JR西日本と日立が開発した「着氷霜害に伴うパンタグラフ確認のAI化」が「2022年度日本鉄道サイバネティクス協議会 特別賞」を共同受賞
西日本旅客鉄道株式会社(以下、JR西日本)と株式会社日立製作所(以下、日立)は、技術名「着氷霜害に伴うパンタグラフ確認のAI化」が、2022年度日本鉄道サイバネティクス協議会特別賞を、2023年5月24日に開催された授賞式にて共同受賞したことをお知らせします。
1963年4月22日に設立された『日本鉄道サイバネティクス協議会』は、一般財団法人日本鉄道技術協会に属しており、サイバネティクス*の利用開発により鉄道を中心に、交通・通信全般の進歩発展に寄与することを目的とした協議会です。日立は、JR西日本と共同で、運行中の列車におけるパンタグラフの着霜確認をAI化する技術を開発しました。今回、本技術の新規性・実用性とともに、業務効率化などの導入効果が評価され、受賞に至りました。※通信と制御と統計力学の問題を機械も生物も含めて一括して研究する分野。現在は、コンピュータ利用の工学を指すことが多い。
JR西日本の山陽新幹線では、冬季において、気温・湿度・風速がある一定条件となった日に、氷や霜が架線に付着し、着氷霜が発生します。その状態の箇所(図‐1)を、列車が加速した状態で走行すると、著大なアーク(火花)によりパンタグラフのすり板を溶損させる事象として、霜害を引き起こします。具体的には、正常な状態のパンタグラフのすり板(図‐2)が、図‐3で示す通り、赤枠のように溶損することにつながります。
これまでは、霜害によるパンタグラフのすり板の溶損を早期発見・指令への伝達を目的とし、駅ホームに設置されたネットワークカメラの映像を通じ、係員の目によるリアルタイム監視を実施していましたが、監視は12月から翌年3月までの早朝(午前6時から9時まで)に当番制にて実施しており、大きな業務負荷が課題となっていました(図‐4)。
本技術を適用することで、このような目視による確認業務をAIによる画像解析に置き換え、工数ならびに人的負担を削減できるように実用化し、業務を変革、省力化を実現しました。パンタグラフの異常を常時発見し、かつ誤検知を可能な限り減らす(本技術適用による現時点の見逃率は0%、誤検知率は約1.5%)ことを目標に開発を行い、安全性を維持しつつ業務効率化に貢献しています。今後は再学習により、さらなる精度向上、他の検査および修繕を行う検修業務への適用をめざします。
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