双日、ターコイズ水素の製造技術を開発するフィンランドHycamite TCD Technologies Oyへ出資参画
双日株式会社(以下「双日」)は、ターコイズ水素の製造技術を開発するHycamite TCD Technologies(ハイカマイトティーシーディーテクノロジーズ) Oy(以下Hycamite(ハイカマイト))へ出資参画しました。
Hycamiteは2020年に創業したフィンランドのスタートアップ企業で、天然ガスやバイオガスなどの主成分であるメタン(CH4)を熱分解し、水素(H2)と固体炭素(C)を製造する技術を有します。一般的にこの製法で製造された水素は「ターコイズ水素(※)」と呼ばれ、製造時に二酸化炭素(CO2)を発生しないことから、次世代水素として注目されています。Hycamiteは独自に開発した革新的な触媒技術により、低いエネルギー消費量(電気分解による水素製造プロセスの13%の電力消費量)で水素を製造することができ、またカーボンナノチューブなど付加価値の高い固体炭素製品を併産します。
一般に、大気中へのCO2放出を抑えたクリーンな水素の社会導入には、製造過程で排出されるCO2の回収・貯留(CCS: Carbon dioxide Capture and Storage)や、安価な再生可能エネルギーの確保、輸送・貯蔵インフラの構築など、コスト面や技術面で課題があります。Hycamiteの技術は、製造過程でCO2を排出せず、反応時のエネルギー消費量が小さく、また地産地消型の水素供給事業となることから、これらの課題に対するソリューションとして期待できます。
またHycamiteの技術で併産される炭素製品は、次世代リチウムイオン電池をはじめ複合素材などの高機能素材としての活用が見込まれます。製造工程でのCO2排出を抑えることが可能であることから、脱炭素を見据えた新たなニーズにも対応します。
今回の第三者割当増資による資金調達は総額25百万ユーロで、双日に加え、フィンランド政府系ファンドのThe Finnish Climate Fund、その他投資家が引き受けに応じました。
Hycamiteは今回調達した資金を活用し、水素換算で年産2,000トン規模(約2,880Nm3/h)のデモスケールプラント建設を計画しています。既にパイロットレベルでの技術実証は完了しており、フィンランド中部のコッコラ工業団地内にて2024年中頃の稼働開始を予定しています。
双日は、今回の出資参画を通じてHycamite技術の日本国内における独占的実施権を獲得しました。今後はHycamiteとともに商業規模のプロジェクト組成を推進し、2020年代後半での事業構築を目指します。想定する商業プラントは水素換算で年産数万トン規模であり、日本国内のみならず世界中でさまざまな産業の脱炭素化に貢献していきます。
水素はさまざまな製造方法があり、その違いにより“色”で表現されます。現在は化石燃料由来の「グレー水素」が中心ですが、化石燃料から製造されるが製造時に発生するCO2を地下に貯留することで大気中への排出を減らす「ブルー水素」、再生可能エネルギーを使って水の電気分解により製造される「グリーン水素」、天然ガスの主成分であるメタン(CH4)の熱分解により製造される「ターコイズ水素」と区分されています。
(ご参考)
【Hycamiteの概要】
会社名 | Hycamite TCD Technologies Oy |
本社所在地 | Kemirantie 15, 67900 Kokkola, Finland |
CEO | Laura Rahikka |
Webサイト |
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