【台湾情報】旭宇騰精密科技(AUTH)、2ナノ向けALD薄膜形成装置の開発に成功<ワイズ機械業界ジャーナル2023年11月第3週号発行>

〜台湾工作機械・電気バス・電池・半導体設備・化学業界の最新動向を分析する〜

ワイズコンサルティング グループ(本社:中華民国台北市、代表取締役:吉本康志)は台湾機械業界専門誌「ワイズ機械業界ジャーナル」の2023年11月第3週号を発行しました。今週号では工作機械・電池開発動向・半導体設備・化学業界の動向を紹介します。

<最新刊目次>

  • 台湾金属加工用機械設備製造業2023年1~8月期の産業概況と主要企業の動向

  • 2023年台湾の電動バス用電池メーカーの動向

  • 旭宇騰精密科技(AUTH)、2ナノ向けALD薄膜形成装置の開発に成功

  • 2023年台湾化学産業の生産と輸出入概況

<旭宇騰精密科技(AUTH)、2ナノ向けALD薄膜形成装置の開発に成功>


 台湾はファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)をはじめ、半導体産業での優位性で知られるが、半導体製造用の薄膜形成装置や露光装置などの設備は主に欧米や日本の大手メーカーが供給しており、台湾のメーカーは洗浄装置や部品を供給しているところが多い。こうした中、資本金わずか7000万台湾元の半導体設備メーカー、旭宇騰精密科技(AUTH)が2ナノメートル製造プロセス向けの複合式原子層堆積(Hy-ALD)法による薄膜形成装置の開発に成功したと発表し、注目を集めている。


TSMCやマイクロンなど大手顧客多数 

 旭宇騰は半導体業界では有名で、顧客は台湾のファウンドリーの▽TSMC、▽TSMC傘下の世界先進積体電路(VIS)、▽力晶積成電子製造(パワーチップ・セミコンダクター・マニュファクチャリング、PSMC)、▽台湾茂矽電子(モセル・バイテリック)や▽半導体メモリー大手の旺宏電子(マクロニクス・インターナショナル、MXIC)、▽米メモリー大手のマイクロン・テクノロジー、▽中国のファウンドリー最大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)、▽中国のファウンドリー、上海華虹宏力半導体製造や韓国、シンガポール、ロシアのメーカーなど。

 旭宇騰の王春暉・董事長は、半導体製造装置最大手、米アプライドマテリアルズの台湾子会社、台湾応用材料(アプライドマテリアルズ台湾、AMT)で10年務めた人物だ。AMTではチームリーダーとして装置の設置やテスト、修理などを手掛け、徳碁半導体(現在のTSMC第7工場)やモセルの8インチウエハー工場建設などにも携わった。2004年に旭宇騰を創設し、アプライドマテリアルズ向けの設備改造・保守サービスなどを手掛けてきた。

 オランダの半導体製造装置大手、ASMインターナショナルも旭宇騰の主要顧客だ。ASMはALD薄膜形成装置の分野で世界シェア5割以上を誇る。半導体製造用の薄膜形成技術のうち、ALDは従来の物理蒸着(PVD)、化学蒸着(CVD)技術より精密かつ薄い膜形成が可能で、半導体製造プロセスの微細化が進むにつれ、今後はALD技術が主流になると予想されている。

 工業技術研究院(工研院、ITRI)産業科技国際策略発展所(産科国際所、IEK)の予想によると、ALD薄膜形成装置の21~25年の年平均成長率(CAGR)は24.9%に達し、PVD、CVD薄膜形成装置の8~10%を大きく上回る見通しだ。半導体製造プロセスの微細化がさらに進めば、ALD薄膜形成装置のみが需要に対応できると判断して、王・董事長は同装置の研究開発(R&D)を開始した。


工研院から技術移転

 王・董事長はALD薄膜形成装置の開発に必要な技術を模索する中で、工研院の「物理カップリングモデル分析技術」を採用することにした。その後、工研院から特許技術10件の移転を受け、2種類の製造工程を1つのチャンバー(反応容器)で実行可能な世界初のALD薄膜形成装置の開発に成功した。

 工研院によると、半導体の製造では通常、工程ごとに異なるチャンバーを使用するため、次の工程に進む際に品質が劣化することが多いが、2種類の製造工程を1つのチャンバーで実行可能な旭宇騰のALD薄膜形成装置は▽コスト削減、▽工程の短縮、▽修理に要する時間の短縮、▽半導体が汚染されるリスクの低減などが期待できる。

 旭宇騰は、同社のALD薄膜形成装置は台湾製のため、修理に要する時間は1日と、従来製品の7分の1に短縮できると説明した。現在は新竹県竹北市の台元科技園区にある拠点で2ナノ向けALD薄膜形成装置の最終調整を行っている。(後略)


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業種
サービス業
本社所在地
中華民国台北市襄陽路9號8F 富邦銀行襄陽分行大樓
電話番号
-
代表者名
吉本康志
上場
未上場
資本金
7000万円
設立
1996年11月