フィリップス・ジャパン、災害時医療に関するプレスセミナーを開催

各医療拠点でのBCP対策と、適切な処置を迅速に叶える設備の重要性を提示

株式会社フィリップス・ジャパン(本社:東京都港区、代表取締役社長:ジャスパー・アスエラス・ウェステリンク、 以下 フィリップス)は、「Philips Future Health Index 2025日本版」(以下、FHI2025)の発行を記念し、2025年9月30日(火)に麻布台本社にて、災害時医療に関するプレスセミナー「災害時にも止まらない医療を」を、オランダ王国大使館と一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)の後援のもと開催しました。

フォトセッションの様子  左から 当社 公共政策部長 岩田 潤、当社 代表取締役CEO ジャスパー・アスエラス・ウェステリンク、日本赤十字社 植田 信策氏、春日井市民病院 成瀬 友彦氏、当社 プレシジョン・ダイアグノシス事業部長 門原 寛

近年、日本では大地震や洪水等様々な自然災害が頻発しており、政府は2026年の防災庁設置に向けた準備を進めています。自然災害の発生を考慮した、災害時医療への備えと、医療機関のBCP計画の再構築は喫緊の課題となっています。今回のセミナーではこうした現状を踏まえ、災害時医療に携わる専門家、医療関係者の方々をお招きし、具体的な取り組み事例を交えながら、災害時医療に必要な医療機器の整備とその推進課題について討議しました。

開会の挨拶 / Future Health Index 2025 ダイジェスト

当社の代表取締役社長CEO ジャスパー・アスエラス・ウェステリンクからは、開会の挨拶としてフィリップスの理念や事業領域、今後の展望についてご紹介したのち、世界規模での調査レポートであるFHI2025 の内容についてご説明しました。

FHI2025 では、国内の医療現場において未だAI・テクノロジーに関する受容度が低いという現状が示されています。また、医療従事者~患者間では認識に大きなギャップがあり、医療従事者はAI の活用に比較的前向きである一方、患者目線ではその活用に対して懐疑的であり、受け入れに慎重であることが明らかになりました。その一方で、医師を通じてしっかりと説明を受けた場合には84%の患者がポジティブに受容するという結果も得られました。

ジャスパーはこうした内容をもとに、医療現場でのテクノロジー活用に対し相互理解を深めることが重要である旨を提言し、フィリップスの使命としてAI で日本の医療の未来を繋ぎ、リーディングヘルスケアカンパニーとして社会に貢献していく姿勢を改めて宣言しました。テクノロジーの積極的な活用は医療現場の効率化に貢献し、患者との対話時間増加や予防医療の活性化に繋がることなどに触れながら、AI によって医療の質と効率を両面から高めていくこと、それは単なる技術提供ではなく、社会課題の解決に向けた取り組みであること、そして今回のテーマである災害医療など、非常時にも応用可能な視点であることを提示しました。

当社 代表取締役CEO ジャスパー・アスエラス・ウェステリンク

FHI2025発行記念セッション「災害時にも止まらない医療を」

ジャスパーのスピーチののち、「災害時にも止まらない医療を」をテーマとしたトークセッションが開始されました。はじめに日本赤十字社 医療事業推進本部 参事監 兼 事業局 救護・福祉部 主幹の植田 信策氏が登壇し、医療現場におけるAnticipatory Acton(予測型行動)や災害耐性に優れた地域医療実現のための課題が紹介されました。

2011 年の東日本大震災発生時、予測に基づいた十分な対策によって石巻赤十字病院(宮城県)での初動対応が迅速に進んだ例に触れ、「災害の予見と被害の予測」「リスクの発現防止と被害の軽減」「救助」「克服と復旧」をサイクル化した災害対策を、モノ・コト・ヒトと共に普段から運用することの重要性が提言されました。

また、震災関連死において避難所の環境に係るものが高い割合を占めた旨のデータが提示され、環境改善のためにTKB(Toilet, Kitchen, Bed)の充実化を図る必要性が指摘されました。さらに病院の機能停止時に備え、医療機関同士の平時連携と有事協働の必要性が提示され、連携パス発行や医療機器の共同利用などを通じて地域医療の標準化を図っていくことが重要であることが示されました。

日本赤十字社 植田 信策氏

次に当社プレシジョン・ダイアグノシス事業部長の門原 寛が登壇し、設置型医療機器における災害対策、とりわけ設置・インフラ面での備えについて提言を行いました。

津波や河川氾濫による水害リスクを低減するためには、機器を上層階に設置することが効果的です。しかし従来は、装置の重量やクエンチ*配管の設置要件といった制約により、実現が難しいのが現状でした。また日本は地震災害が多く、東日本大震災の際には設置型MRI でマグネットの損壊やクエンチの発生が確認され、さらに交通インフラの寸断によりヘリウム充填が不可能となるトラブルも発生しました。

一方、当社のヘリウムフリーMRI「BlueSeal(ブルーシール)」は、マグネットの軽量化とクエンチ配管不要という特長を備えており、これらの課題を解決しリスク低減に大きく貢献します。最新「BlueSeal magnet for 1.5T」は、すでに世界で1,700 台以上、日本国内で140 台以上が稼働しています。クエンチ配管を不要とし、磁場の励磁・消磁を病院スタッフが行える点に加え、軽量設計により上層階への設置が可能で、水害リスクを大幅に低減できます。また、トレーラー搭載による可搬性も実現し、災害現場周辺の医療機関への派遣も可能になりました。

さらに、ポータブル超音波診断装置「Lumify(ルミファイ)」や、睡眠時無呼吸症候群の患者へのモニタリングサービスとして「Care Orchestrator(ケア オーケストレーター)」など、災害時医療に有効なソリューションも紹介しました。

*液体ヘリウムが急速に蒸発・気化し放出される現象

当社 プレシジョン・ダイアグノシス事業部長 門原 寛

続いて春日井市民病院(愛知県)院長の成瀬 友彦氏が登壇し、南海トラフ地震の発生可能性を踏まえた地域拠点病院としての災害対策事例が提示されました。

春日井市は地盤が比較的強固なため、非常時には名古屋エリアの災害医療拠点としての役割が期待されています。こうした理由から災害対策に注力しており、「BlueSeal」の導入のほか、災害訓練の強化、災害時対応のDX 化などに積極的に取り組んでいます。

なかでも院内情報管理のDX 化に関して、訓練時に大幅な効率化・省力化が実証された例が紹介され、今後はデジタルソリューションを用いた位置情報共有、非地上系ネットワークを通じた情報収集・発信などを行い、効率化・省力化をより図っていく旨が展望として示されました。

こうした取り組みを踏まえ、医療現場において「ICT 化」は単にデジタルを導入するだけではなく、ソリューションを用いて現場革新を図っていくことが重要である旨が提言されました。

春日井市民病院 成瀬 友彦氏

パネルディスカッション

各セッションののち、当社 公共政策部長 岩田 潤をモデレーターとし、テーマをより深堀りするかたちでパネルディスカッションが行われました。

「平時でのネットワークづくり」の話題では、地域での設備共同利用のためにはシステム構築が必要なものの、十分な広まりに至っていないという課題点が植田氏より指摘され、地域で標準化を図り体制を構築していく重要性が示されました。また、こうした取り組みにはコストが発生するため、自治体や政府機関の支援が行われる仕組みが望ましい旨が提言されました。

「緊急時の人員確保」の話題では、大都市圏からの外来患者の増大に備えた体制構築の必要性が今後の課題として成瀬氏より提示され、植田氏からは基幹病院の役割を踏まえ、平時に地域医療の関係性を築いておくことが災害時に有利となる旨、また病院だけでなく保健所のサポートも肝要である旨が改めて示されました。当社 門原は医療機器メーカーとしての観点から、災害時に最も重要なのは医療機器の復旧であり、東日本大震災・熊本地震(2016年)・能登半島地震(2024年)での経験を踏まえ、人員派遣のプライオリティを正確につけることの重要性を示しました。

「インフラ・通信手段の確保」の話題では、機器サプライヤーの垣根を超えたサポート体制の必要性が植田氏より提言され、成瀬氏は春日井市において医師会と薬剤師会が薬品投与に関する協定を締結している例をもとに、病院への役割の一極集中を防ぐ仕組みづくりの重要性を提示しました。門原はインフラの観点から改めてヘリウムフリーMRI「BlueSeal」の特長に触れ、普及に努める旨を説明しました。また遠隔での被災地ケアの可能性についても話題が及び、大学病院との連携の必要性などが提言されたほか、岩田より当社が医療機器メーカーとして「DX+医療」の中核で貢献していく旨を説明しました。

パネルディスカッションの様子

このセミナーを通じて、救護活動から災害拠点病院での対応に至る災害時医療について、そして災害時医療における体制整備や機器導入の動向、その必要性について把握いただける機会となりました。

フィリップスは「Better care for more people」(よりよいケアをより多くの人へ)というビジョンのもと、救える命を一つでも多く救うことを目指し、救護活動の現場からホームケアまでを包括的に支援する製品やソリューションの開発、提供に尽力しています。今後も「災害時にも止まらない医療を」スローガンに、より多くの命を救うことに貢献してまいります 。

【開催概要】

タイトル:Philips Future Health Index 2025日本版発行記念

災害時医療に関するプレスセミナー「災害時にも止まらない医療を」

後援:オランダ王国大使館・一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)

日時:2025年9月30日(火)13:00~15:00

会場:フィリップス・ジャパン 麻布台本社内 サクラパーク

住所:東京都港区麻布台1-3-1 麻布台ヒルズ森JPタワー15階

登壇者:

株式会社フィリップス・ジャパン 代表取締役社長CEO

ジャスパー・アスエラス・ウェステリンク

株式会社フィリップス・ジャパン プレシジョン・ダイアグノシス事業部長  門原 寛 

日本赤十字社 医療事業推進本部 参事監 兼 事業局 救護・福祉部 主幹

植田 信策氏

春日井市民病院 院長

成瀬 友彦氏

【プログラム】

・開会の挨拶 / Future Health Index 2025 ダイジェスト

・災害時医療について

・フィリップス製品の災害時医療に対する貢献について

・医療現場のBCP対策について

・パネルディスカッション 災害時の医療現場での診療およびBCP対策について

・質疑応答

フィリップス・ジャパンについて

株式会社フィリップス・ジャパンは、ロイヤル フィリップスの日本法人として1953年に創業し、医療機器の開発・提供をはじめとするヘルスケアテクノロジーのリーディングカンパニーとして、人々のより良い健康と満ち足りた生活の実現を目指しています。主な事業領域は、画像診断、超音波診断、イメージガイド下治療、生体情報モニタ、ヘルスインフォマティクス、睡眠・呼吸治療、医療機器および電動シェーバーや電動歯ブラシなどのパーソナルヘルスと多岐に渡ります。超高齢化が進む日本の医療・健康課題の解決に貢献し、人々のより良い健康と生活の向上を目指しています。

日本の従業員数は約2,000人、約70拠点でビジネスを展開しています。(https://www.philips.co.jp

ロイヤル フィリップスについて

ロイヤル フィリップス(NYSE:PHG, AEX:PHI)は、革新的な技術を通じ、人々のより良い健康と満ち足りた生活の実現を目指す、ヘルステクノロジーのリーディングカンパニーです。
フィリップスの革新的技術は人々を中心に設計されています。先進的技術と医療従事者および消費者のインサイトを活用し、消費者にはパーソナルヘルスソリューションを、医療従事者とその患者様には病院や家庭でのプロフェッショナルヘルスソリューションを提供しています。
オランダに本社を置く当社は、画像診断、超音波診断、イメージガイド下治療、生体情報モニタ、ヘルスインフォマティクス、およびパーソナルヘルスの分野で世界をリードしています。フィリップスの2024年の売上高は180億ユーロ、全世界に約69,700人の従業員を擁し、世界100か国以上でビジネスを展開しています。フィリップスに関するニュースはこちらからご覧ください。(http://www.philips.com/newscenter/

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ビジネスカテゴリ
医療・病院
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会社概要

URL
https://www.philips.co.jp/
業種
医療・福祉
本社所在地
東京都港区麻布台1-3-1 麻布台ヒルズ森JPタワー15階
電話番号
-
代表者名
ジャスパー・アスエラス・ウェステリンク
上場
未上場
資本金
-
設立
1987年09月