約4割がDX進捗度は「全体的に不十分」と回答、昨年から6.9ポイント増加。「推進部門を保有」は約4割も兼任中心が増加、専門人材の不足が深刻化。「2024年度 デジタル経営に関するアンケート」結果を発表
日本の経営コンサルティングのパイオニアである株式会社タナベコンサルティング(本社:東京都千代田区・大阪市淀川区、代表取締役社長:若松 孝彦)は、全国の企業経営者、役員、経営幹部、部門責任者、デジタル担当者などを対象に実施した「2024年度 デジタル経営に関するアンケート」の結果を発表します。
1.調査結果サマリー
(1)DXの取り組み進捗度では「全体的にまだ不十分」が約4割と最多となり、昨年から6.9ポイント増加となりました。
(2) DX体制の状況では約4割が「DX推進部門を保有」と回答。一方で、DX推進部門を保有していても兼任中心となっている割合が昨年よりも7.0%増加していることから、DXの需要に対して組織はつくったものの、専門人材が不足している状況が推察されます。
(3)マーケティング活動で「有用なマーケティングデータがつかめていない」と回答した企業のうち、データ管理レベルは「顧客データは表計算ソフトレベルで管理」と回答した企業が4割以上と最多となり、システム導入以前に手作業の集計に依存している実態が浮き彫りとなりました。
2.各データ詳細
(1)DXの取り組み進捗度では「全体的にまだ不十分」が約4割と最多、昨年から6.9ポイント増加。
DXの取り組み進捗度について、「全体的にまだ不十分」と回答した企業が37.2%と最多となり、次いで「複数の“業務”でデジタル活用」と回答した企業が25.0%となりました。
昨年度の回答結果と比較してみると、 「全体的にまだ不十分」と答えた企業が6.9ポイント増加し、「複数の“業務”でデジタル活用」と回答した企業が2.4ポイント微増しています。自社なりにDXを進める中で新たな課題が見えてきたことや、DXの取り組み自体が思うように進まないことで、「全社的にまだ不十分」という自覚が増えてきていると考えられます。
(2)DX戦略の状況では3割以上が「デジタル施策は場当たり的」と回答。
DX戦略の状況について、「デジタル施策は場当たり的」と回答した企業が32.7%、次いで「DX戦略はあるが推進度に課題」と回答した企業が26.3%となり、前年と比較しても増加傾向となりました。
DX戦略を策定すること自体が、経営の優先度や推進担当の経験スキルなどの要因から、ハードルが高く進まない、かつ、DX戦略を策定しても、その通りの推進には至っておらず、課題を感じている企業が増えていることが示唆されます。
(3)約4割が「DX推進部門を保有」。兼任中心となっている割合は昨年より7.0ポイント増加。
DX体制の状況について、「DX推進部門を保有(専任あり、兼任中心)」と回答した企業が合わせて38.8%となり、昨年と比較して増加しています。一方で、DX推進部門を保有していても兼任中心となっている割合が昨年よりも7.0ポイント増加していることから、DXの需要に対しての組織はつくったものの、専門人材が不足している状況が推察されます。
(4)デジタルマーケティングは「現在実施はしてない/これから取り組みたい」が3割以上と最多。
デジタルマーケティングの取り組み成果は、「現在実施はしていないが、これから取り組みたい」が33.7%と最も回答率が高く、未だにマーケティングのデジタル化に着手できていない企業が多くある現状がうかがえます。次いで、「デジタル施策は実施しているものの、成果に結びついていない」と回答した企業が29.6%となりました。一方で、施策によって何かしらの成果に繋がっている回答を合計すると約30%となることから、取り組んだ結果、成果創出ができている企業とできていない企業が二分されていることが分かります。顧客データの利活用レベルが、デジタルマーケティングの成否につながっていることが推察できます。
(5)「有用なマーケティングデータがつかめていない」企業のうち、4割以上が「顧客データは表計算ソフトレベルで管理」。
マーケティング活動でのデータ活用度について、「結果と対策が結びついていない」が14.4%となり、昨年から3.5ポイント増加していることから、データに基づくマーケティング活動ができていない企業が多いことがうかがえます。
また、「有用なマーケティングデータがつかめていない」と回答した企業のうち、データ管理レベルは「顧客データは表計算ソフトレベルで管理」と回答した企業が44.2%と最も多くなっていることから、システム導入以前に手作業での集計に依存している実態も浮き彫りとなりました。
(6)経営判断にデータを活用している企業のうち、3割以上が「Excelでデータ加工している」!
デジタル技術を活用したデータ活用の取り組みについて、「必要なデータが蓄積され経営判断に活用されている」と回答した企業のうち、「必要なデータを定義できていない」割合が3.4%と最も低くなっています。一方で、31.0%は「Excelでデータ加工している」状態です。この結果から、多少の非効率はあったとしても、自社にとって必要なデータが何かを定義できていることが、データを経営判断に活かすための重要な要素であると考えられます。
また、同様に「必要なデータが蓄積され経営判断に活用されている」と回答した企業のうち24.1%が、「データ活用できる人材が不足している」と回答しています。データサイエンティストの需要に対して供給が圧倒的に不足しており、人材育成・獲得に多くの企業が苦戦している状況が見て取れます。
3.専門コンサルタントによる提言
DXは単なる業務のデジタル化ではなく、競争優位性を築くための企業変革です。推進組織には、直接・間接部門からそれぞれ全社横断的にメンバーを募るのが望ましく、DX推進リーダーはIT・DX分野に明るいことに加え、戦略思考を有する人材が理想的です。
外部から人材を雇うことも手段の一つではありますが、継続的に人が育つ仕組みを作ることが、企業の体質強化には必要といえます。また、DX推進体制を強化するためには、デジタルスキルだけではなく、企業経営に関する知識やマネジメントスキルもバランスよく習得する必要があり、そのためのリスキリングも必要です。ITシステム投資以外にも、推進体制や人材育成といった改革の基礎整備に、今こそ投資すべきです。
データ利活用が不十分と感じている企業は、「どのようなデータを何のために活用するか」という、目的や必要なデータの定義から始めるべきでしょう。その検討の後に、データ連携・可視化の仕組みを整えることで、データの収集や集計業務をはじめとする業務の効率化や意思決定の迅速化が期待できます。レガシーシステムの刷新は、企業の競争力を高めるための重要なステップであり、今後の成長を支える基盤となります。柔軟なシステムを基幹に据えることにより、企業は新しい技術やツールを効果的に導入し、持続的な成長の実現に繋ぐことができます。
また、業務整理と標準化は、業務効率化だけでなく、システム化の際に不要な投資を防ぐ効果もあります。各組織や個人が抱える業務をリストアップし、改革の優先度を付けることで、効率化ツールの導入がスムーズに進みます。
並行して、デジタル化によって生み出された時間をどう活用するかの議論も進めるべきでしょう。その業務に携わっていた社員を直接利益に貢献する業務に移行することや、戦略的な業務に従事する機会を与えるなど、新たな業務を設計することも重要です。これによって、労働時間の削減にとどまらない、本質的な意味での企業全体の生産性向上と持続的な成長が期待できます。
〈総括 執筆者プロフィール〉
株式会社タナベコンサルティング 執行役員
デジタルコンサルティング事業部 武政 大貴
財務省で金融機関の監督業務や法人企業統計の集計業務などを担当後、企業経営に参画したのち当社に入社。実行力ある企業(自律型組織)構築を研究テーマとして、見える化手法を活用した生産性カイカクを中心にコンサルティングを実施。生産性の改善を前提に、DXビジョン、IT化構想、ERP導入支援及びSDGs実装支援など世の中の潮流にあわせたコンサルティングメソッドを研究開発しながら実行力ある企業づくりにおいて高い評価を得ている。
株式会社タナベコンサルティング 執行役員
デジタルコンサルティング事業部 庄田 順一
マーケティング戦略パートナーとして、顧客に向けたデジタルとリアルを融合したコミュニケーションの戦略設計コンサルティング活動を展開。顧客創造に向けたWebとリアルを融合した集客プロモーションコンサルティングにより売上げ拡大を支援。マーケティングの戦略策定から、実行・運営までトータルでサポート。特にプロモーション企画とその推進マネジメントを通じた人材育成で、クライアントから高い信頼を得ている。
4.関連リンク
・「2024年度 デジタル経営に関するアンケート」資料ダウンロードページ
URL:https://www.tanabeconsulting.co.jp/dx/download/detail57.html
5.調査概要
[調査対象] 全国の企業経営者、役員、経営幹部、部門責任者、デジタル担当者など
[調査期間] 2024年8月19日~2024年9月6日
[調査エリア]全国
[有効回答数]計312件
※各図表の構成比(%)は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても100%にならない場合があります。
タナベコンサルティンググループ(TCG) について
TCGは、1957年に創業し、67年の歴史と実績を有する日本の経営コンサルティングのパイオニアです。「企業を愛し、企業とともに歩み、企業繁栄に奉仕する」という経営理念のもと、現在地から未来の社会に向けた貢献価値として、「その決断を、愛でささえる、世界を変える。」というパーパスを定めています。
大企業から中堅・中規模企業、行政/公共のトップマネジメント(経営層やリーダー)を主要クライアントとし、創業以来17,000社以上の支援実績を有しています。
経営コンサルティング領域として、戦略策定(上流)から現場におけるDXなどの経営オペレーションの実装・実行(中流~下流)まで、企業経営を一気通貫で支援できる経営コンサルティングモデルを全国地域密着で構築しています。そして、「All for Client Success-すべてはクライアントの成功のために」という徹底したクライアント中心主義のもと、個社ごとの経営課題に合わせて複数名のプロフェッショナルコンサルタントを選定してチームを組成する「チームコンサルティング」を提供しています。
〈経営コンサルティング領域〉
・ストラテジー&ドメイン
・デジタル
・HR
・コーポレートファイナンス
・M&A
・ブランド&PR
・リージョン(全国10地域:札幌、仙台、新潟、東京、名古屋、金沢、大阪、広島、福岡、那覇)
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