台湾半導体ローカルサプライチェーン聯盟発足、家登精密が呼び掛け＜ワイズ機械業界ジャーナル2023年10月第3週号発行＞

〜台湾EV・自動車・半導体・航空宇宙・金属業界の最新動向を分析する〜

威志企管顧問股ｲ分有限公司（ワイズコンサルティンググループ）

2023年10月19日 10時54分

ワイズコンサルティンググループ（本社：中華民国台北市、代表取締役：吉本康志）は台湾機械業界専門誌「ワイズ機械業界ジャーナル」の2023年10月第3週号を発行しました。今週号では自動車業界、半導体業界、航空宇宙業界、ファスナー業界の動向を紹介します。

＜最新刊目次＞

2023年台湾EV市場の動向
台湾半導体ローカルサプライチェーン聯盟発足、家登精密が呼び掛け
鐳洋科技（ラピッドテック・テクノロジーズ）、人工衛星最大手にアレイアンテナ供給
2023年台湾ファスナー産業の課題と対策

＜台湾半導体ローカルサプライチェーン聯盟発足、家登精密が呼び掛け＞

　ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造（TSMC）に製品を供給する極端紫外線（EUV）ポッドメーカー、家登精密工業（Gudengプレシジョン・インダストリアル）の呼び掛けにより、「台湾半導体ローカルサプライチェーン（供給網）聯盟」が発足した。

　現在、30社余りの台湾メーカーが加盟している。TSMCが3ナノメートル以降の製造プロセスの開発を進める中、加盟メーカー各社の技術力などを世界レベルに高めるのが目的だ。TSMCが米アリゾナ州で建設中の12インチウエハー工場（Fab21）向けの供給でも協力する。

材料・AMC制御・設備で提携

　家登精密はここ1年余り、半導体業界の景気が後退し、地政学的リスクによる不確実性が高まる中も、台湾の半導体サプライチェーンの安定化を実現する上で大きな役割を果たしてきた。

　家登精密は半導体材料メーカーの▽意徳士科技（YEEDEXエレクトロニック）、▽耐特科技材料（ナイテクス・コンポジッツ）などと特殊製造プロセスの洗浄工程向けハイエンド複合材料の分野で、▽濾能（グリーンフィルテック）、▽奇鼎科技（CHYI DINGテクノロジーズ）、▽聖凰科技（サンタ・フェニックス・テクノロジー）と分子状汚染物質（AMC）制御ソリューションで、▽家碩科技（GUDENGイクイップメント）、▽迅得機械（シムテク・オートメーション・アジア、SAA）、▽科嶠工業（アジア・ネオ・テック・インダストリアル）とマイクロプログラム技術を持つ微程式資訊（Microprogram）で提携している。

　家登精密は、これら9社を含めたメーカーと半導体ローカルサプライチェーン聯盟を結成し、顧客に包括的なソリューションを提供するとともに、今後10年を見据えた生産体制を整備する説明した。

合弁会社のアリゾナ拠点でTSMC支援

　家登精密はグリーンフィルテック、SAAなど7社と合弁で徳鑫半導体控股（TSSホールディングス）を設立した。資本金は1億6000万台湾元。米アリゾナ州フェニックス市に拠点を構え、TSMCのFab21向けの支援を行っている。

　TSSホールディングスを通じてフェニックス市に家登精密など8社の総合拠点を構えることで、TSMCのFab21稼働後、生産ラインに何か問題が起きても、関連のメーカーがすぐに対応できる。また、アリゾナ洲当局やフェニックス市当局にとっても、8社を代表するTSSホールディングスと協議を行う方が効率が良い。

顧客と海外展開へ

　▽人工知能（AI）、▽第5世代移動通信（5G）、▽クラウドコンピューティング、▽電気自動車（EV）が普及し、先進パッケージング（封止）のチップ・オン・ウエハー・オン・サブストレート（CoWoS、コワース）の需要が高まる中、台湾半導体ローカルサプライチェーン聯盟は今後も、顧客の海外進出に合わせて現地にサービス拠点を設置し、迅速な対応が可能な体制を構築する方針だ。