【イベントレポート】「労働をとりもどす」— 労働者協同組合とティール組織から考える“働く”の未来 : 6月20日(金)開催
人事図書館にて、対面イベント「労働をとりもどす」— 労働者協同組合とティール組織から考える“働く”の未来 を開催いたしました。

株式会社Trustyyle(本社:東京都中央区・代表取締役:吉田洋介)は、運営するコミュニティ「人事図書館」主催にて、イベント「労働をとりもどす」— 労働者協同組合とティール組織から考える“働く”の未来 を開催いたしました。イベントでは、“自律分散型”の働き方をめぐる制度・思想・実践熱量について熱量高く語られましたので、当日の様子をお届けします。
イベントの背景と目的
2022年10月に施行された労働者協同組合法は、「共同労働」を目的とする団体に法人格を与えられるようになりました。従来のピラミッド型組織では分断されがちな「意思決定」と「実行」を再び統合し、労働を生活と地域に取り戻すことが狙いです。
本イベントは、下記2点を目的に企画されました。
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法律施行後の実践知を共有すること
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ティール組織やNPO法人の経験値と掛け合わせ、より現実的な運営モデルを探ること
今回のイベントは、労働者協同組合の研究者で「労働者協同組合とは何か」(中央経済社)の著者でもある松本 典子 氏、書籍『ティール組織』の中で、日本企業で唯一事例として取り上げられた株式会社オズビジョンで人事責任者を務めた松田 光憲 氏、複数社でコーポレートや事業支援の仕事をしながら、まちづくりNPOの活動を行う 松井 健太郎 氏、特定社会保険労務士の岩田 佑介 氏の4名をお迎えし開催いたしました。
当日の様子
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インプットトーク
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松本 氏は、協同組合二大系譜(ワーカーズコープ/ワーカーズコレクティブ)の歴史と、日本では153法人が設立済みである現況を紹介し「10人規模の小さな単位に分割することで全員参加型の合意形成が機能する」と実例を挙げました。
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クロストーク
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松田 氏はティール組織の発達段階論を概説し、「制度先行ではなく、経営者自身の“器”が拡張しなければ自主経営は形骸化する」と指摘しました。
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岩田 氏は社労士の立場から「共同組合でも労働契約は必須。休業手当や時間管理の運用をどう設計するかが次の論点」と問題提起しました。
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松井 氏は地域NPOでの協働経験をもとに「理想と現場の距離を埋めるのは“誰とやるか”という関係性」であるとまとめました。
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Q&A
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参加メンバーからは「組合員が増えたときの意思決定は?」「学生インターンをどう迎えるか?」など具体的な協同組合の運営に関する質問が多数寄せられました。
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参加者の声(アンケートより)
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「知らないだけで働き方の選択肢は多いと実感した」
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「協同組合のマネジメント課題とティールの理論が地続きだと分かった」
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「社労士視点の質問が実務に直結していて面白かった」
満足度は5段階中平均4.6。特に「対話的でリアルな難しさを包み隠さず共有した点」が高評価でした。
総括と今後の展望
本イベントは、「制度が先か、人が先か」という往年の問いに対し、制度と関係性を同時に設計する“ハイブリッド実践”の重要性を改めて示す機会となりました。
今後は、法制度の運用事例を継続的に共有する「ケーススタディ勉強会」や、組合型・ティール型に挑戦する企業へのフィールドツアー、学生・地域住民と連携した共同プロジェクトなど、実践と学びを深める取り組みを拡充していきます。
「一人では踏み出せない挑戦も、仲間となら実装できる。」学びを行動に変え、“働く”を自分たちの手に取り戻してけるような場を提供していきたいと考えています。
登壇者プロフィール

松本 典子 氏(駒澤大学経済学部教授)
1980年東京生まれ・松本育ち。
研究テーマは、非営利・協同組織の経営学。 2025年2月に中央経済社より『労働者協同組合とは何か-連帯経済とコモンを生み出す協同組合』を出版。
日本NPO学会副会長、日本協同組合学会常任理事、一般社団法人協同総合研究所常任理事や駒澤大学経済学部現代応用経済学科ラボラトリ所長などを務める。在住する磐田市では、二児の子育てをすると共に、ライフワークとして労働者協同組合いわたツナガル居場所ネットワークの設立・運営に携わる。

松田 光憲 氏(ありのまーま合同会社 代表社員)
1977年生まれ 千葉県船橋市出身 中小企業診断士 MBA in Innovation Management
大学卒業後、システムエンジニアからスタートしたキャリアが、上場準備を契機に管理部門へシフト。その後2社で2度のIPOを経験。社会人大学院の修了に合わせて組織開発の実践の場を求め『ティール組織』に日本企業で唯一紹介された株式会社オズビジョンに参画。取締役COOとして事業と組織の統合を推進し、その後非常勤取締役へ。現在はありのまーま合同会社代表社員として数社の組織支援を行う。
趣味は組織と人に関する探求。尊敬する人物は大門未知子。

松井 健太郎 氏(株式会社ヨハク 代表取締役/往復フリーランス)
1982年、横浜生まれ。世田谷区在住の二児の父。2005年に東大工学部卒業後、会社員を3社経験の後2016年に独立。常時複数社でコーポレートや事業支援の仕事をしながら、まちづくりNPOの活動やまちの合同会社(現在は保育事業)の設立運営を行うなどしている。
「人と働くの関係性」に関心があり、自らを「働く実験台」として、会社員に戻ったり、フリーランスに戻ったりする「往復フリーランス」として活動している。

岩田 佑介 氏(特定社会保険労務士/一般社団法人 埼玉県生産性本部 理事)
特定社会保険労務士。株式会社パソナ、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社の2社にて人事コンサルタント、ライフネット生命保険株式会社の人事部長を務めた後に独立。著書として「図解 労務入門」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、「経営戦略としてのワーケーション入門」(金融財政事情研究会)など。一般社団法人 埼玉県生産性本部 理事として「労使関係のアップデート」に向けた提言活動に従事。
人事図書館とは

2024年4月1日に東京人形町にオープンした、人事関連職が集まるコワーキング×コミュニティ。2500冊以上の人事に関する書籍と700名以上の会員を有しており「仲間と学びで、未来を拓く」をタグラインに運営しています。
所在地: 東京都中央区日本橋蛎殻町1-12-7 WACROSS NINGYOCHO 6F
設立: 2024年4月1日
公式ホームページ: https://hr-library.jp/
公式X: https://x.com/hr_library0401/
公式LinkedIn:https://www.linkedin.com/company/hr-library/
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