏:変化する個人の価値観や期待値の多様化への理解、尊重が重要
「今までに、家族イノベーションとして100人のミレニアル世代の声を聞いてきた中で、家族が担ってきた機能が変化し転換期を迎えていると考えます。パートナーを持つことに対して個人の価値観や期待値が多様化する中で、実際の交際・結婚のあり方は、依然として昭和的な昔の家族という価値観、イメージが今の若者世代には先入観としてあるのではと思います。一方で、昔と違ってテクノロジーの媒体、新しいコミュニティの在り方によって、それぞれの機能をカスタマイズできるようになったと思います。例えば家事代行や、ペアーズのようなマッチングアプリなど、サービスを組み合わせることによって、昭和的な家族観ではなく、自分なりにイメージする家族を作れる環境が作れるようになっていると感じています」
治部れんげ氏:交際や結婚に対する意識の複雑・多様化
「実際に政府統計でも、一人でいる理由は多様化していて、少しずつ変化しています。『適当な相手にまだ巡り会わないから』が最も高いのは変わってません。ただ2020年の統計結果を、2015年と比較すると「独身の自由さや気楽さを失いたくないから」「一生、結婚するつもりはないから」が大きく増えてます。一方で「今は、仕事(又は学業)に打ち込みたい」「結婚生活のための住居のめどがたたない」「経済的に余裕がない」が減少しています。つまり環境や条件の問題より、考え方や意識として「必ずしも必要ではない」と考える人の増加との関連性が見えてきます。「異性とうまく付き合えないから」という回答もかなり増えており、交際経験の低下等によるコミュニケーションの問題との関連が推測されます」
トークテーマ3:新たな世代の恋愛・結婚観とマッチングアプリを含む恋活・婚活の未来
最後は、「新たな世代の恋愛・結婚観とマッチングアプリを含む恋活・婚活の未来」をテーマに、恋愛や交際、結婚に対する感覚や意識が複雑・多様化してきている中で、恋活・婚活はどう発展していくべきか。また、これから恋愛・結婚を望む新たな世代を意識すると、その選択肢の1つとして、マッチングアプリを含むオンライン・ネットでの出会いの今後について、意見交換をしました。
治部れんげ氏:「出生動向基本調査」の最新結果で、出会いの仕方が変化している
「出生動向基本調査」に初めて「ネット(インターネット)で」が出会いの選択肢に追加され、最近の結婚の13.6%を占めたことは先に紹介されました。同調査では「結婚相手」だけでなく「交際相手」と知り合ったきっかけについても聞いているのですが、男性で11.9%、女性の場合17.9%と2割近くを占めていて、交際に向けた活動手段としてもネットが増えているのがわかります。これも踏まえ、マッチングアプリが貢献できる今後の可能性についてどう考えますか」
石橋CEO:課題に対してマッチングアプリが貢献できること
「プレゼンでもお話しした4つの課題に対してマッチングアプリ(Pairs)が貢献できると考えていることを以下、整理してお話しします。
河合雅司氏:出会いの形は、技術の進化とともに変わり、発展していく
「政府もAIを使ったマッチングを支援する方向に舵を切っています。一方で、50~60代以上では、安全性への懸念もまだ強いのかなと思います。Pairsは安心・安全に対する取り組みもなされていると思いますが、安心・安全な出会いの場を提供するための対策や周知のさらなる強化が必要だと思います。今後はマッチングアプリも含めて、出会いの形というのは、技術の進化と共に変わっていく、発展していくだろうと思います。ただ、人が人と出会うプロセスは基本的には変わらないので、人とのコミュニケーション、距離感も含めて、より良い出会いが広がればと思います」
石山アンジュ氏:多様な価値観、自分の良さの部分も、自信がない部分もアピールできる場
「マッチングアプリの良い面は、あらゆる観点から、自分の情報をシェアする事で、多様なつながりが生まれる点だと思っています。自身のポジティブな情報ばかりではなく、自信がないからこそ、自分の弱い部分もプラットフォーム上で発信できる、他のユーザー同士で寛容的になれるようなサービスになれば、さらに出会い方、恋愛観、結婚観が多様でより良いものになるのではないかと感じています」
<登壇者プロフィール>
日経BP社にて経済記者を16年間務める。ミシガン大学フルブライト客員研究員などを経て2021年4月より現職。内閣府男女共同参画計画実行・監視専門調査会委員、東京都男女平等参画審議会委員、豊島区男女共同参画推進協議会会長、日本メディア学会ジェンダー研究部会長など。一橋大学法学部卒、同大学経営学修士課程修了。著書に『稼ぐ妻 育てる夫:夫婦の戦略的役割交換』(勁草書房)、『炎上しない企業情報発信:ジェンダーはビジネスの新教養である』(日本経済新聞出版社)、『「男女格差後進国」の衝撃』(小学館)、『ジェンダーで見るヒットドラマ―韓国、日本、アメリカ、欧州』(光文社)、『きめつけないで! 「女らしさ」「男らしさ」:みんなを自由にするジェンダー平等』1~3巻(汐文社)等。
2012年国際基督教大学卒。新卒で(株)リクルート入社、その後(株)クラウドワークス経営企画室を経て現職。シェアリングエコノミーを通じた新しいライフスタイルを提案する活動を行うほか、政府と民間のパイプ役として規制緩和や政策推進にも従事。2018年10月ミレニアル世代のシンクタンク一般社団法人Public Meets Innovationを設立。実生活で新しい家族の形「拡張家族」を実践する。「羽鳥慎一モーニングショー」のコメンテーターを務めるなど幅広く活動。世界経済フォーラム Global Future Council Japan メンバー。著書に『シェアライフ-新しい社会の新しい生き方』(クロスメディア・パブリッシング)。
中央大学卒業。産経新聞社で論説委員を務めた後、現職。現在、高知大学客員教授、大正大学客員教授、産経新聞客員論説委員などのほか、厚労省や人事院など政府の有識者会議委員を務める。これまで内閣官房、内閣府、農水省などの各会議委員や政策研究大学院大学客員研究員、日本医師会総合政策研究機構客員研究員などを歴任した。「ファイザー医学記事賞」大賞、「ひまわり褒章」個人部門賞、「第80回文藝春秋読者賞」など受賞多数。主な著書に、累計90万部超のベストセラー『未来の年表』(講談社現代新書)シリーズのほか、『日本の少子化百年の迷走』(新潮選書)、『未来のドリル』(講談社現代新書)、『未来を見る力』(PHP新書)、『コロナ後を生きる逆転戦略』(文春新書)、『世界100年カレンダー』(朝日新書)、『2030年の東京』(祥伝社新書)など。
株式会社エウレカ 代表取締役CEO 石橋準也
東京理科大学入学と同時に、システム開発会社に入社。学部2年時にエンジニアリングに専念するために大学を中退。2010年に転職。IT・物流・CSの統括マネージャー及び自社Webサービスの事業責任者を務める。2013年、株式会社エウレカに入社。2014年執行役員CTOに就任。2016年、代表取締役CEOに就任。2019年4月に親会社である米国Match Groupの日本・台湾のGeneral Managerに就任し、当該地域のMatchグループ全ブランドの成長戦略を推進している。
株式会社エウレカについて
エウレカは、”人生に「あってよかった」と思ってもらえるものを。”をミッションとし、
「かけがえのない人との出会いを生み出し、日本、アジアにデーティングサービス文化を定着させる。」をビジョンに掲げ、日本で最も使われている※1恋活・婚活マッチングアプリ「Pairs」を展開しています。
内閣府調査※3によると20〜30代未婚者の約8割が結婚を希望する一方で、職場など生活の身近なところで出会う機会が減少し、未婚化・少子化が進行しています。そのような中、マッチングアプリは新しい出会いの方法として受け入れられ、急速に市場拡大しています。
エウレカは2015年よりマッチングアプリで世界最大のシェアを獲得している米Match Groupに参画し、グローバルな知見を活かして国内の未婚化・少子化解決に寄与すべく事業を推進しています。
また、すでにサービスを展開している日本・台湾・韓国以外のアジア各地域にもサービスを広げ、更なるグローバルでのシェア拡大を目指しています。
※3 平成26年度「結婚・家族形成に関する意識調査」報告書
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/research/h26/zentai-pdf/index.html
<会社概要>
所在地:〒108-0073 東京都港区三田1-4-1 住友不動産麻布十番ビル 4階
代表者:代表取締役CEO 石橋準也
設立日:2008年11月20日
事業内容:恋活・婚活マッチングアプリ「Pairs」
関連会社:Match Group(米国)
https://eure.jp/
今年9月に発表された最新の政府統計「出生動向基本調査」(5年ごと実施)では、調査開始以来初めて出会いの選択肢に「インターネットサービス」が追加され、「SNS やマッチングアプリを含むインターネットサービスを利用して知り合った夫婦が最近の結婚の13.6%を占めた」ことがハイライトされました。
この発表を受けて第1部では、このような最新の政府統計や、エウレカの独自調査など最新データを収録している「Pairs 少子化・未婚化白書」の概要を紹介、また今回の白書の注目テーマとして少子化・未婚化問題の背景にある交際の問題に焦点をあてた課題分析と、それに対するPairsの取り組みを紹介しました。第2部では、さらにそれを深堀りするかたちで、恋愛・結婚意欲低下の背景、特にデジタルネイティブ世代と言われる現在の20代、30代の交際や結婚に関する意識の変化に着目しながら、新たな時代に求められる出会いの創出、その中でのマッチングアプリの可能性などについて意見を交わすトークセッションを行いました。トークセッションの内容は次ページからご覧いただけます。
第2部:トークセッション「恋愛・結婚意欲低下の背景にあるもの〜新たな出会いへ一歩踏み出すために」
トークテーマ1:交際しない人が増えている〜恋愛離れがもたらす社会への影響
出生動向基本調査の最新データでは、「交際相手を持たない割合」が徐々に増えており、「交際相手はあえて欲しくない人」も、それに伴い増加している傾向が見えてきます。未婚化に繋がる1つ手前の問題として、交際・恋愛しない背景と、社会がどう向き合い、何ができるかについて議論しました。
河合雅司氏:時代の変遷とともに”職場での出会い”が減少、社会人になってからの恋愛・結婚の機会が減少
「最近20代男性の4割が「交際経験なし」ということがメディアでも話題になっていたが、20代男性の交際経験のない割合は、実は40年前からあまり変わっていません。いつの時代も交際が苦手という人は一定数いると思います。1980年代は恋愛ブーム期だったと思いますが、昔は結婚や交際につながる機会として、お見合いや家族や職場の人などから紹介が多くあり、そういった世の中のムーブメントがあったと思います。現在では、個人の価値観の尊重や、働き方に関する意識の変化などで、職場での出会いが減少したことが、出会いが減った要素として考えられます。それは、デート経験のない人々がそのまま年齢を重ねていくと、出会いの機会そのものが減るということです。出生動向調査を見ても、かつては多かった「職場での出会い」が近年では減少しています。社会人になってからの出会いが減ってきていることが、おのずと結婚の減少にも繋がっているのかなと考えています」
治部れんげ氏:「昔は職場でも結婚に向けて何らかの紹介などが実際にありました。かつては善意の行動でしたが今ではそういった行動はしづらくなってきていると思います。”与えてくれる出会い”が少なくなっているという社会の変化がありますね」
石山アンジュ氏:人とつながることに自信がない世代、ただ年を重ねて”気づき”のきっかけがあるのでは
「私が体現している拡張家族、シェアリングの活動の中で感じたことですが、コロナ、自然災害、何がおこるかわからないという時代には「つながり」が必要なはずですが、大変な時代だからこそ、逆に「つながりを絶つ」人も一方で増えていると感じます。背景として、人とつながることに自信がない、生まれたときから核家族、頼ることに慣れてない、などの傾向があるのかと感じます。
デジタルネイティブ世代は、あらゆることで比較することが当たり前の世代で、比較をして自分の価値を決めてしまっているのかなとも思います。SNSで自分を見せているつもりが、本当の自分ではないフェイクの感覚もあるのではと思います。つまり本当の自分を出し切れていないのかなと。ただ若者といっても世代によって違いますし、大学生と社会人でも違います。年を重ねるにつれてお金があっても、一人で解決できないことに直面したときなどに、改めて恋愛的な「つながり」が欲しいと気づく場面が出てくるのではないかと思います」
治部れんげ氏:「つながることに自信がない方が多いというのが印象的ですね。私としては自信がない部分も含めて受け入れてくれるのが恋人、家族なのかなという感覚でしたが、恋人、家族になることにも自信が必要というのが今の世代なのかなと。この世代の一部の考え方としてですが、比較して自身の価値を決めてしまうという側面もある、という部分が興味深かったです」
石橋CEO:「出会い」のあり方や意識が変化している
「出会いについて、今、社会全体で考えていかなければならないと感じます。出会いの減少というポイントでは、河合さんのご指摘のように、特に社会人になってから出会いのきっかけが減っているのだろうと。そこにマッチングアプリとして出来ることがあるのではないかと考えます」
トークテーマ2:現代の恋愛・結婚に対する意識〜今若者に何がおきているのか
トークテーマ2では、なぜ今の若い世代、20代や30代が交際に消極的になっているのか。1部で石橋CEOから、Pairsの親会社であるMatch Groupの自社調査による国際比較でも「交際しない・あるいは一度も交際したことがない人が日本人は他国に比べ多い」という傾向も紹介しましたが、現代の若者が交際しない要因として何が考えられるのかを議論しました。
石橋CEO:調査研究結果からエウレカが分析したポイント
「Pairsの自社調査や、治部様、石山様にもメンバーに入っていただいた『Pairs 少子化・未婚化アドバイザリーボード』でも指摘された内容として、交際をしない・交際のための活動をしない要因として、①交際経験の低下でどうしたらいいかわからない負のループ、② 強まるリスク回避傾向 (身近なコミュニティでの出会いを避けたい)、③価値観の変化と型にハマりたくないという意識、④一人でいるという選択肢があり、むしろ一人でもかまわない、といった4つの傾向があげられました。恋愛や結婚に対する意識や価値観が変化しているなかで、複雑・多様化する価値観を認めあって、ポジティブな面に目を向けられるような環境や情報が必要だと考えます」
河合雅司氏:自分の将来を想像できる環境、機会が減っているのではないか
「結婚後の人生がシミュレーションしづらい時代になったのかなと思います。例えば、年功序列、終身雇用であれば、会社の先輩、上司を見れば、ある一定の暮らしのモデルをイメージしやすいわけです。しかし、今の若い世代は雇用環境が変化、多様化しており、将来のイメージがしづらいことが不安要素としてあるのではないかと思われます。一方で、いずれ結婚するつもりという人は依然多く、最新の出生動向基本調査でも、男女とも8割以上が「良い出会いがあれば」という人を含めてですが、「いずれ結婚するつもり」と回答しており、結婚に対する意識は依然低いわけではないのかなと期待しています」
石山アンジュ氏:変化する個人の価値観や期待値の多様化への理解、尊重が重要
「今までに、家族イノベーションとして100人のミレニアル世代の声を聞いてきた中で、家族が担ってきた機能が変化し転換期を迎えていると考えます。パートナーを持つことに対して個人の価値観や期待値が多様化する中で、実際の交際・結婚のあり方は、依然として昭和的な昔の家族という価値観、イメージが今の若者世代には先入観としてあるのではと思います。一方で、昔と違ってテクノロジーの媒体、新しいコミュニティの在り方によって、それぞれの機能をカスタマイズできるようになったと思います。例えば家事代行や、ペアーズのようなマッチングアプリなど、サービスを組み合わせることによって、昭和的な家族観ではなく、自分なりにイメージする家族を作れる環境が作れるようになっていると感じています」
治部れんげ氏:交際や結婚に対する意識の複雑・多様化
「実際に政府統計でも、一人でいる理由は多様化していて、少しずつ変化しています。『適当な相手にまだ巡り会わないから』が最も高いのは変わってません。ただ2020年の統計結果を、2015年と比較すると「独身の自由さや気楽さを失いたくないから」「一生、結婚するつもりはないから」が大きく増えてます。一方で「今は、仕事(又は学業)に打ち込みたい」「結婚生活のための住居のめどがたたない」「経済的に余裕がない」が減少しています。つまり環境や条件の問題より、考え方や意識として「必ずしも必要ではない」と考える人の増加との関連性が見えてきます。「異性とうまく付き合えないから」という回答もかなり増えており、交際経験の低下等によるコミュニケーションの問題との関連が推測されます」
トークテーマ3:新たな世代の恋愛・結婚観とマッチングアプリを含む恋活・婚活の未来
最後は、「新たな世代の恋愛・結婚観とマッチングアプリを含む恋活・婚活の未来」をテーマに、恋愛や交際、結婚に対する感覚や意識が複雑・多様化してきている中で、恋活・婚活はどう発展していくべきか。また、これから恋愛・結婚を望む新たな世代を意識すると、その選択肢の1つとして、マッチングアプリを含むオンライン・ネットでの出会いの今後について、意見交換をしました。
治部れんげ氏:「出生動向基本調査」の最新結果で、出会いの仕方が変化している
「出生動向基本調査」に初めて「ネット(インターネット)で」が出会いの選択肢に追加され、最近の結婚の13.6%を占めたことは先に紹介されました。同調査では「結婚相手」だけでなく「交際相手」と知り合ったきっかけについても聞いているのですが、男性で11.9%、女性の場合17.9%と2割近くを占めていて、交際に向けた活動手段としてもネットが増えているのがわかります。これも踏まえ、マッチングアプリが貢献できる今後の可能性についてどう考えますか」
石橋CEO:課題に対してマッチングアプリが貢献できること
「プレゼンでもお話しした4つの課題に対してマッチングアプリ(Pairs)が貢献できると考えていることを以下、整理してお話しします。
- 「交際経験の低下でどうしたらいいかわからない」
- 「強まるリスク回避傾向 (身近なコミュニティでの出会いを避けたい)」
- 「価値観の変化と型にハマりたくないという意識」
- 「一人でいるという選択肢がある(課題が多いならむしろ一人でいい)」
河合雅司氏:出会いの形は、技術の進化とともに変わり、発展していく
「政府もAIを使ったマッチングを支援する方向に舵を切っています。一方で、50~60代以上では、安全性への懸念もまだ強いのかなと思います。Pairsは安心・安全に対する取り組みもなされていると思いますが、安心・安全な出会いの場を提供するための対策や周知のさらなる強化が必要だと思います。今後はマッチングアプリも含めて、出会いの形というのは、技術の進化と共に変わっていく、発展していくだろうと思います。ただ、人が人と出会うプロセスは基本的には変わらないので、人とのコミュニケーション、距離感も含めて、より良い出会いが広がればと思います」
石山アンジュ氏:多様な価値観、自分の良さの部分も、自信がない部分もアピールできる場
「マッチングアプリの良い面は、あらゆる観点から、自分の情報をシェアする事で、多様なつながりが生まれる点だと思っています。自身のポジティブな情報ばかりではなく、自信がないからこそ、自分の弱い部分もプラットフォーム上で発信できる、他のユーザー同士で寛容的になれるようなサービスになれば、さらに出会い方、恋愛観、結婚観が多様でより良いものになるのではないかと感じています」
<登壇者プロフィール>
治部れんげ氏(東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授)
日経BP社にて経済記者を16年間務める。ミシガン大学フルブライト客員研究員などを経て2021年4月より現職。内閣府男女共同参画計画実行・監視専門調査会委員、東京都男女平等参画審議会委員、豊島区男女共同参画推進協議会会長、日本メディア学会ジェンダー研究部会長など。一橋大学法学部卒、同大学経営学修士課程修了。著書に『稼ぐ妻 育てる夫:夫婦の戦略的役割交換』(勁草書房)、『炎上しない企業情報発信:ジェンダーはビジネスの新教養である』(日本経済新聞出版社)、『「男女格差後進国」の衝撃』(小学館)、『ジェンダーで見るヒットドラマ―韓国、日本、アメリカ、欧州』(光文社)、『きめつけないで! 「女らしさ」「男らしさ」:みんなを自由にするジェンダー平等』1~3巻(汐文社)等。
石山 アンジュ氏(一般社団法人Public Meets Innovation代表)
2012年国際基督教大学卒。新卒で(株)リクルート入社、その後(株)クラウドワークス経営企画室を経て現職。シェアリングエコノミーを通じた新しいライフスタイルを提案する活動を行うほか、政府と民間のパイプ役として規制緩和や政策推進にも従事。2018年10月ミレニアル世代のシンクタンク一般社団法人Public Meets Innovationを設立。実生活で新しい家族の形「拡張家族」を実践する。「羽鳥慎一モーニングショー」のコメンテーターを務めるなど幅広く活動。世界経済フォーラム Global Future Council Japan メンバー。著書に『シェアライフ-新しい社会の新しい生き方』(クロスメディア・パブリッシング)。
河合雅司氏(一般社団法人「人口減少対策総合研究所」理事長/作家・ジャーナリスト)
中央大学卒業。産経新聞社で論説委員を務めた後、現職。現在、高知大学客員教授、大正大学客員教授、産経新聞客員論説委員などのほか、厚労省や人事院など政府の有識者会議委員を務める。これまで内閣官房、内閣府、農水省などの各会議委員や政策研究大学院大学客員研究員、日本医師会総合政策研究機構客員研究員などを歴任した。「ファイザー医学記事賞」大賞、「ひまわり褒章」個人部門賞、「第80回文藝春秋読者賞」など受賞多数。主な著書に、累計90万部超のベストセラー『未来の年表』(講談社現代新書)シリーズのほか、『日本の少子化百年の迷走』(新潮選書)、『未来のドリル』(講談社現代新書)、『未来を見る力』(PHP新書)、『コロナ後を生きる逆転戦略』(文春新書)、『世界100年カレンダー』(朝日新書)、『2030年の東京』(祥伝社新書)など。
株式会社エウレカ 代表取締役CEO 石橋準也
東京理科大学入学と同時に、システム開発会社に入社。学部2年時にエンジニアリングに専念するために大学を中退。2010年に転職。IT・物流・CSの統括マネージャー及び自社Webサービスの事業責任者を務める。2013年、株式会社エウレカに入社。2014年執行役員CTOに就任。2016年、代表取締役CEOに就任。2019年4月に親会社である米国Match Groupの日本・台湾のGeneral Managerに就任し、当該地域のMatchグループ全ブランドの成長戦略を推進している。
株式会社エウレカについて
エウレカは、”人生に「あってよかった」と思ってもらえるものを。”をミッションとし、
「かけがえのない人との出会いを生み出し、日本、アジアにデーティングサービス文化を定着させる。」をビジョンに掲げ、日本で最も使われている※1恋活・婚活マッチングアプリ「Pairs」を展開しています。
内閣府調査※3によると20〜30代未婚者の約8割が結婚を希望する一方で、職場など生活の身近なところで出会う機会が減少し、未婚化・少子化が進行しています。そのような中、マッチングアプリは新しい出会いの方法として受け入れられ、急速に市場拡大しています。
エウレカは2015年よりマッチングアプリで世界最大のシェアを獲得している米Match Groupに参画し、グローバルな知見を活かして国内の未婚化・少子化解決に寄与すべく事業を推進しています。
また、すでにサービスを展開している日本・台湾・韓国以外のアジア各地域にもサービスを広げ、更なるグローバルでのシェア拡大を目指しています。
※3 平成26年度「結婚・家族形成に関する意識調査」報告書
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/research/h26/zentai-pdf/index.html
<会社概要>
所在地:〒108-0073 東京都港区三田1-4-1 住友不動産麻布十番ビル 4階
代表者:代表取締役CEO 石橋準也
設立日:2008年11月20日
事業内容:恋活・婚活マッチングアプリ「Pairs」
関連会社:Match Group(米国)
https://eure.jp/
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