高齢者の要介護要因の一つ筋萎縮に効果がある可能性 プロポリスが筋肉量の低下を抑えるメカニズムを発見
株式会社山田養蜂場(所在地:岡山県苫田郡鏡野町、代表:山田英生、以下「山田養蜂場」)の自社研究機関である、山田養蜂場 健康科学研究所(所在地:同上)は、日本大学生物資源科学部バイオサイエンス学科の研究グループとの共同研究にて、ブラジル産グリーンプロポリスが廃用性筋萎縮に伴う筋タンパク質の分解を抑制することで、筋萎縮を防ぐ可能性を確認しました。この結果から、プロポリス※を予防的に継続飲用することで、高齢者の要介護要因の一つである筋萎縮を防ぐ可能性が示されました。本研究成果は、第78回 日本栄養・食糧学会(2024年5月24-26日)にて、発表いたしました。
※プロポリス・・・以下すべて、ブラジル産グリーンプロポリス
【研究背景】
令和4年 国民生活基礎調査によると、要介護、要支援の原因は、「認知症」の16.6%、「脳血管疾患(脳卒中)」の16.1%に次いで、「骨折・転倒」13.9%、「高齢による衰弱」13.2%など身体機能の衰えによるものが多く、筋肉がやせ衰える筋萎縮や関節が動きにくくなる関節萎縮などの廃用症候群の予防が注目されています。
中でも、廃用性筋萎縮は、運動不足や入院などの不活動によって筋肉がやせ衰えるもので、全身の活動性に影響を及ぼします。例えば、絶対安静の状態で筋肉を動かさないでいると1週間で筋力が10~15%低下する、また、高齢者では2週間で下肢の筋肉が20%も萎縮するといわれています。
プロポリスはミツバチが植物の新芽や樹脂から作り出す天然由来物質で、山田養蜂場のこれまでの研究において、筋萎縮における筋肉の血管保護作用や筋萎縮予防作用を論文発表しています。
本研究では、廃用性筋萎縮における筋萎縮とその後の筋再生に対する影響を日本大学 関教授らとの共同研究にて、プロポリスの予防的投与が、不活動による廃用性筋萎縮と、活動再開後の筋再生に対する作用とそのメカニズムの解明を試みました。
【試験方法】
廃用性筋萎縮モデルにプロポリスを予防的に投与し、以下を測定。
①廃用性筋萎縮の惹起後と、筋再生期における筋重量
②筋萎縮や筋再生に伴う筋タンパク質分解活性や筋分化関連因子発現量(作用メカニズムの探索)
【研究結果】
①筋力低下の抑制と筋重量の増加
プロポリスの投与により、廃用性筋萎縮の惹起によるヒラメ筋(※)の重量低下が抑制され、筋再生期のヒラメ筋重量の増加が促進された。
※ヒラメ筋・・・ふくらはぎの筋肉の一種
②筋萎縮における筋タンパク質分解活性を抑制
プロポリスの投与により、筋萎縮における筋タンパク質分解活性の増加が抑制された。一方で、筋再生期の筋合成マーカーや筋分化関連因子は有意な変化は見られなかった。これは、プロポリスが不活動による筋萎縮の程度を抑制したため、その後の筋再生への影響が少なくなったと考えられる。
これらの結果から、プロポリスを予防的に投与することで、廃用性筋萎縮後の筋再生よりも、廃用性筋萎縮に伴う筋タンパク質の分解を抑制し、筋萎縮を防ぐ可能性が示されました。
【本研究の総括と今後について】
本研究は、廃用性筋委縮をその後の筋再生まで含めたプロポリスの作用とそのメカニズムを検証した初めての報告です。本研究により、プロポリスが、廃用性筋萎縮に伴う筋タンパク質の分解を抑制することで、筋萎縮を防ぐ可能性が示されました。筋萎縮の予防は、筋再生時の回復を早めることにもつながると考えられます。今後は、プロポリスの筋分解抑制作用にフォーカスし、関与成分の探索も視野に入れて、より詳細なメカニズムの解明を進める予定です。
引き続き山田養蜂場は、プロポリス、ローヤルゼリーなどのミツバチ産品に関する有用性研究や素材開発を通し、予防医学の観点から「アピセラピー」を追究することで、お客さま一人ひとりの健康寿命を延伸し、社会に貢献してまいります。
<学会発表情報>
■発表タイトル:ブラジル産グリーンプロポリスが廃用性筋萎縮後の筋再生に及ぼす影響
■発表者(〇:演者)
〇天部 雅貴1)、奥村 暢章3)、増澤(尾崎) 依2)、 細野 崇1,2)、関 泰一郎1,2)
1)日本大学大学院 生物資源研究科 応用生命科学専攻
2)日本大学 生物資源科学部 バイオサイエンス学科
3)株式会社山田養蜂場本社 R&D本部 山田養蜂場健康科学研究所
■発表日/場所:2024年5月25日(土)/ 中村学園大学(福岡市)
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