成長トレンド続く「男性化粧品」市場
2024年は497億円、美容液・クレンジング・パックなど大きく伸長 男女6割「男性×美容」に好意的
株式会社インテージ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:檜垣 歩、以下インテージ)は、全国15歳~79歳の男女53,600人の消費者から継続的に収集している日々の買い物データSCI®(全国消費者パネル調査)から推計した男性化粧品の市場動向と意識調査の結果を発表します。
[ポイント]
・男性化粧品全体の市場規模は、2024年に497億円(前年比114.8%)に増加。2019年比1.8倍
・男性の基礎化粧品市場規模は438億円。美容液が2019年比で4.9倍
・男性の基礎化粧品購入金額は全年代で伸長
・男性の基礎化粧品使用きっかけは「肌の乾燥やトラブル改善のため」(31.2%)、「自分磨きの一環」(24.1%)が上位
・「男性の肌ケア・化粧」に対する意識は、全体で約6割が「とても良い」「良い」。10代女性は85.7%が好意的
2024年の男性化粧品市場規模は497億円(前年比114.8%)。2019年比1.8倍に成長
男性化粧品市場は、2024年に497億円に達し、前年比114.8%でした。2019年比で全体では1.8倍、分類別では日焼け止めが2.0倍、基礎化粧品1.8倍、メイクアップ化粧品1.3倍です。安定した成長基調を維持しています(図表1)。
図表1
価格上昇が市場拡大の一因となっている側面はありますが、多くのカテゴリで、市場成長率が個数単価の上昇率を上回っています。
男性の基礎化粧品市場規模438億円。美容液が5年前の5倍。クレンジングなども伸長
男性化粧品の中でも9割近くを占める基礎化粧品に着目します(図表2)。
図表2
2024年の男性基礎化粧品の市場規模は438億円で前年比115.7%。化粧水・洗顔が全体の5割を占めます。大きく伸びたのは、美容液、クレンジングなどです。
美容液は、保湿成分やエイジングケア成分が含まれるものが一般的です。取り入れることで「化粧水や乳液の一歩先」の、より高度なスキンケアを実践する男性が増加しています。
クレンジングの伸長は、猛暑・高気温での日焼け止め需要が急増したことも影響していそうですが、夏以外の月にも若年層を中心として伸びていました。男性の肌は女性に比べて皮脂分泌が多いため、毛穴の詰まりや黒ずみをケアしたい、といった需要の高まりが見てとれます。
これらの要因が相まって、基礎化粧品市場の構成比に変化が生じています。
男性の基礎化粧品購入金額と購入率は全年代で増加
続いて、男性の基礎化粧品購入状況を、年代別に2024年と2019年で比較します(図表3)。購入金額は購入者1人当たりの基礎化粧品の購入金額を、購入率は基礎化粧品を購入した人の割合を示しています。
図表3
全体として、購入率は30.4%から33.2%へと1.1倍に。購入金額は1,869円から3,131円へと1.7倍となりました。購入金額の増加が基礎化粧品市場の拡大の主な要因と考えられます。
年代別の購入金額は、20・30代が1.8倍。年代が上がるごとに増加率はやや小さくなりますが、60・70代でも1.5倍の増加を見せています。男性の美容意識は、若年層だけでなく中高年・高齢層でも高まっていることが明らかです。
基礎化粧品使用きっかけは肌改善や自分磨きが上位。20代ではSNS・芸能人影響も
次に男性の肌ケア、化粧に関する生活者の意識面を見てみましょう。図表4~6は全国15~79歳男女を対象に調査した結果です。まずは、男性が基礎化粧品を使用するようになったきっかけです(図表4)。
図表4
最も多かったのは「肌の乾燥やトラブル改善のため」(31.2%)でした。「自分磨きの一環」(24.1%)も多く、10代では32.4%と高い割合を示していました。続いて「年齢を重ね肌のケアに関心が高まった」(19.4%)、「友人や家族の勧め」(17.1%)となりました。「広告やCMを見て」は5.9%、「美容雑誌やブログで紹介されていた」、「SNSやインフルエンサーの投稿を見て」、「韓国アイドルなど芸能人の影響」はいずれも3.5%。特に20代では「韓国アイドルなど芸能人の影響」が8.9%と全体の2倍以上で顕著でした。これらの、メディアやインフルエンサーの影響力も、男性の基礎化粧品使用を強く後押ししているようです。
男性の肌ケア・化粧、「とても良い」「良い」が6割。10代女性は85.7%に達する
最後に、「男性が肌の手入れや化粧をすることについてどう思うか」を尋ねた結果を紹介します(図表5)。
図表5
全体として、「とても良いと思う」「良いと思う」回答者が合計で57.9%でした。男性は53.3%、女性は62.6%が“男性が肌の手入れや化粧をする”ことに対して好意的な意見を持っていることが分かります。
続いて、回答者の性・年代別に見てみましょう(図表6)。
図表6
男女とも、若い人ほど好意的意見割合が高い傾向でした。肌の手入れを「自分磨きの一環」として捉える傾向が強いことからも、男性の肌ケア・化粧に対して受容性が高いようです。
男女別で意識を見てみます。男性は、10~30代で約7割が好意的な意見を持っていました。年代上昇とともに好意意見は減少しますが、いずれの年代も否定派は1割にも満たない結果でした。女性に関しては、好意的な人は10代で85.7%に達し、20~40代でも7割を超えています。女性から見た印象や意見が、男性の美容意識向上に影響を与えている可能性も少なからずありそうです。
これらの結果から、若年層を中心として、「男性の肌ケアや化粧」に対する好意的・肯定的な意識が広がっていることがわかります。意識の変化を背景に、男性化粧品市場は今後ますます成長していくことが期待されます。
使用したデータ/関連プラットフォーム
全国15歳~79歳の男女53,600人の消費者から継続的に収集している日々の買い物データです。食品、飲料、日用雑貨品、化粧品、医薬品、タバコなど、バーコードが付与された商品について、「誰が・いつ・どこで・何を・いくつ・いくらで、購入したのか」という消費者の購買状況を知ることができます。
※SCIでは、統計的な処理を行っており、調査モニター個人を特定できる情報は一切公開しておりません
調査地域:日本全国
対象者条件:15~79 歳の男女
標本抽出方法:弊社「マイティモニター」より抽出しアンケート配信
標本サイズ:n=5000 ※国勢調査にもとづき性別・年代・地域を母集団構成に合わせて回収
調査実施時期: 2024年9月27日(金)~10月1日(火)
株式会社インテージは1960年に創業。インテージグループとしてアジアNo.1*であるマーケティングリサーチ/インサイト事業に加えてマーケティングソリューション事業を展開し、9か国の海外拠点とともに国内外の企業・団体のマーケティング活動を総合的に支援しています。事業ビジョンとして“Create Consumer-centric Values”を掲げ、深い生活者理解とデータ活用の高度化による顧客企業支援を通じ、生活者の幸せの実現を目指しています。
*「ESOMAR's Global Top-50 Insights Companies 2024」に基づく(グループ連結売上高ベース)
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■株式会社インテージ 広報担当:下河原(しもがわら)/依田(よだ)/木地(きじ)
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