第32回ビズメイツ調査【外国籍社員の日本語力と業務対応力のギャップに関する実態調査】日本語試験で中級レベル以上でも9割超が実務対応力とのギャップを実感
〜外国籍社員採用で顕在化する「ビジネス日本語」の壁〜
ビズメイツ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:鈴木 伸明、以下「当社」)は、外国籍社員を採用・雇用し、外国籍社員の採用時に日本語能力試験(JLPT)N3(ビジネス中級相当)以上を条件としている企業の、人事・採用・教育・現場マネジメント担当者438名を対象に、「外国籍社員の日本語力と業務対応力のギャップに関する実態調査」を実施しました。
調査の結果、外国籍社員を採用・雇用している担当者の9割以上が、採用時の日本語能力試験(JLPT等)のレベルと実際の業務パフォーマンスとの間にギャップを感じており、95.9%が業務上の認識齟齬やトラブルを経験していることが明らかになりました。
主な要因として「日本の職場特有の言い回しやビジネスマナーが試験に反映されていない」ことがあげられ、語学力だけでは補えない、日本特有の文化やビジネスマナーへの理解の重要性が浮き彫りとなっています。また、外国籍社員の活躍・定着には、「日本人社員向けの異文化理解・コミュニケーション研修」も不可欠であることが示されました。外国籍人材の採用が加速する中、試験スコアに依存しない実践的な日本語運用力の育成と、双方向での職場コミュニケーション環境の整備が、企業の持続的な成長と多様な人材の定着を左右する重要な経営課題となっています。

■調査概要
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調査名:外国籍社員の日本語力と業務対応力のギャップに関する実態調査
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調査方法:IDEATECHが提供するリサーチマーケティング「リサピー®︎」の企画によるインターネット調査
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調査期間:2026年4月14日〜同年4月15日
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有効回答:外国籍社員を採用・雇用している企業(従業員10名以上)で、外国籍社員の採用時に日本語能力試験(JLPT)N3(ビジネス中級相当)以上を条件としており、人事・採用・教育・現場マネジメントのいずれかに携わっている担当者438名
※構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはなりません。
■「事務・バックオフィス」「営業」が最多、外国籍社員の職種は幅広く分散
Q1「お勤め先で雇用している外国籍社員の主な職種(複数回答)」(n=438)では、「事務・バックオフィス」27.6%が最も多く、「営業」27.4%、「接客・販売」25.1%、「エンジニア・IT」24.9%、「マーケティング・企画」24.4%と続きました。上位5職種はいずれも24〜28%に収まり、外国籍社員は特定領域に集中せず、幅広い部門で活躍している状況がうかがえます。
また、「デザイナー・クリエイター」22.6%や「製造・物流」18.5%も一定数を占めており、複数回答であることから、1社で複数の職種に外国籍社員が配置されている実態も読み取れます。一方、「建設・土木」11.0%、「専門職(研究・技術)」8.7%などは相対的に低く、職種による活用度差があることが示唆されます。

■95.2%が、外国籍社員の業務コミュニケーションや仕事の進め方に課題を実感
Q2「外国籍社員の業務対応において、業務上のコミュニケーションや仕事の進め方に課題や難しさを感じるか」(n=438)では、「非常に感じている」44.5%と「やや感じている」50.7%となり、合計95.2%に達しました。ほぼすべての企業が課題を認識しており、特に「非常に感じている」が4割超を占めている点から、課題は軽微ではなく、日常業務に影響を及ぼす水準であると考えられます。
外国籍社員の採用拡大が進むなかで、業務上のコミュニケーション支援が企業にとって早急な対応が必要な課題であるといえます。

■業務上の課題「納期・スケジュール感の認識のずれ」が53.7%で最多、時間感覚・暗黙知のギャップが顕在化
Q3 Q2で「非常に感じている」「やや感じている」と回答した方に、「外国籍社員の業務対応における課題」を聞いたところ(複数回答、n=417)、「納期・スケジュール感の認識のずれ」53.7%が最多となり、過半数が時間感覚のずれを課題として挙げていることが分かりました。次いで「暗黙ルール・前提の理解不足」45.3%、「報連相のタイミング・粒度の不一致」41.5%、「指示内容の理解不足」40.3%と、上位4項目はいずれも40%を超えています。これらは単なる語学力の問題ではなく、①時間感覚(納期認識)、②暗黙知(ルール・前提)、③業務運用(報連相・指示理解)にまたがる構造的な課題であることが分かります。語学力の向上だけでは解消しにくい、業務遂行における判断基準やコミュニケーションの習慣に関わる課題への対応が求められていると考えられます。

■9割以上が、日本語能力試験のレベルと実務パフォーマンスにギャップを実感
Q4「採用時の日本語能力試験(JLPT等)のレベルと、実際の業務で期待していたパフォーマンスの間にギャップを感じるか」(n=438)では、「非常にギャップを感じる」35.2%と「ややギャップを感じる」58.0%を合わせると93.2%に達し、大半の企業が日本語能力試験のスコアと実務パフォーマンスの間に乖離を感じていることが分かりました。中でも「ややギャップを感じる」が最多で、完全な不一致ではないものの、期待値と実態の間に継続的なずれが存在していることが示唆されます。
一方、「あまり感じない」5.7%と「全く感じない」1.1%は合計6.8%にとどまっており、日本語能力試験のスコアだけで業務適性を判断することの限界が明確に表れています。

■日本語能力試験では測れない業務上の齟齬・トラブル、95.9%が経験
Q5「日本語能力試験(JLPT等)のレベルだけでは測れないと感じる業務上の認識齟齬やトラブルの発生経験」(n=438)では、「複数回ある」67.8%と「1回だけある」28.1%となり、合計95.9%に達しました。ほぼすべての企業が何らかのトラブルを経験しており、特に「複数回ある」が約7割を占めていることから、これらが一過性ではなく、繰り返し発生する構造的な課題であることが示唆されます。

■認識齟齬の影響は、「手戻り・修正の発生」が55.0%でトップ
Q6「Q5で「複数回ある」「1回だけある」と回答した方に、その影響を聞いたところ」(複数回答、n=420)では、「手戻り・修正の発生」55.0%が最多となりました。次いで「顧客対応でのトラブル」48.6%、「チーム内の関係悪化」41.7%と続き、影響は業務効率・顧客満足・組織内の人間関係という3領域に広がっていることが分かります。
また、「納期の遅延」36.9%、「本人の自信低下」32.1%、「周囲のフォロー負担の増加」27.9%、「生産性低下」26.0%もそれぞれ3割前後に達しており、単一の認識齟齬が複数の影響を同時に引き起こしている実態が伺えます。さらに「離職につながったこと」11.7%と、人材の流出にまで波及するケースも一定数存在します。

■ギャップの主因は「職場特有の言い回し・マナーが試験に未反映」、約7割が指摘
Q7「Q4で「非常にギャップを感じる」「ややギャップを感じる」と回答した方に、その要因を聞いたところ」(複数回答、n=408)では、「日本語試験に日本の職場特有の言い回し・ビジネスマナーが反映されていないから」65.0%が最多となりました。
試験で測られる日本語力と、実務で必要なコミュニケーション力との間にギャップがあることが示唆されます。
次いで「日本語試験に実務で使用される会話が十分に想定されていないから」43.1%、「上司・同僚・顧客など関係性別の使い分けが反映されていないから」42.9%と、試験の設計に起因する要因が上位を占めています。
また、「企業のコミュニケーション基準が未明文化」21.3%や「周囲の伝え方・受け入れ体制の工夫不足」12.7%も一定数あり、ギャップの要因は試験や個人だけでなく、企業側の体制にも及んでいることが分かりました。

■半数以上が「時間の感覚」が最も理解しにくい日本特有のビジネスマナーと回答
Q8「外国籍社員が日本で働く上で理解が難しい日本特有のビジネスマナー・職場文化」(複数回答、n=438)では、「時間の感覚(開始時刻、事前準備 等)」52.3%が最多となりました。次いで「曖昧表現の解釈(検討します、前向きに考えます 等)」40.0%、「報連相のタイミング・粒度」39.0%、「上司・同僚との関係構築」36.5%と、上位4項目がいずれも高水準となっています。これらは時間感覚や曖昧表現、対人関係といった、明文化されにくい「暗黙の期待値」に関わる要素であり、言語知識だけでは対応しにくい領域であることが示唆されます。

■約7割が、日本人社員(受け入れ側)向けに研修・支援を実施、ほぼすべてが必要性を認識
Q9「日本人社員(受け入れ側)向け研修・支援の実施状況」(n=438)では、「実施している」69.6%(約7割)が最多となりました。さらに「未実施(検討中)」26.7%を含めると合計96.3%に達し、ほぼすべての企業が受け入れ側への支援の必要性を認識していることが分かります。
一方、「未実施(検討なし)」は3.4%にとどまっており、外国籍社員との協働に向けた日本人社員(受け入れ側)の意識・スキル向上が、企業にとって標準的な取り組みになりつつあることが見て取れます。

■日本人社員向け研修は「異文化理解研修」が64.9%で最多
Q10「Q9で実施していると回答した方に、実施している具体的な内容を聞いたところ」(複数回答、n=305)では、「異文化理解研修」64.9%が最多となりました。次いで「外国籍社員とのコミュニケーション研修」52.1%、「語学研修」46.9%と続き、上位2項目がいずれも過半数を超えています。文化理解に加え、実務上のコミュニケーション力の強化に取り組む企業が多いことがうかがえます。
一方、「外国籍社員受け入れに関する社内ガイドライン・マニュアル整備」24.9%にとどまっており、研修に比べて、日常業務で参照できる仕組みの整備はまだ発展途上であることが示唆されます。

■外国籍社員向け研修・支援も約7割が実施、受け入れ側と同水準
Q11「外国籍社員向け研修・支援の実施状況」(n=438)では、「実施している」69.4%が最多となり、日本人社員(受け入れ側)向け(Q9:69.6%)とほぼ同水準で、外国籍社員向けの研修・支援が実施されています。さらに「未実施(検討中)」27.2%を含めると合計96.6%に達し、ほぼすべての企業が外国籍社員への研修・支援の必要性を認識していることが分かりました。

■外国籍社員向け研修は「入社時オリエンテーション」が最多、日本語・実務研修も高水準
Q12「Q11で実施していると回答した方に、実施している具体的な内容を聞いたところ」(複数回答、n=304)では、「入社時のオリエンテーション(社内ルール等の説明)」62.8%が最多となり、次いで「日本語研修」50.3%、「ビジネスマナー・文化理解研修」50.0%、「業務に直結した日本語・コミュニケーション研修」49.7%と続き、上位項目はいずれも約5割前後の水準で並んでいます。語学力に加え、ビジネスマナーや業務コミュニケーションなど、実務に直結する領域にも研修が広がっていることが伺えます。
また、「業務スキル研修」39.1%、「メンター制度・OJT支援」29.6%と、座学にとどまらず現場での伴走型支援も一定程度取り入れられています。一方、「生活面の支援(生活情報・行政手続き等)」18.1%にとどまっており、業務面に比べて生活面は限定的であることが示唆されます。

■必要な支援の最多は「受け入れ側研修」、活躍・定着は職場側の対応が鍵
Q13「外国籍社員の活躍・定着に必要な支援」(複数回答、n=438)では、「日本人社員向けの異文化理解・コミュニケーション研修」60.7%が最多となり、次いで「管理職向けマネジメント研修」43.8%、「メンター制度・伴走支援」43.4%と、受け入れ側の体制やマネジメントに関わる項目が上位に並んでいます。外国籍社員本人への支援だけでなく、受け入れ側の体制整備や管理職のマネジメント力向上が重視されていることが分かります。
また、「外国籍社員向け日本語・コミュニケーション研修」40.6%、「社内ロールモデルの存在」30.4%、「評価制度・給与制度の見直し」25.3%、「社内コミュニケーション環境の整備」20.1%など、支援は研修・制度・環境整備にまたがる多面的な取り組みが求められています。

■まとめ
本調査から、外国籍社員の採用時に日本語能力試験(JLPT)N3(ビジネス中級相当)以上を条件としている企業であっても、約9割が試験スコアと実際の業務対応力との間にギャップを感じていることが明らかになりました。さらにほぼすべての企業が業務上の認識齟齬やトラブルを経験しており、試験スコアのみを採用基準とすることの限界が浮き彫りになりました。
業務上の課題としては「納期・スケジュール認識のずれ」、「暗黙ルールや前提の理解不足」、「報連相のタイミング・粒度の不一致」などが上位にあがりました。これらは、語彙や文法の知識だけでは対応できない、職場特有の文脈理解やコミュニケーション習慣に関わる課題です。その背景には、日本の職場特有の言い回しやビジネスマナーが試験に十分反映されていないことがあり、「時間の感覚」や「曖昧表現の解釈」など、日本特有の職場文化への適応の難しさも明らかになりました。また、活躍・定着に向けては「日本人社員向けの異文化理解・コミュニケーション研修」が最多となりました。今後は、日本語能力試験を採用時の基準としつつも、入社後には業務に直結した日本語研修や異文化コミュニケーション研修を、外国籍社員・日本人社員双方に実施していくことが、多様な人材の活躍と組織の生産性向上の両立につながると考えられます。
≪調査結果のご利用にあたって≫
本調査は、外国籍社員の日本語力と業務対応力のギャップに関する実態を示す調査として、報道・研究・施策立案などに幅広くご活用ください。
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■ビズメイツ株式会社について www.bizmates.co.jp
ビズメイツ株式会社は2012年の創業以来、「もっと多くのビジネスパーソンが世界で活躍するために」をミッションに掲げ、語学事業と人材事業を通じて、人と企業のグローバル化を支援し、その成長を加速させるソリューションを提供しています。
語学事業では、ビジネス特化型オンライン英会話サービス「Bizmates(ビズメイツ)」を中心に、コーチングとアプリを組み合わせたハイブリッド学習プラットフォームを提供するほか、外国籍人材向けのビジネス特化型オンライン日本語学習サービス「Zipan(ジパン)」を展開。人材事業では、IT・機電エンジニアを中心とするグローバル人材を日本企業に紹介する「G Talent(ジータレント)」、および採用プラットフォーム「GitTap(ギットタップ)」を運営しています。
2023年3月に東京証券取引所グロース市場に上場(証券コード:9345)。「人と企業がともに成長しあう多様性のある豊かな社会の実現」をパーパスに、テクノロジーを活用した語学・人材領域のソリューション提供を通じて、さらなる価値創出に挑戦し続けています。
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