<SEEP 全国調査 2024年上期顧客満足度分析 調査レポート>インバウンド需要は増加、店舗パフォーマンスは下落傾向
SEEP全国調査について
SEEPでは年2回(2月・8月)、全国のファッションブランドの店舗を対象に大規模な顧客満足度調査を独自で行っております。本調査はラグジュアリー、アフォーダブルラグジュアリー、セレクトショップ、カジュアル、スポーツ、ジュエリーを対象に、東京、大阪、名古屋、札幌、福岡の5エリアで実施しています。
SEEP調査の基本説明
SEEPの調査設計は、接客プロセスのシーンと接客体験全体を分析しています。
接客プロセスは、お客様との出会いの部分である「アプローチ」、そこからお客様に寄り添う形で要望を聞きながら商品提案を行う「ヒアリング~プロポーザル」、そして最終プロセスである「クロージング」の3つのシーンとなります。そこに接客体験全般を通じた「基本項目」「印象項目」を追加し、5つのシーンの調査結果をポイント制で示しています。
<SEEP調査の特徴 ~3つのポイント~>
①「モニター型調査」:一般のお客様で、ファッションやコスメに親和性の高い方に店舗調査を行っていただきます。
②「複数調査による高い信憑性」:調査の信憑性を保つため、1店舗あたり複数名がそれぞれ違う視点で調査することを前提としています。それにより客観的な調査結果が得られます。
③ 店舗調査での見落としがちな「最初のアクション」:入店から接客に入るまでの状況を具体的に調査します。店舗の受け入れ体制とお客様が感じる第一印象について分析できます。
第一部 現在の市場状況について
・外部環境分析とインバウンド消費の動向(※一部抜粋)
前回(2023年8月)からの社会状況の変化として、各企業では賃上げへの早期決着がみられる状況となりました。日本株式では日経平均株価が4万円を超える場面もあり、マーケットの動向にも目を離せない時期となりました。一方、物価の上昇も比例しており、生活レベルの変化という点ではあまり変わらず、むしろ一部状況では厳しくなっているという側面は否めません。
全国百貨店の売上高変遷を見ていくと、売上高は3,803億円(8月)から4,329億円(2月)へと伸びています。免税総売上は317億円(8月)から469億円(2月)と約1.5倍となり、免税の購買者数も31万人(8月)から約1.4倍の42万人(2月)と伸びています。百貨店全体としての売上額については、2023年12月をピークに若干下がり一旦落ち着いている状況ではありますが、インバウンドの売上げは12月の繁忙期に迫る勢いです。
・消費者物価指数/人材業界動向( ※一部抜粋)
賃上げと物価指数の連動により上昇傾向が続いていることは明確です。通常、消費者物価指数が上昇すれば家庭の消費支出は増加し、収入が増加しなければ生活は苦しくなります。この期間は(インバウンドを除いて)支出の伸びが抑えられ、国内の売り上げは低迷したと考えられます。
第二部 SEEP全国調査分析
・ 2024年上期 店舗顧客調査の全体傾向( ※一部抜粋)
前回もこれまでにない数値の下がり方を記録しましたが、今回はさらに下落傾向が続き、店舗顧客満足度は今までにないほど数値が下がっています。想定されるのは圧倒的な来客数の増加により、売り場では売り上げ確保の動きが中心となり、サービスレベルの向上まで手が回らないという状況があったと考えられます。
・ カテゴリー別考察/エリア別傾向(東名阪札福) ( ※一部抜粋)
前回と比較して、セレクトショップカテゴリーの点数が下落。アフォーダブルラグジュアリーは前回と同点数と高い得点を確保できており、ラグジュアリーとアフォーダブルの差がどんどん縮まっています。接客のスタイルは各カテゴリーで異なりますが、アフォーダブルラグジュアリーの応対力は確実に得点に結びついていることが考えられます。
接客体験全体を通じて醸成される印象に関するシーンにおいては、ラグジュアリーカテゴリーが最も高い状態を継続しています。最近はインバウンドのお客様も、日本での高い接客を求める人が増えていると考えられるため、今後の継続的なインバウンド需要が伸びる環境下でも、ラグジュアリーブランドが提供するお客様へ寄り添える高いレベルの接客体験は強みとなると考えられます。
また、全国調査は全国5都市(東京、大阪、名古屋、札幌、福岡)にて実施しています。エリア別の差が前々回から顕著になっており、インバウンドの影響があったと推察されます。
第三部 今後に向けた動き
・ブランド活動への改善アクションの必要性( ※一部抜粋)
為替による日本市場への影響はあるにせよ、インバウンド需要が好調につき、世界的な状況下においてはかなり有利な状態です。一方で、ビジネスの状況を明るく展望するのは難しく、更なるコスト戦略や商品供給におけるバリューチェーンの補填は継続的な課題になると考えられます。また、店舗の調査を行うことで見えてくる現状や店舗間のギャップはブランドごとに異なるため、自身のブランドの状況理解は健康診断のようにとても重要です。的確な状況判断と課題の明確化によるPDCAを回していくことが、効果的なアクションとなります。
【全国調査レポート本編につきましては、下記をご覧ください。】
SEEP全国調査2024年上期レポートの全内容のレポート(本編)は https://seep.jp/ からダウンロードいただけます。
店頭接客のパフォーマンス向上は、どのブランドにとっても重要な課題の一つだと考えられます。そして、より具体的に、店舗での課題を把握し、正当な店舗評価ができているかを明確にしていくことが重要です。
リサーチ&エデュケーション事業部では、店頭の現状を正確に把握するために実施する『SEEP』調査から、店舗スタッフの能力向上を目的とした研修プログラムの提案まで、サポートさせていただいております。
【SEEP全国調査レポート 作成者】
ワールド・モード・ホールディングス株式会社
リサーチ&エデュケーション事業部
ディレクター・グループリーダー 綿引 祐敏
【SEEPに関するお問い合わせ】
ワールド・モード・ホールディングス株式会社
リサーチ&エデュケーション事業部 田村 実香
MAIL: seep@ida-mode.com
URL: https://seep.jp
【全国調査 概要】
対象業種 :ラグジュアリー、アフォーダブルラグジュアリー、セレクトショップ、カジュアル、スポーツ
実施調査数:300調査
実施時期 :2024年2月
対象都市 :東京、大阪、名古屋、札幌、福岡
調査方法 :SEEP 顧客満足度(CS)調査
ワールド・モード・ホールディングス株式会社について
ファッション・ビューティー業界を専門に人材やデジタルマーケティング、店舗代行など様々なソリューションを提供するグループ。iDA、BRUSH、AIAD、AIAD LAB、フォーアンビション、VISUAL MERCHANDISING STUDIO 、双葉通信社の国内で7 社の事業会社および シンガポールのWMH ASIA PACIFICが統括する海外5カ国の拠点(マレーシア、シンガポール、オーストラリア、台湾、ベトナム)を持ち、専門性の高い各社のシナジーによって、お客様の課題に応じた実効性の高いソリューションを提供している。
※ワールド・モード・ホールディングスのサステナビリティ活動について
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