【大阪工業大学】召しませ 多彩な色と香りのパウダーカプセル
ココアやカレーパウダー、形成のカギは「ぬれ性」
大阪工業大学(学長:井上晋)応用化学科 高分子材料化学領域の藤井秀司教授(タイ・チュラロンコン大学 名誉教授兼任)の研究グループは、ココアやナツメグ、カレーパウダーなど多様な食用パウダーを用いてガスマーブル(固体粒子で壊れにくい“シャボン玉”)を形成できることを発見しました。形成には「粒子が水をどの程度はじくか(ぬれ性)」が大きく関与していることを解明しました。食品分野で新たなカプセル素材として応用することが期待されます。
【本件のポイント】
● 多様な食用パウダーから食べられるガスマーブルの形成に成功
● 粒子の水へのぬれ性が形成性と安定性に大きく関与していることを解明
● 香りや色を生かした新しい食用カプセル素材への応用も期待される
本研究グループでは、微粒子を使ってシャボン玉のような薄い膜を安定化させる「ガスマーブル」の研究を進めています。昨年8月には、シナモン粒子を水膜に吸着させることで食べられるガスマーブルができることを発表し、話題を集めました。
今回は研究を更に発展させ、藤井教授と本学の化学・環境・生命工学専攻博士前期課程1年生の柳下拓斗大学院生がココア、ナツメグ、カレーパウダー、カスタードパウダーなど、身近な食用パウダーでも安定したガスマーブルを形成できることを新たに発見しました。特に重要な点として、ぬれ性が形成性や安定性に大きく関与していることを解明しました。
ガスマーブルは、食感や香りを閉じ込める小さなカプセルとして利用できるため、スイーツのトッピングや香り付けなど、食品分野での応用が可能です。パウダーは種類により風味や香り、色が異なるため、見た目や味わいを多彩に演出できます。食材由来の粒子であることから、安全性が高く、新たな食の体験を提供できます。
本技術は、分子ガストロノミー(分子美食学)での創作料理への応用に加え、食品保存や香料をカプセルに閉じ込めてゆっくり放出させること、教育教材、アート表現など、幅広い分野への展開も期待されます。
この成果は、日本学術振興会科学研究費補助金基盤研究(B)の支援を受け、Anne-Laure Fameau博士(フランス国立農業・食料・環境研究所)との共同研究を通じて得られたものです。学術雑誌Journal of Colloid and Interface Science誌に論文が掲載(2025年12月11日付)され、注目を集めています。

URL: https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S002197972503067X?via%3Dihub
(DOI: 10.1016/j.jcis.2025.139675)
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