宿泊業界に広がるシニア採用、50代以上の受け入れは約6割評価されるのはスキルと意欲、若手重視や体力面への懸念もある中、今後の課題は「業務の可視化」

〜4月1日「高年齢者雇用安定法」改正施行へ ダイブ×宿屋塾 共同調査〜

株式会社ダイブ

全国約4,600以上の観光施設に特化した人材サービスを展開する株式会社ダイブ(東京都新宿区、代表取締役社長:庄子潔、証券コード151A、以下「ダイブ」)と、子会社である株式会社宿屋塾(東京都新宿区、代表取締役社長:山本拓嗣、以下「宿屋塾」)は、宿泊業における50代・60代以上の採用状況について、共同調査を実施しました。

◾️調査背景

現在、多くのホテル・旅館では人材不足が深刻化しており、特に若年層の確保が課題となっています。一方で、2025年4月に施行される改正高年齢者雇用安定法により、企業は65歳までの雇用確保が完全義務化(*1)され、シニア層の活用が今後さらに求められます。加えて、2025年には団塊世代が全員75歳以上となり、労働市場の構造も変化していくと考えられます。こうした状況を踏まえ、ホテル・旅館業界における50代・60代の採用状況や受け入れ態勢を把握するため、本調査を実施しました。

(*1)出典:厚生労働省|高年齢者雇用安定法の改正~「継続雇用制度」の対象者を労使協定で限定できる仕組みの廃止~

【実態調査サマリー】
● 約6割の施設が50代以上の人材をすでに採用しており、シニア層の活用は広がりつつある

● 採用理由としては、「スキルや意欲を評価した結果」(24.4%)が最も多く、「即戦力として期待できる経験・スキルがあった」(23.5%)が続き、「若手人材の確保が難しい」(19.2%)や「安定感のある働き手が必要だった」(15.5%)といった人手不足を背景とした声も一定数見られた

● 採用をためらう理由には、「若手人材を優先したい」「健康・体力面が心配」「業務イメージが持てない」などが挙がった

回答者の属性

Q.貴社施設に関して教えてください。単一解答(n=151、うち無回答1)

8割を超える施設が人手不足と解答

人手不足について調査をしたところ、「非常に感じている」(49.7%)「やや感じている」(35.8%)を合わせると約86%の施設が人手不足を感じていることがわかりました。

Q.貴社では「人手不足」を感じていますか。単一解答(n=151)

最も人手不足を感じているのは地域密着型フルサービスホテル

前述の人手不足について、施設ごとに調査を行ったところ、「地域密着型フルサービスホテル」が「非常に感じている」と回答した割合が66.7%と最も高いことがわかりました。次いで、シティホテル(大都市圏 フルサービス型ホテル)が63.6%、中型旅館(21室~50室以下)が61.9%となっています。

Q.貴社では「人手不足」を感じていますか。単一解答(n=151)

シニア層の採用は進む一方、新規採用の動きは限定的

シニア層の採用について調査をしたところ、「既に採用している」と回答した施設は60.9%にのぼり、約6割の施設がすでにシニア人材を活用していることがわかりました。
一方で、「今後採用を検討している」は14.6%にとどまり、「検討していない」(21.2%)を下回る結果となりました。
この結果から、シニア層の雇用は一定の広がりを見せているものの、新たに採用を検討する動きは限定的であり、施設ごとに対応の違いがあることがうかがえます。

Q.貴社では新たに、シニア層の採用を検討されていますか。単一回答(n=151)

シニア採用の理由、4割は『スキル・意欲重視』、2割は『若手不足』

前述のシニア層の採用について「既に採用をしている」と回答した施設に、その背景を調査したところ、「特に年齢は気にせず、応募者のスキルと意欲を評価した結果」(24.4%)や「即戦力として期待できる経験やスキルを持っているため」(23.5%) などの理由が挙げられました。
 この結果から、年齢に関係なく、スキルや意欲を重視する採用の動きが見られます。

一方で、「若手人材の確保が難しい」と感じている施設は約2割にのぼり、宿泊業界特有の労働環境や待遇面、採用市場の競争激化が影響していると考えられます。
 こうした状況を受け、「安定感のある働き手が必要だったため」(15.5%) という理由でシニア層の採用に踏み切る施設もあるようです。

Q.50歳以上を採用した背景を教えてください。複数回答(n=213)

大型旅館や地域密着型ホテルで、50歳以上の採用が一定の割合を占める

前述のシニア層の採用について「既に採用をしている」と回答した施設に、現在50歳以上の従業員がどれくらいいるのか調査したところ、大型旅館や地域密着型ホテルでは50歳以上の雇用が比較的多いことがわかりました。
 これは、人手不足や若手人材の確保が難しいという課題がある一方で、シニア層の活躍が求められている状況とも言えそうです。特に注目すべきは、パート・アルバイトの次に正社員としての雇用も一定数あることです。
 単に「若手がいないからシニアを雇う」という消極的な理由だけではなく、接客や運営において長年の経験を活かせるシニア層が戦力として期待されている側面もあるのではないでしょうか。

また、地域密着型の宿泊施設では、地元のシニア層が安定した働き手として重要な役割を担うケースも見られます。

Q.現在、50歳以上の従業員は何名いますか。複数回答(n=68)

シニア層の業務で最も多いのは調理、全体の26.0%を占める

業務内容について調査をしたところ、最も多い業務は「調理」(26.0%)、次いで「フロント」(22.4%)、「客室清掃」(21.2%)となりました。その他には、施設管理や支配人のサポートなど施設運営に関わる業務も含まれており、幅広い役割でシニア層が活躍していることがうかがえます。

Q.50歳以上の従業員が主に担当している業務内容について教えてください。複数回答(n=250)

シニア採用に慎重な施設、若手確保の難しさと体力面の懸念が影響

前述のシニア層の採用について「今後採用を検討している」または「検討していない」と回答した施設に、採用にあたり懸念していることを調査したところ、「若手人材がほしい」(32.2%)が最も多く、次いで「健康や体力面が心配」(20.7%)という回答が挙げられました。「若手人材がほしい」という理由が最多であることから、まずは若手の確保を優先したい施設が多いことがうかがえます。また、「健康や体力面が心配」という声も一定数あり、業務負担や長期的な勤務継続に対する懸念が採用のハードルになっている可能性もありそうです。

加えて、「どんな業務で活躍いただけるかわからない」(9.1%)という回答も一定数あり、シニア層の採用に前向きな施設であっても、具体的な業務の割り当てや適性の判断に課題を感じている様子がうかがえます。この点を解消するためには、シニア層がどのような業務で活躍できるのか、採用側に対する情報提供や事例の共有が重要になると考えられます。

Q.懸念されている点はありますか。複数回答(n=121)

今後の採用・定着に向けた具体的な施策について

シニア採用に限らず、宿泊業界全体の採用や定着(離職対策)について調査したところ、各施設から寄せられた自由記述の回答を整理すると、「労働環境の改善」「採用の多様化」「従業員満足度(ES)向上」の4つの視点が浮かび上がりました。

それぞれの施策を見ていくと、働きやすい環境づくりや柔軟な雇用形態の導入を進めながら、業界の魅力をどのように伝えていくかが今後の課題になりそうです。

Q.シニア採用に関わらず、貴社で今後の採用や定着(離職対策)として、具体的な施策があれば(既に行っていることも含め)ご回答ください。(自由記述回答)※一部抜粋

  1. 労働環境の改善による定着促進
    ●従業員のシフトを極力固定にしている(中型旅館)
    ●本社主導で給与・福利厚生の改善を進めるほか、各施設ごとに職場環境の整備を図る(中型旅館)
    ●閉館日(定休日)の導入やフレックスタイム制度の導入、社員寮の改善(チェーン型リゾートホテル)
    ●健康であれば希望に沿った働き方を提供し、パート時給を向上(大型旅館)

  2. 採用多様化
    ●労働力不足の解決策として、外国人採用を進め、研修を通じたサポートも実施(チェーン型リゾートホテル/小規模旅館)
    ●スキル向上やキャリア形成の支援を強化し、従業員のモチベーション向上につなげる(チェーン型リゾートホテル)
    ●繁忙期の人手不足対策とした短期スポット採用や、社員の家族を対象とした柔軟な雇用形態を取り入れる(小規模旅館)

  3. 従業員満足度(ES)向上の取り組み

    ●従業員の声を積極的に反映し、勤務環境の改善を図る(地域密着型フルサービスホテル/中型旅館)
    ●研修制度を見直し、スキル向上やキャリア形成の支援を強化(チェーン型リゾートホテル)
    ●離職防止よりも、中途採用を含めた魅力的な職場づくりを推進(大型旅館)

  4. その他
    ●都市部だけではなく、地方で働くメリットを発信することが重要
    ●マーケットにおいて宿泊業が「素敵な業界」だと思われるような取り組みが求められる
    ●意見交換や情報共有の場を増やしてほしい、課題共有や成功事例の共有が業界全体の採用・定着につながる可能性がある

<ホテル・旅館の分類について>

・チェーン型リゾートホテル(5施設以上)

   同じブランド・運営会社のもとで、5施設以上運営されているリゾートホテル。

・中型旅館(21~50室以下)

  客室数21~50室の旅館。規模が大きすぎず、個別のサービスが行き届きやすい。

・大型旅館(51室以上)

  51室以上の客室を持つ旅館。団体旅行や宴会で利用されるケースが多い。

・独立系リゾートホテル(4施設以下)

  同じ運営会社で4施設以下の規模で展開されるリゾートホテル。地域ごとの特色が出やすい。

・チェーン・リミテッド・サービス型ホテル(宿泊特化型ホテル)

  全国展開するビジネスホテルタイプで、宿泊に特化したシンプルなサービスを提供するホテル。

・シティホテル(大都市圏 フルサービス型ホテル)

  大都市圏に立地し、宿泊・レストラン・宴会・会議などのフルサービスを提供するホテル。

・小規模旅館(1~20室以下)

  1~20室の小規模な旅館。個人経営が多く、アットホームな雰囲気が特徴。

・地域密着型フルサービスホテル

  特定の地域で、宿泊だけでなくレストランや宴会場など多様なサービスを提供するホテル。

・独立系リミテッドサービスホテル(宿泊特化型ホテル)

  1施設ごとに独立した運営で、宿泊を主目的とするホテル。チェーン展開はしていない。

・レジャーホテル

   宿泊に加えて、観光・レジャー要素を重視したホテル。テーマパーク隣接型や温泉併設型などが含まれる。

■調査概要

調査名称 :宿泊業における50歳~60歳以上の採用状況に関する実態調査

調査期間 :2025年2月18日~2025年3月5日

調査方法 :Googleフォームによる回収
調査対象 :ダイブの取引先施設および株式会社宿屋宿のメルマガ登録者を対象に調査を実施

有効回答数:151件(小数点以下を切り捨て)

実施主体 :株式会社ダイブ、株式会社宿屋塾

【株式会社宿屋塾・概要】

会社名     :株式会社宿屋塾

         ※法人名は、株式会社 宿屋塾、学校名、ブランド名は「宿屋大学」です。

創業      :2010年4月

代表取締役   :山本拓嗣

本社所在地   :〒160-0022 東京都新宿区 新宿2-1-12 PMO新宿御苑前 3F

サイト     :https://yadoyadaigaku.com/ 


株式会社 宿屋塾は、宿泊業界における人材育成を目的として2010年に設立されたホテルビジネス、ホテルマネジメントに特化したビジネススクールです。実務に直結した専門的な教育プログラムを提供しており、ホテルや旅館などの宿泊施設で即戦力となる人材を育成しています。また、研修受託事業を通じてマネジャー育成研修の設計・運営も数多く行っており、ホスピタリティ業界の人材育成において重要な役割を果たしています。


【株式会社ダイブ・概要】

会社名     :株式会社ダイブ

創業      :2002年3月

代表取締役社長 :庄子 潔

本社所在地   :〒160-0022 東京都新宿区 新宿2-8-1 新宿セブンビル10F

サイト     :https://dive.design/ 

ダイブは、日本経済の成長エンジン「観光業」の大課題を解決すべく、事業展開しているベンチャー企業です。

基幹事業である観光施設に特化した人材サービス(リゾートバイト)においては、観光施設の大課題である「人手不足」の解決に寄与しており、年間9,320人の観光従事者を創出。日本人人材と外国人人材あわせて、全国47都道府県、4,600施設以上の観光施設と、人材のお取引実績があります。

また、新規事業の地方創生事業では、全国6カ所の非観光地(過疎地・消滅可能性自治体を含む)において、D2Cの観光事業を展開。収益の創出・外貨の獲得はもちろん、地域事業者と連携することでのサステナブルな地域づくりに貢献しております。

その他にも、グランピング施設に特化したWEBメディア「 GLAMPICKS(グランピックス)」の運営をはじめとした宿泊施設に対しての集客支援など、IT領域での事業展開も積極的に行っております。


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会社概要

株式会社ダイブ

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URL
https://dive.design/
業種
サービス業
本社所在地
東京都新宿区 新宿2-8-1 新宿セブンビル10F
電話番号
03-6311-9833
代表者名
庄子潔
上場
東証グロース
資本金
1000万円
設立
2002年03月