約6割が「次世代のリーダーづくり・後継体制づくり」が人材育成上の課題と回答。幹部の今一番の課題・悩みは「部下育成」が最多に。「2024年度 人材採用・育成・制度に関する企業アンケート調査」結果を発表
日本の経営コンサルティングのパイオニアである株式会社タナベコンサルティング(本社:東京都千代田区・大阪市淀川区、代表取締役社長:若松 孝彦)は、全国の企業経営者、役員、経営幹部、管理職、人事責任者・担当者を対象に実施した「2024年度 人材採用・育成・制度に関する企業アンケート調査」の結果を発表します。
1.調査結果サマリー
(1)人材育成上の課題は、「次世代のリーダーづくり・後継体制づくり」が最多(57.6%)。また、特に不足している人材(強化したい人材)は「DX・システム系の人材」(38.4%)、「経営企画・戦略に携わる人材」(38.0%)という結果になりました。
(2)人的資本経営に取組む上での課題は「人的投資の遂行」が最多(43.5%)、次いで「人的資本指標の明確化」(43.2%)という結果に。人的資本経営を実行に移すことに課題を感じていたり、最終的な目標数値を明確化することに課題を感じている企業が多いことがわかります。
(3)幹部(個人)が抱えている一番の課題・悩みは「部下育成」が最多(43.4%)。 次に多かったのは「生産性・業務効率の向上」(35.6%)、「自部門(会社)の業績アップ」(29.6%)となりました。
2.「2024年度 人材採用・育成・人事に関する企業アンケート」詳細
[調査対象] 全国の企業経営者、役員、経営幹部、管理職、人事責任者・担当者など
[調査期間] 2024年7月8日~2024年7月26日
[調査エリア] 全国
[有効回答数] 272件
※各図表の構成比(%)は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても100%にならない場合があります。
(1)「選考中の途中離脱・内定辞退」が増加! 選考及び内定後のフォローが課題に。
新卒採用における課題に関しては、2023年度の同調査の結果と比較して「母集団形成が不十分」(42.4%)が減少しているものの、「選考中の途中離脱・内定辞退が多い」(29.9%)が増えていることから、選考及び内定後のフォローを課題と捉えている企業が増加していることがわかります。
(2)約6割が「次世代のリーダーづくり・後継体制づくり」が人材育成上の課題と回答。
2023年度に引き続き「OJT(教える側)のレベルアップ」(43.2%)、「教育計画の見直し」(38.7%)、「自発的に学ぶ風土づくり」(37.3%)が依然高い結果となりました。特に「OJTのレベルアップ」が多い理由として、現場指導者の時間確保や指導者の教育レベルのバラつきへ課題感を抱いていることが考えられます。
2024年度から選択肢に追加した「次世代のリーダーづくり・後継体制づくり」(57.6%)に重点を置く企業も多く、将来の経営者や経営幹部候補人材の育成が急がれます。また、時代の変化に応じて企業の経営層に求められる知識や能力も広範囲に及んでおり、早期から次世代リーダー候補を育てようとする企業が増加していることがうかがえます。
他にも「評価制度と連動させた教育運用」(35.4%)にも関心が集まっており、適切な人事評価制度のもとで人材を育成する教育制度構築が求められています。
(3)不足している人材は「DX・システム系の人材」と「経営企画・戦略に携わる人材」!
「不足している(強化したい)と感じる人材」に関しては、「DX・システム系の人材」(38.4%)、「経営企画・戦略に携わる人材」(38.0%)がいずれも2023年度の結果と比較して増加していることから、デジタル活用に特化したスペシャリスト人材と、より経営側に立った視点を持つ人材が求められていることがわかります。
(4)人的資本経営に取組む上での課題は「人的投資の遂行」と「人的資本指標の明確化」。
人的資本経営に取組む上での課題として最も多い回答は「人的投資の遂行」(43.5%)となりました。人的資本経営を認知しているものの、実行に移すことに課題を感じている企業が多いことがうかがえます。次点は「人的資本指標の明確化」(43.2%)であり、人的資本の最終的な目標数値を明確化することに課題を感じている企業が多いことがわかりました。
他の回答に目を向けると、「ワークライフバランスの見直し」(21.8%)、「人材の多様性の促進」(19.9%)、「時間や場所に捉われない働き方の促進」(17.7%)となっており、多様な人材・ワークスタイルの受け入れに課題を感じている企業が多いこともわかりました。
3.「2024年度 人材採用・育成・人事に関する企業アンケート(幹部編)」詳細
[調査対象] 当社主催「幹部候補生スクール(2024年度)」に参加中の幹部・リーダー人材
[調査期間] 2024年5月
[調査エリア] 全国
[有効回答数] 719件
※各図表の構成比(%)は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても100%にならない場合があります。
(1)約半数が「目標意識に個人差がある」ことが自部門の課題・悩みと回答。
自部門における一番の課題として「目標意識に個人差がある」(46.3%)が最も多い結果となりました。組織・チームメンバーに対して「今、何が大事か。何をすべきか」の判断基準をわかりやすく伝え、いかにして浸透させ、組織・チームとして一体感を持たせていくかが求められます。
次に「若手社員が上手く育たない」(25.0%)、「効率化が図れていない」(24.3%)、「人手不足」(22.8%)と続きました。働き方改革の一環として「業務の効率化」が取組まれている一方で、自部門においてはその効果が発揮されていないことがわかります。人手不足も叫ばれる中、自部門にとって最適なあるべき姿を模索することが重要です。
(2)幹部が抱えている一番の課題・悩みは「部下育成」(43.4%)が最多!
幹部が個人として抱える課題として最も多かったのは「部下育成」(43.4%)、次に「生産性・業務効率の向上」(35.6%)、「自部門(会社)の業績アップ」(29.6%)となりました。この上位3つの並びは2023年度の結果と同じです。また、「組織活性化」(27.3%)や「チームワークの強化」(17.0%)、「部下とのコミュニケーション」(8.8%)も上位に入りました。いずれも組織・チーム運営で注目されているエンゲージメント向上や心理的安全性の確保を進めていく上で軽視できない項目です。
4.専門コンサルタントによる総括
育成・研修の共通課題として、「自社を担う次世代リーダーの育成」が多く挙げられました。その背景には、目まぐるしく変化するマーケットへの対応に加え、従業員の価値観や働き方の変化・多様化への対応など、ここ数年で経営を取り巻く環境が大きく変化していることがあります。企業も変革しなければ淘汰されてしまうという危機感から導き出された答えでしょう。
変革を実装し、定着させていくには、経営者の力だけでは不十分です。これらを牽引し、人を巻き込んでいく強いリーダーシップを発揮するリーダーが必要不可欠です。したがって、リーダー育成を単発・単年で終わらせてはいけません。経営システムとして、継続的にリーダーを輩出する仕組みの構築が求められています。
人的資本経営や人事全般について、今後の重要なポイントは実装と運用です。タナベコンサルティングでは、「制度3割、運用7割」と示している通り、これらの指標・制度・仕組みを回していくには、前述したリーダーシップを発揮するリーダーの存在が必要不可欠であり、リーダーの協力なくしては成功することが難しいです。したがって、このレイヤーに対して腹落ちするまで説明することが重要です。
加えて、欠かせないのがリーダーのみならず、全従業員に対する説明です。人事領域においてもインナーブランディング施策が注目されています。イントラネットでの告知だけではなく、対話の場やいつでも・どこでも確認できる動画など、従業員目線で「どのように知るか」を追求する施策を講じていただければ幸いです。
〈総括 執筆者プロフィール〉
株式会社タナベコンサルティング
HRコンサルティング事業部 エグゼクティブパートナー 盛田 恵介
セミナー責任者を経てコンサルティングに携わる。人づくりをデザインする総合プロデューサーとして、中堅企業の人事・教育制度構築から運用に至るまでトータルでサポート。特に、様々な業種・業態の企業内大学(社内アカデミー)設立の実績を有し、多くの社員の成長を促すプログラム開発にクライアントから高い評価を受けている。
5.関連リンク
・「2024年度 人材採用・育成・制度に関する企業アンケート調査」資料ダウンロードページ
URL:https://www.tanabeconsulting.co.jp/hr/download/corporate-survey-2409.html
・当社メディア『TCG REVIEW』(「2024年度 人材採用・育成・制度に関する企業アンケート調査」リポート)
URL:https://review.tanabeconsulting.co.jp/column/pick-up-topics/49462/
タナベコンサルティンググループ(TCG) について
TCGは、1957年に創業し、67年の歴史と実績を有する日本の経営コンサルティングのパイオニアです。「企業を愛し、企業とともに歩み、企業繁栄に奉仕する」という経営理念のもと、現在地から未来の社会に向けた貢献価値として、「その決断を、愛でささえる、世界を変える。」というパーパスを定めています。
大企業から中堅・中規模企業、行政/公共のトップマネジメント(経営層やリーダー)を主要クライアントとし、創業以来17,000社以上の支援実績を有しています。
経営コンサルティング領域として、戦略策定(上流)から現場におけるDXなどの経営オペレーションの実装・実行(中流~下流)まで、企業経営を一気通貫で支援できる経営コンサルティングモデルを全国地域密着で構築しています。そして、「All for Client Success-すべてはクライアントの成功のために」という徹底したクライアント中心主義のもと、個社ごとの経営課題に合わせて複数名のプロフェッショナルコンサルタントを選定してチームを組成する「チームコンサルティング」を提供しています。
〈経営コンサルティング領域〉
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