松坂屋コレクション(能装束4点)が重要文化財指定へ
一般財団法人J.フロントリテイリング史料館が所有する能装束4点が、3月9日(金)に開催された文化審議会の答申を受け、重要文化財の指定を受ける運びとなりましたので、お知らせいたします。
松坂屋(現大丸松坂屋百貨店)は、明治時代から積極的に呉服の服飾意匠の開発とデザイナーの育成に努めておりましたが、1931年(昭和6)から39年(昭和14)にかけて、「時代衣裳を収集し、染織意匠の向上と優秀呉服の制作に資する」ことを目的に、染織史上において価値のある衣裳や裂地(きれじ)、雛形本など、数々の染織関連品を収集しました。それらを後世に残すため、1957年(昭和32)に当時としては最高レベルの空調・防災設備を備えた「染織参考館」を京都に建設し、貴重な文化財を大切に保存してまいりました。
その後、収蔵品は2010年(平成22)に松坂屋創業の地である名古屋へ移管され、その大部分はJ.フロントリテイリング史料館に引き継がれて「松坂屋コレクション」と呼ばれております。
J.フロントリテイリング史料館では、約1,500点の松坂屋コレクションを所有しており、そのうちの1点である「染分綸子地御所車花鳥文様繡箔小袖(そめわけりんずじごしょぐるまかちょうもんようぬいはくこそで)」は 2011年(平成23)に重要文化財の指定を受けました。
このたび新たに指定を受ける運びとなった4点は、「桃山~江戸時代初期の能装束で、形状を留めて残っている現存品は少ない。しかし、本件は非常に良好な状態で残っており、当時代の能装束の特徴をよく留めている点で貴重である」との評価をいただきました。
文化財保護法の趣旨に則り、この貴重な国民的財産でもある文化財を今後も大切に保存していくとともに、できるだけ公開するなど文化的活用に努めてまいります。
紺地菖蒲蓬菊桐文様小袖
(こんじしょうぶよもぎきくきりもんようこそで)
練緯(ねりぬき)という桃山時代の装束によく使用された生地に、刺繡で菖蒲、蓬、菊を散らすように配す。刺繡は、撚りをかけない釜糸という絹の糸を用いる。柔らかく浮いた渡縫いと、文様の途中で色を変える刺繡表現は、桃山時代の装束の特徴を示す。袖に振りがあることから、子方用の装束として用いられたと考えられる。旧裏地には「金春志て」と墨書きがある。形状、加飾技法ともに同時代の特徴をよく残し、きわめて良好な状態である。
萌黄地紋入格子縞藤文様片身替厚板
(もえぎじもんいりこうししまふじもんようかたみがわりあついた)
厚板とは、男性用の着付けのことである。本厚板は、室町時代から桃山時代にかけて流行した片身替わりの文様構成で、背面右身頃は格子文様、左身頃は縞に藤の花房文様を織表す。格子文様は、緑、青、白、黄、紫の糸を用いる。また縞文様は、緑と白の糸を用い、縞と藤の花房を華麗に織表す。旧裏地には「八金」の黒文分銅印が押されている。
薄黄地紋入格子鱗文様肩裾厚板
(うすきじもんいりこうしうろこもんようかたすそあついた)
肩裾に格子文様、腰明き部分に鱗文様を織表す。格子文様は浮紋織で、多彩な色糸を用いて表す。鱗文様は茶色、黄色の糸を用いる。仕立て替えがされており、身頃の丈が縫い詰められている。縫い詰めた分の裂は、袖の振りに縫い足されており、袖は製作された当初の丈よりも15.5センチメートル長くなっている。本来は成人用であったものを子方用に仕立て替えて用いたと推定される。裏地には「八金」の黒文分銅印が押されている。
茶地紋入格子文様厚板
(ちゃじもんいりこうしもんようあついた)
全体に浮紋織で格子文様を表す。さらに、格子文様の縦筋と横筋の交差する部分には、花菱文様を表す。身幅と袖幅から、江戸時代初期の厚板と考えられる。表裏ともに仕立て替えがされており、特に袖の部分にその痕跡が認められる。仕立て替えを行いながらも大切に用いられたことが窺える。
J.フロントリテイリング史料館
株式会社大丸松坂屋百貨店が保存・収集した史料等の文化的資産を未来へ継承し、学術文化の振興に寄与することを 目的に、2011年に設立されました。
主な事業として、
■呉服デザイン意匠・史料の維持管理及び公開・貸出・展示運営
■大丸松坂屋百貨店(大丸・松坂屋)の創業・歴史に関係する史料等の維持管理及び公開・貸出・展示運営
などに取り組んでいます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<ご参考>
名古屋店南館7階の「史料室」では、松坂屋の歴史についての企画展を継続的に行っており、時期によっては一部の松坂屋コレクションを展示しております。現在は「松坂屋コレクション 小袖の模様-花」を開催中で、江戸中期の貴重な小袖など(重要文化財指定の1点、今回指定を受ける運びとなった4点は含まれておりません)を一般公開しております。
その後、収蔵品は2010年(平成22)に松坂屋創業の地である名古屋へ移管され、その大部分はJ.フロントリテイリング史料館に引き継がれて「松坂屋コレクション」と呼ばれております。
J.フロントリテイリング史料館では、約1,500点の松坂屋コレクションを所有しており、そのうちの1点である「染分綸子地御所車花鳥文様繡箔小袖(そめわけりんずじごしょぐるまかちょうもんようぬいはくこそで)」は 2011年(平成23)に重要文化財の指定を受けました。
このたび新たに指定を受ける運びとなった4点は、「桃山~江戸時代初期の能装束で、形状を留めて残っている現存品は少ない。しかし、本件は非常に良好な状態で残っており、当時代の能装束の特徴をよく留めている点で貴重である」との評価をいただきました。
文化財保護法の趣旨に則り、この貴重な国民的財産でもある文化財を今後も大切に保存していくとともに、できるだけ公開するなど文化的活用に努めてまいります。
紺地菖蒲蓬菊桐文様小袖
(こんじしょうぶよもぎきくきりもんようこそで)
練緯(ねりぬき)という桃山時代の装束によく使用された生地に、刺繡で菖蒲、蓬、菊を散らすように配す。刺繡は、撚りをかけない釜糸という絹の糸を用いる。柔らかく浮いた渡縫いと、文様の途中で色を変える刺繡表現は、桃山時代の装束の特徴を示す。袖に振りがあることから、子方用の装束として用いられたと考えられる。旧裏地には「金春志て」と墨書きがある。形状、加飾技法ともに同時代の特徴をよく残し、きわめて良好な状態である。
萌黄地紋入格子縞藤文様片身替厚板
(もえぎじもんいりこうししまふじもんようかたみがわりあついた)
厚板とは、男性用の着付けのことである。本厚板は、室町時代から桃山時代にかけて流行した片身替わりの文様構成で、背面右身頃は格子文様、左身頃は縞に藤の花房文様を織表す。格子文様は、緑、青、白、黄、紫の糸を用いる。また縞文様は、緑と白の糸を用い、縞と藤の花房を華麗に織表す。旧裏地には「八金」の黒文分銅印が押されている。
薄黄地紋入格子鱗文様肩裾厚板
(うすきじもんいりこうしうろこもんようかたすそあついた)
肩裾に格子文様、腰明き部分に鱗文様を織表す。格子文様は浮紋織で、多彩な色糸を用いて表す。鱗文様は茶色、黄色の糸を用いる。仕立て替えがされており、身頃の丈が縫い詰められている。縫い詰めた分の裂は、袖の振りに縫い足されており、袖は製作された当初の丈よりも15.5センチメートル長くなっている。本来は成人用であったものを子方用に仕立て替えて用いたと推定される。裏地には「八金」の黒文分銅印が押されている。
茶地紋入格子文様厚板
(ちゃじもんいりこうしもんようあついた)
全体に浮紋織で格子文様を表す。さらに、格子文様の縦筋と横筋の交差する部分には、花菱文様を表す。身幅と袖幅から、江戸時代初期の厚板と考えられる。表裏ともに仕立て替えがされており、特に袖の部分にその痕跡が認められる。仕立て替えを行いながらも大切に用いられたことが窺える。
J.フロントリテイリング史料館
株式会社大丸松坂屋百貨店が保存・収集した史料等の文化的資産を未来へ継承し、学術文化の振興に寄与することを 目的に、2011年に設立されました。
主な事業として、
■呉服デザイン意匠・史料の維持管理及び公開・貸出・展示運営
■大丸松坂屋百貨店(大丸・松坂屋)の創業・歴史に関係する史料等の維持管理及び公開・貸出・展示運営
などに取り組んでいます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<ご参考>
名古屋店南館7階の「史料室」では、松坂屋の歴史についての企画展を継続的に行っており、時期によっては一部の松坂屋コレクションを展示しております。現在は「松坂屋コレクション 小袖の模様-花」を開催中で、江戸中期の貴重な小袖など(重要文化財指定の1点、今回指定を受ける運びとなった4点は含まれておりません)を一般公開しております。
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザーログイン既に登録済みの方はこちら
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像