【イベントレポート】人事戦略としてのキャリア戦略―『「何者でもない自分」から抜け出すキャリア戦略』出版記念イベント(6月9日(月)開催)

人事図書館にて、人事戦略としてのキャリア戦略―『「何者でもない自分」から抜け出すキャリア戦略』出版記念イベントをオンラインにて開催いたしました。

株式会社Trustyyle：人事図書館

2025年6月23日 17時40分

株式会社Trustyyle（本社：東京都中央区・代表取締役：吉田洋介）は、運営するコミュニティ「人事図書館」主催にて、人事戦略としてのキャリア戦略―『「何者でもない自分」から抜け出すキャリア戦略』出版記念イベントをオンライン開催いたしました。

「Will（やりたいこと）がなくても、キャリア戦略は描ける」。――本書の核心を出発点に、株式会社Your Patronum 代表取締役・森数美保氏による講演と質疑応答を通して、キャリア支援を“個人の問題”ではなく“人事戦略の中心”として捉える視座が提示されました。

イベントハイライト

キャリア戦略＝「理論 × あなた自身」

キャリア理論は万能ではありません。森数氏は「自分らしいキャリア」を構成する3要素として【①事実（経験・スキル）②特性（好き・得意・ストレス）③価値観】を挙げ、「経験＝能力ではない」という視点が人事制度設計においても重要だと指摘しました。

“なりたい”と“ありたい”を分けて考える

「周囲の期待」や「役割」から生まれる“なりたい自分”と、内発的に湧き出る“ありたい自分”を峻別することがキャリア支援の第一歩。「制約がなかったらどうしたいか？」というタラレバ質問が思考の突破口になると語りました。

ファミリーキャリアの5類型

キャリアは「個人」ではなく「家族」単位で設計する時代へ。森数氏は、シングル／リード／交換／並行／補完という5つのファミリーキャリアの類型を紹介し、「納得して働くことが持続的なパフォーマンスを生む」と述べました。

感情が動けば、人は動く

キャリア行動の変容には“正しさ”ではなく“感情の動き”が鍵になります。納得・共感・ワクワクを引き出すストーリーテリングの重要性を強調しました。

参加者の声（抜粋）

「なりたい自分とありたい自分は違う、という視点が刺さりました」
「キャリア相談は Will を尋ねるだけではないと理解できました」
「行動変容を促すには制度のアドオンよりボトルネックを外すことが先だと気づきました」
「ファミリーキャリアの概念を採用や評価制度に活かしたいです」

人事施策への示唆

Willが無いことは悪いことではない　

ありたい姿Beingや仕事の意味づけを再構築することが本質
キャリア支援は離職を招かない
離職を引き起こすのは「選択肢がない」と感じさせる組織。支援の先に「残りたい」と思わせる場づくりを
キャリアはライフと切り離せない
育休・介護・パートナーの転勤など、家庭と仕事は密接。家族単位の制度設計が今後の鍵に

登壇者メッセージと今後の展望

森数氏は、「キャリア支援は福利厚生ではなく事業成長の武器です」と再定義しました。その鍵は、①ファクト起点の対話、②感情を動かす行動設計、③ライフを含む全体最適の3点です。

人事図書館では今後もキャリアと組織開発をテーマにした勉強会を継続開催する予定です。書籍とイベント、そして実践コミュニティを行き来しながら、キャリア戦略を組織の戦力へ転換する取り組みを進めていきます。

登壇者プロフィール

森数美保（もりかずみほ）氏
株式会社Your Patronum 代表取締役

大阪大学卒業後、新卒一期生として人材紹介事業を展開する株式会社ジェイエイシーリクルートメントに入社し、最年少マネージャーを経験。その後、株式会社Misoca（現・弥生株式会社）に転職。ゼロからエンジニア採用を推進。1年間で組織を2倍に拡大させた。
2018年、株式会社キャスターに入社。採用代行サービスCASTER BIZ recruitingの事業責任者に就任。3年間で累計導入社数350社を突破。300名以上のメンバーがフルリモート勤務の組織を運営しながら事業開発を実施。2021年、同社執行役員に就任。複数事業を管掌。
2022年、株式会社ミライフに執行役員として入社。キャリアコンサルタント/人事/事業経営の経験を活かして、本質的なキャリア構築や組織づくりを推進。
2024年、株式会社Your Patronum（ユアパトローナム）創業。代表取締役に就任。「チームの行動を変容させ、強い組織をつくり事業を伸ばす」をミッションに、法人向けの組織開発コンサルティングサービス「ユアパト」、個人向けのキャリア支援サービス「キャリパト」を提供している。
名古屋在住。15歳女子、13歳男子の母親。
社会保険労務士有資格者。