高血圧治療、3人に1人以上が「負担に感じている」ことが明らかに。本人の努力だけでは埋まらない、治療を続けるための「支え」の不足が浮き彫りに

治療を負担に感じている人の82.6%が、治療を続けやすくする「支え」を求めていることが判明

Ubie株式会社

Ubie株式会社(本社:東京都中央区、共同代表取締役:阿部吉倫・久保恒太、以下「Ubie」)は、適切な医療へのアクセス困難という社会課題解決を目指す「医療迷子レスキュープロジェクト」において、高血圧で治療中・通院中の1,000名を対象とした調査を実施しました。

これまでの調査では、体調不良時の情報収集から受診、診察室でのコミュニケーション、健診結果の活用に至るまで、生活者が適切な医療行動をとるうえで様々な困難を抱えている「医療迷子」の実態を取り上げました。

今回は、診断を受けたあとの「治療を続ける」局面に着目し、その結果、高血圧の治療を続けている方の36.8%が、治療を続けるうえで負担やストレスを感じていることがわかりました。困りごとは「定期的な通院」51.2%にとどまらず、「家庭での測定と記録・管理」37.1%、「食事や運動など生活習慣の見直し」32.4%と、診察室の外の日常にも広がっています。
またその負担は、手応えの見えにくさと重なっています。負担を感じている方の33.3%が「治療を続ける手応えや実感が得られない」と答えた一方、無理なく続けられている方が最も多く挙げた理由は「血圧の数値が下がって手応えがある」70.1%でした。どちらの側からも「手応え」が共通して挙がっていました。

治療を続けられるかどうかは、本人の努力だけの問題なのでしょうか。治療を続けやすくするために「あったらいい」と思うものを尋ねたところ、66.8%が、記録の自動化や治療の見通しの提示といった何らかの「支え」を挙げ、負担を感じている層では82.6%に上りました。

■主な調査結果

  • 高血圧の治療を続けている方の36.8%が、治療を続けるうえで負担やストレスを感じている。何らかの困りごとを抱えている割合は76.4%。

  • 困りごとの内訳は「定期的な通院」51.2%、「家庭での測定と記録・管理」37.1%、「食事や運動など生活習慣の見直し」32.4%と、複数の場面にまたがっている。

  • 家庭での測定頻度は「ほぼ毎日」が47.1%で、半数を下回った。

  • 家庭で血圧を測れていない理由は「面倒で習慣にならない」が44.3%と最多で、「記録・管理が面倒」「測っても治療に活かされている実感がない」「正しく測れているか自信がない」がいずれも18.6%と同率で続く。(対象は家庭での測定が週1回に満たない方。月に数回以下、現在は測っていない、測ったことがない方を含む。n=388)

  • 治療を続けやすくするために「あったらいい」と思うものを尋ねると、66.8%が記録の自動化や治療の見通しの提示といった何らかの支えを挙げた。負担を感じている層に限ると82.6%。

■調査背景

これまでの調査では、体調の変化に気づいてから受診し、診察室で症状を伝え、健診結果を次の行動につなげるまでの各段階で、生活者が適切な医療にたどり着きにくくなる構造を明らかにしてきました。しかし、「医療迷子」は医療にたどり着くまでの問題だけではありません。診断を受け、治療を始めたあとも、それを何年も続けていく局面があります。
高血圧は、通院している人が最も多い疾患です(※1)。多くの方が日々、通院と服薬、家庭での血圧測定、生活習慣の見直しを続けています。治療の継続は、しばしば本人の意識や努力の問題として語られます。しかし、症状のない疾患の治療を何年も続けるということは、それだけでは成り立たないのではないでしょうか。本調査では、治療を続けるうえでどんな負担が生じているのか、そして無理なく続けている人との違いはどこにあるのかを明らかにするため、高血圧で治療中・通院中の方1,000名(男性81.3% / 女性18.7%。年代:20代2.2%、30代5.0%、40代9.7%、50代19.1%、60代34.5%、70代以上29.5%)に調査を実施しました。

■調査結果の詳細分析
※本調査の数値の一部は複数回答による結果です。特に断りのない限り、各数値の分母は有効回答数(n=1,000)です。分母が異なる場合はその都度nを明記しています。

【3分の1超が「負担」を感じ、約4人に3人が何らかの困りごとを抱えている。負担を感じながら治療を継続している】

毎日の服薬、数週間ごとの通院、家庭での血圧測定。高血圧の治療は、日常のなかに小さな手間がいくつも積み重なります。
治療を続けるうえで負担やストレスを感じるかを問うと、「とても感じる」9.8%、「やや感じる」27.0%と、合わせて36.8%が負担を感じていました。また、具体的な困りごとを何らか抱えている方は76.4%に上り、内訳は「定期的な通院」51.2%、「家庭での測定と記録・管理」37.1%、「食事や運動など生活習慣の見直し」32.4%と、複数の場面にまたがっていました。
負担を感じている層にその理由を伺うと(n=360)、「通院に時間や手間がかかる」61.7%、「費用の負担が大きい」45.3%が上位でした。通院や服薬を続けること自体は治療の根幹ですが、多くの方が負担を感じながら治療しています。

【測れていない理由は、「測る手間」に続き「記録・管理が面倒」「活かされている実感のなさ」が続く】

家庭で測る血圧は、診察室で測る血圧よりも日常の血圧の状態をよく表すため、治療方針の判断において重視される指標とされています(※1)。一方、どのくらいの頻度で測るのがよいかについては、ガイドラインによって記述に幅があります。
家庭での測定頻度について、「ほぼ毎日」47.1%、「週1〜6回」14.1%、週1回未満(月に数回/月1回未満・不定期/以前は測っていたが今は測っていない/測ったことがない)が38.8%(n=1,000)と、人によって幅のある回答となりました。
家庭での測定が週1回に満たない方(月に数回以下、現在は測っていない、測ったことがない方を含む。n=388)の理由として、「毎日測るのが面倒で、習慣にならない」44.3%が最多で、「記録・管理するのが面倒」「測っても治療に活かされている実感がない」「正しく測れているか自信がない」が、それぞれ18.6%と同率で並びました(複数回答)。手間という物理的な障壁に続き、測った数字が何につながっているのか見えにくいという手応えの見えにくさが、同じ割合で並んでいます。
一方で、測った数字を診察で共有すること自体は、家庭で測ったことがある方(n=953)の83.7%が経験していました。共有の機会そのものは、多くの方が持っています。

記録と診察の「あいだ」で起きていること

通院と記録は、別々の困りごとのように見えて、同じ場所でつながっています。手間をかけて測った数字が、自分の治療の見通しとして戻ってくるまでの道のりが長く、測ることと、活かされることがうまくつながっていないことが一因ではないかと考えられます。
医療迷子レスキュープロジェクトでは、生活者が医療にたどり着き、声を届け、必要なものがつながっていくまでの道のりで起きるすれ違いを、調査を通じて考察しています。高血圧の治療では、「日々の記録と、限られた診察時間のあいだ」に現れていました。

【生活習慣の見直しを「我慢」と受け止めている方の47.6%が負担を感じている。「工夫」と受け止めている方では27.7%】

本調査で差が見られたのは、生活習慣の見直しをどう受け止めているかでした。
「健康のために工夫するもの」と捉えている方が54.2%(542人)、「我慢したり制限したりするもの」と捉えている方が45.8%(458人)と、受け止め方はほぼ半々に分かれました。この2群を負担の感じ方でみると、「工夫」と捉えている542人のうち、負担を感じていると回答したのは27.7%(150人)だったのに対し、「我慢」と捉えている458人では47.6%(218人)にのぼり、19.9ポイントの差がありました。同じ健康管理でも、「工夫と捉えられている人ほど、負担感は小さい傾向がうかがえます。

同じ「減塩しましょう」という話が、ある方には禁止項目のように受け取られ、ある方には工夫の余地として感じられているのではないかと推察します。ただし本調査からは、受け止め方が負担を和らげているのか、負担が小さいから「工夫」と受け止められるのかまではわかりません。

なお、無理なく続けられている方(n=632)に、その理由を上位3つまで順位づけで伺うと、1〜3位のいずれかに挙げた割合は「血圧の数値が下がって手応えがある」70.1%、「自分の生活に無理なく組み込む工夫ができた」60.8%、「習慣として身についている」59.5%でした。

【治療を続けるためにあったらいいと思う「支え」を挙げた方は66.8%。負担を感じている層に限ると82.6%】

治療を続けるうえで「これがあれば負担が減る」と感じるものを伺いました。
最多は「血圧や体調の記録を自動でまとめてくれる仕組み」36.3%、続いて「治療の効果や見通しをわかりやすく示してくれるもの」26.9%、「自分の生活に合わせた具体的なアドバイス」22.6%、「通院や服薬のタイミングを知らせてくれる仕組み」17.5%、「気になったときにすぐ相談できるツール」15.5%となり、これらのいずれかを挙げた方は66.8%でした。
この声は、負担を感じている層でより高く、同じ項目を挙げた割合は、負担を感じている層で82.6%(n=368)、感じていない層で57.6%(n=632)でした。
負担を感じている層では、家庭で週1回以上測っている割合が67.9%(感じていない層では57.3%)、測った血圧を医師に見せた経験がある割合が88.0%(同81.2%)と、いずれも高い結果でした。すでに測り、共有もしたうえで、記録をまとめる手間を減らすものや、治療の見通しを支えるものを挙げています。
なお、体調や治療に関わる記録は機密性の高い情報です。こうした仕組みが広がる際には、本人の意思に基づいて、適切かつ安全に保存・管理・共有されることが前提となります。

■医師からのコメント

Ubie株式会社 在籍医師(総合内科) 平松 由布季
日本内科学会 総合内科専門医/日本プライマリ・ケア連合学会 会員/日本病院総合診療医学会 病院総合診療特任指導医

高血圧という病気の難しさは、ほとんど自覚症状がないことにあります。治療の目的は、将来の脳卒中や心臓の病気を防ぐことです。ところが「防げた」ことは実感できません。血圧が下がっても体調が変わるわけではなく、それでいて治療を続けていても発症することはある。もともと手応えを持ちにくい治療です。
今回の調査では、負担を感じている方の33.3%が「治療を続ける手応えや実感が得られない」と答えていました。この手応えのなさが、体感の乏しさを指しているのか、血圧の数値そのものが思うように下がらないことを指しているのかは、調査からはわかりません。ただ、臨床的にはどちらも大切です。前者であれば、それは高血圧という病気の性質であって、ご本人の努力とは関係がありません。後者であれば、治療の内容を見直すべきサインかもしれません。どちらにしても、手応えがないと感じたら、そのことを主治医に伝えていただきたいと思います。
家庭での血圧測定について、医師の側でも見直せる余地があると思っています。日本の高血圧管理・治療ガイドライン(※2)には、降圧薬の効果の判定には7日間(少なくとも5日間)の朝と晩それぞれの平均値を用いる、と記載されています。評価に必要なのはその期間の記録であって、すべての方に「一生、毎日欠かさず」を求めなければならないわけではありません。いつ、どのくらいの頻度で測っていただくのか、患者さんと話し合って、無理なく続けられる範囲に設定する必要があると感じています。
また、患者さんの頑張りを目に見える形でお返しできないかという点も考えたいところです。たとえば減塩は、「減らしているつもり」が実際に減っているのかどうか、ご本人にも私たち医師にも見えにくい取り組みです。同ガイドライン(※2)では、減塩指導の一環として、随時尿から食塩摂取量を推定する方法や、尿中のナトリウムとカリウムの比を測る方法が紹介されています。これらの測定が血圧を下げることを示す根拠はまだ十分ではありませんが、取り組みが実際に届いているかどうかを確かめる手がかりにはなります。血圧が思うように下がらないときでも、やれていること・やれていないことがわかれば、次の一手は変わってきます。

最後にひとつ。負担が大きいときに、ご自身の判断で薬をやめたり通院の間隔を空けたりすることは避けてください。通院も測定も薬の飲み方も、状態が安定していれば主治医と相談して調整できる可能性があります。負担は、我慢するものではなく、相談していいものです。

※1 出典:厚生労働省「2025(令和7)年国民生活基礎調査の概況」
※2 日本高血圧学会高血圧管理・治療ガイドライン委員会(編). (2025). 高血圧管理・治療ガイドライン2025. ライフサイエンス出版.

■調査概要
調査名:高血圧治療の継続に関する実態調査
調査方法:インターネット調査(Freeasy)。
調査対象:全国20歳以上で、高血圧で通院していると回答した方(降圧薬を服用している方・生活習慣の改善などで対応している方の両方を含む)
有効回答数:1,000名(スクリーニング調査 11,000名)
回答者の内訳:男性81.3% / 女性18.7%。年代:20代2.2%、30代5.0%、40代9.7%、50代19.1%、60代34.5%、70代以上29.5%
調査実施日:2026年7月29日〜7月30日
調査実施:Ubie株式会社

本調査はインターネット調査会社のモニターを対象としたWebアンケートであり、回答はすべて本人の自己申告にもとづきます。回答者は男性81.3%ですが、2025年国民 生活基礎調査(※1)に基づく高血圧の通院者はほぼ男女同数と推計されます。
これは、高血圧の有病率が中年期に男性で高いこと、女性の患者が偏在する後期高齢層はインターネット調査で捕捉されにくいことによると考えられます。また、Webでの回答が可能な層に限られるため、デジタルツールへの需要は実際より高く出ている可能性があります。群間の差について統計的な検定は行っていません。

■「医療迷子プロジェクト」とは
「医療迷子」とは、体調不良に気づいてから暮らしに戻るまで、「症状認知」「情報収集」「受診」「診断」「治療」など、医療に関わるあらゆる段階で困りごとを抱えてしまう状態です。
 その困りごとが生まれる場所は、医療の道のりにあるたくさんの「あいだ」です。生活者と医療のあいだ。患者さんと医療者のあいだ。医療者どうしのあいだ。現場と制度のあいだ。届くべき・出会うべき、医療・声・情報が、お互いにすれ違って迷子になっているかもしれない。
 迷子になるのは、患者さんだけではありません。紹介先に迷う医師も、前の病院の情報が届かない病棟も、複雑な制度を使いこなせない現場も、同じ構造のなかにいます。誰かのせいではなく、医療をとりまく仕組みが生む、構造の問題です。だからこそ私たちは、これらの「医療迷子」の実態を調査やインタビューなどから紐解いていきます。

医療迷子レスキュープロジェクト https://ubie.life/medical-maigo

これまでの調査

*「医療アクセス実態調査2025」第1弾・日本人の7割が「適切な医療行動」に迷い。情報に翻弄される実態が明らかに
*「医療アクセス実態調査2025」第2弾・ネットでの医療情報収集、約8割が次の行動に困難。情報過多で4割が「立ち往生」する実態が明らかに
*「医療アクセス実態調査2026」第3弾・2人に1人が診察室での「うまく伝えられない」悩みを経験「医師への配慮」が招くすれ違いの実態
*「医療アクセス実態調査2025」第4弾・健診結果の“置き去り”が浮き彫りに。要再検査等の判定後も43.8%が未受診


【Ubie株式会社について】

「テクノロジーで、医療の願いを解き放つ」をミッションに掲げ、医師とエンジニアが2017年5月に創業したヘルステックスタートアップです。AIをコア技術とし、生活者を適切な医療へと案内する「ユビー」や、診療の質向上を支援する医療機関向けサービス等を開発・提供。誰もが自分にあった医療にアクセスできる社会づくりを進めています。

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会社概要

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本社所在地
東京都中央区日本橋本町三丁目8番4号 日本橋ライフサイエンスビルディング4 5F
電話番号
03-6778-4016
代表者名
阿部吉倫・久保恒太
上場
未上場
資本金
-
設立
2017年05月