約7割が「妥協して働いている」と回答──地方在住障害者の就労実態、希望とのギャップが浮き彫りに
障害者就業支援を通じて“誰もが自分らしく生きる社会”を目指す株式会社スタートライン(本社:東京都三鷹市、代表取締役:西村賢治)は、地方在住の障害者100名を対象に「地方在住障害者の就労に関する実態調査」を2025年10月8日〜10月9日に実施しましたので、調査結果をお知らせします。
▼調査トピックス
・現在の職場に「妥協している」と回答した人が7割
・妥協した項目の第1位は「給与」、第2位は「職種や業種」
・就労先の選択肢が「十分にあった」と感じた人はわずか1割
・企業に改善を求める声は「求人数の増加」「障害者への理解促進」が上位
▼調査結果の詳細
1…求人探しは「ハローワーク」が最多(62%)
地方在住の障害者100名を対象とした今回の調査では、62.0%が「ハローワーク」を利用して求人を探していました。次いで「求人サイト」(27.0%)、「支援員からの紹介」(20.0%)が続きます。地方では求人情報の入手経路が限られており、ハローワークへの依存度が高いことが特徴です。

2…就職活動に半年以上かかった人が約3割
「1年以上かかった」が27.0%で最多、半年以上かかった人は約3割に上ります。求人の選択肢が少なく、希望条件に合う職場を見つけるまでに時間がかかる傾向があることが明らかになりました。

3… 現在の職場に「妥協している」と回答した人が7割
「かなり妥協している」「一部は妥協している」が合計70%。希望通りの職場に就けている人は少数派で、職種や条件の選択肢が限られている現状が浮き彫りになりました。

4… 妥協した項目の第1位は「給与」、第2位は「職種や業種」
妥協した項目として最も多かったのは「給与」(54%)、次いで「職種や業種」(43%)。勤務時間や働き方(34%)、障害への配慮(20%)も課題として挙げられています。企業側には、給与水準や職種の多様化、柔軟な働き方の供が求められます。

5… 就労先の選択肢が「十分にあった」と感じた人はわずか1割
「全くなかった」「あまりなかった」が合計70%。十分な選択肢があったと感じる人はわずか10%でした。求人情報の偏りが顕著で、障害者が希望する条件で働ける場が限られていることが課題です。

6… 求人の選択肢がなかった理由
「希望する職種や業種がなかった」(54%)、「希望する勤務条件がなかった」(50%)が上位。「障害特性に配慮した求人がなかった」とする回答も26%あり、企業側の理解不足が背景にあります。

7… 就職活動で困ったこと
「障害への理解がある企業を見つけるのが難しかった」(27.0%)、「相談できる人や場所が少なかった」(26.0%)が上位。情報不足や孤立感が、就職活動のハードルを高めています。

8… 就職活動の際に困ったこと
就職活動の際に困ったことを伺うと、以下のような声が寄せられました。
「社会に出るのが精神的に辛かった。」
「地元だと求人が少ない。」
「なかなか自分に合う仕事が無かった。」
「企業の障害者枠が埋まっていたり希望する労働条件が合わなかったりして応募できる企業の数が少なかった。」
「障がいに対する無理解。」
「通院などの配慮がないところが多い。」
「自分に何が向いているかわからなかった。」
「オープンにするかどうか。 」
「年齢で求人がはねられる。」
「職場見学や職場実習できる企業が少ない。」
9… 企業に改善を求める声は「求人数の増加」「障害者への理解促進」が上位
「求人数をもっと増やしてほしい」(33.0%)、「障害者への理解を深めてほしい」(25.0%)が上位。採用情報の公開やリモート面接導入も求められています。企業側の積極的な情報発信と柔軟な採用プロセスが課題です。

10… 今後の就労意向
「現在の地域で働き続けたい」が50.0%。地元での就労希望が強い一方で、選択肢不足が課題です。地域における障害者雇用の受け皿づくりが急務といえます。

まとめ
500社以上の障害者雇用を支援してきた当社の障害者雇用エバンジェリストによるコメント

吉田 瑛史(株式会社スタートライン 障害者雇用エバンジェリスト)
パナソニックグループ、マイナビ、パーソルグループを経て株式会社スタートラインへ入社。企業支援、障害者支援、人事、組織管理、業務開発、就労移行支援、研修/講師、農福連携、マーケティング、エバンジェリストなど、多岐にわたる役割で、500社/5,000名以上の障害者雇用に携わった経験を「障害者雇用」をより良くするために伝道する「障害者雇用エバンジェリスト」。
今回の調査で明らかになったのは、地方における障害者雇用の現実です。約7割が『妥協して働いている』と回答し、求人の選択肢不足や企業側の理解不足が大きな課題となっています。自由回答では『地元だと求人が少ない』『障害への理解がない』『年齢で求人がはねられる』といった声が寄せられ、現場の切実な状況が浮き彫りになりました。
企業に求められるのは、求人の幅を広げることと障害への理解を深めることです。職種や働き方の多様化、在宅勤務や短時間勤務など柔軟な選択肢を提示することで、採用の可能性は大きく広がります。また、採用担当者や現場への研修を通じて、障害特性に応じた配慮を実現することが、定着率の向上につながります。こうした取り組みは、採用力の強化だけでなく、企業価値の向上にもつながります。
スタートラインは、新たな働き方となるサービスを開発するだけではなく、全国に多様な働き方の選択肢から、働き方が選べる状態をつくり、誰もが自分らしく生きる社会を実現していきたいと考えています。
過去の調査はこちら
・約9割の教員が「企業の支援をもっと手厚く」と回答──企業に求める支援は「職場見学・体験実習」が最多(41%)、障害のある生徒の進路指導に携わる教員102名に調査~教育現場から届いた切実な声とは~
・障害ある生徒の“卒業後”・・・『社会の選択肢が揃っていない』7割~理由:「職場の受け入れ体制不備」51%、「就労支援制度の不足」41%~
・8割強の働く障害者が「辞めたい」と感じた経験・・・原因は「周囲から必要とされない」が最多~仕事して良かった理由の最多は「成果や貢献が認められたとき」~
・【実態調査】民間企業で3年以上働く障害者に聞いた!就活で感じた困難&本当に欲しかった支援とは?
<調査概要>
【調査対象】現在、地方(一都三県、関西三府県、愛知県、福岡県を除く地域)で就労中の障害者100名
【調査方法】IDEATECHが提供するリサーチデータマーケティング「リサピー®︎」の企画によるインターネット調査
【調査期間】2025年10月8日~10月9日
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株式会社スタートライン
ABA(応用行動分析)やCBS(文脈的行動科学)、第三世代の認知行動療法に基づいた効果的で専門的な支援で、障害者雇用の新しい「場」づくりから定着支援までワンストップで実現する会社です。
「自分をおもいやり、人をおもいやり、その先をおもいやる。」の企業理念のもと、2009年創業以来、障害者雇用支援の領域において障害者の「採用」と「定着」に重きを置き、障害者雇用支援サービスサポート付きサテライトオフィス「INCLU」を運営。障害者雇用に関する総合コンサルティングを軸に、屋内農園型障害者雇用支援サービス「IBUKI」、ロースタリー型障害者雇用支援サービス 「BYSN」、企業/障害当事者向けカスタマイズ研修、在宅雇用支援、障害者採用支援などサービスメニューを拡充しています。一つでも多くの選択肢をつくり、多様な人々の可能性を拡張することで、誰もが自分らしく生きる社会を目指しています。

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