繊維リサイクルボード「PANECO® board M」、2026年より本格的な量産体制へ

廃棄衣料を素材に、新たな循環と選択肢を社会に提供

モリリン株式会社

2025年6月24日 10時00分

モリリン株式会社（本社：愛知県一宮市、代表取締役社長：森俊輔）が投資する、廃棄衣類繊維を原料とした繊維リサイクルボード「PANECO® board」【特許第7254401号】は、株式会社ワークスタジオ（本社：東京都新宿区、代表取締役社長：原和広）が開発し、ホクシン株式会社（本社：大阪府岸和田市、代表取締役：高橋英明）の技術協力のもと、MDF（中密度繊維板）の製造ラインを活用して、2026年初旬より試験的な量産がスタートする予定です。

実用性に配慮したサイズ規格

「PANECO® board M」は、従来の実験的生産から一歩踏み出し、安定した大量供給体制の確立に成功しました。量産にあたり、以下のサイズ規格での展開を予定しています。

巾　最大 1,240㎜
長さ最大 4,060㎜
厚さ最大 30㎜

建材や什器素材として扱いやすい寸法で、現場での加工や運搬にも配慮した仕様となっています。

従来展開していた「PANECO® board S」規格では、月産ベースで5トン程度とアップサイクル量に限界があり、社会的課題に応えるにはスケールの課題がありました。今回新たに量産を見据えて開発された「PANECO® board M」は、MDF製造工程に連続的に廃棄衣類を投入できる仕様とすることで、スケーラブルかつ安定的な生産体制を実現しています。

月間600トンの廃棄衣料をアップサイクル

PANECO® boardは、廃棄予定だった衣類や繊維くずを再資源化したボード素材です。今回の量産化により、年間約7200トン相当の廃棄衣料のアップサイクルが可能になります。

現在、世界では年間9200万トン、日本国内でも年間100万トン近くの衣類が廃棄されています。その多くが焼却や埋立処理に回され、大量の二酸化炭素の排出や土壌汚染など、環境への負荷を引き起こしています。また、寄付品として海外に輸出された衣類の多くも現地での需要を超え、最終的には廃棄物として積み上げられている実態もあります。こうした状況は、衣料消費の出口がグローバルに逼迫していることを示しており、国際的な社会課題としても顕在化しています。

PANECO®の取り組みは、こうした衣料廃棄問題に対して、現実的で持続可能な「出口」のひとつを提示するものです。

PANECO® boardが広げる循環の可能性

今回の本格的な量産体制の確立により、これまで対応が難しかった規模や用途への展開が可能になります。環境配慮型素材を必要とする現場はもちろん、衣類の廃棄に課題を抱える企業・団体・自治体にとっても、新たな資源循環の選択肢としての活用が期待されます。

特に、経済産業省が2024年3月に策定した「繊維・アパレル産業における環境配慮情報開示ガイドライン」では、2026年を目途に大手アパレル企業を中心とした「回収衣料品の処分方法」の開示が求められるようになります。PANECO® board Mは、こうしたガイドラインに対応しうる実質的なリサイクル手段としての活用も視野に入れており、循環型素材としての意義が今後いっそう高まることが見込まれます。

繊維リサイクルボード「PANECO®」は、これまでの挑戦を土台に、循環型社会の実現に向けて進化を続けながら、循環の輪を社会に広げていきます。