宇宙輸送コストの抜本的削減へ、帰還用耐熱材不要の再使用型ロケットタンクの地上実証を開始

~JAXA・宇宙戦略基金「SX-ARK」採択決定。革新的アプローチで実現を目指す~

東京理科大学

                  発表のポイント

● JAXAの「宇宙戦略基金 SX中核領域発展研究『SX-ARK』(『運動と制御』領域)」の採択を受け、東京理科大学 創域理工学部の小笠原宏教授の研究グループは、帰還用耐熱防護システムを不要とする再使用型ロケットタンクの地上実証研究を開始します。

● 専用耐熱材を不要とすることで、ロケットの軽量化・コスト低減・整備負担削減を同時に可能にし、再使用型宇宙輸送機の実現性と経済性を大きく高める革新的アプローチを推進します。

● 本研究を通じて、誰もが宇宙へアクセスできる時代の実現に向けた、宇宙輸送コストの抜本的な削減への貢献を目指します。

 東京理科大学 創域理工学部 機械航空宇宙工学科(兼)スペースシステム創造研究センターの宇宙輸送ユニット長を務める小笠原宏教授の研究グループは、JAXA(宇宙航空研究開発機構)が推進する「宇宙戦略基金 SX中核領域発展研究『SX-ARK』(『運動と制御』領域)」に採択されました。

 究極の宇宙輸送機である完全再使用型宇宙輸送機の実現には、機体の大幅な軽量化が不可欠です。大気圏再突入時の空力加熱からロケットを守る、耐熱材をはじめとする耐熱防護システム(TPS : Thermal Protection System)は、スペースシャトルでは機体全重量の約18%を占め、飛行性能に直接貢献しない重量負担となっています。

 本研究開発は「TPSを必要としない再使用型ロケットタンクの実現」を目指し、熱マネジメント技術を開発・検証します。具体的には、TPSなしタンクが成立するための条件と、TPSなしタンクが従来型と比較して持つシステムとしての優位性・経済的メリットを明らかにすることを研究の目標としています。

 本採択を受け、東京理科大学は将来宇宙輸送システム株式会社(Innovative Space Carrier)と連携し、スケールモデルを用いた地上実証研究を開始します。

(1)採択事業について

・研究費の名称:JAXA 宇宙戦略基金 SX中核領域発展研究「SX-ARK」(「運動と制御」領域)

・技術開発課題の名称:帰還用耐熱材を不要とする再使用型ロケットタンクの地上実証

・代表機関名:学校法人東京理科大学

・研究代表者:東京理科大学 創域理工学部 機械航空宇宙工学科 教授 小笠原 宏

・連携機関(予定):将来宇宙輸送システム株式会社(Innovative Space Carrier)

・支援予定期間:2026年3月13日~2029年3月31日(予定※)

※今後のステージゲート評価等により変動し得る期間

・支援上限額:199,941千円(間接経費含む。予定※)

※今後のステージゲート評価等により変動し得る数字

(2)背景と課題

 JAXAが推進する宇宙戦略基金SX中核領域発展研究「SX-ARK」は、将来の宇宙開発におけるボトルネック解消を目指し、民間企業・大学等による挑戦的な技術開発と早期の概念実証を支援する事業です。本研究が採択された「運動と制御」領域では、ロケットや宇宙機の推進系・姿勢制御系などの革新的技術開発を推進し、日本の宇宙開発における基盤技術の獲得を目指しています。

 宇宙輸送コストが高止まりしている大きな要因は、ロケットが使い捨てであることです。この課題を解決する完全再使用型宇宙輸送機の実現には機体の大幅な軽量化が不可欠ですが、大気圏再突入時の空力加熱に対処するTPSがスペースシャトルでは機体全重量の約18%を占め、飛行のたびに大規模な点検・交換が必要な重量負担となっています。

(3)本研究開発内容と実施体制について

 本研究は、TPSを必要としない再使用型ロケットタンクの実現可能性を科学的に検証します。研究は要素技術開発とシステム評価に関する以下の4つの柱で構成されています。

1.タンク内熱伝達特性モデル整備

  ロケットタンク内面での吸熱特性を推定・評価できるデータベースの構築を目指します。加熱タンク実験装置による実測や熱伝達特性モデルの策定、吸熱を促進させる内面形状の探索を通じて、タンク内面の吸熱特性モデルを策定します。研究終了時点では、吸熱特性モデルの改善と、吸熱促進可能な内面形状候補の例示を目指します。

2.タンク外表面形状設定

  タンク表面からの空力加熱低減が期待できる候補形状を探索します。あわせて、タンク表面候補材料の高温光学特性モデルを整備し、赤外線放射率・吸収率等の光学特性基礎データベースを構築・拡充します。

3.ロケットシステム経済性評価

  TPSなしタンクの適用対象として、完全再使用ロケットのコンフィギュレーション案(機体サイズ・質量・飛行計画・タンク仕様・上段帰還時の姿勢と加速度エンベロープ等)を策定します。

あわせて、TPS搭載型とTPSなし型のシステムメリットを定量的に評価します。TPSなしが成立・有利となる再突入条件・機体条件の整理と、再使用回数を考慮した経済性の一次評価結果の提示を目指します。

4.スケールモデル地上実証

  実機タンクを模擬したスケールモデル試験装置(長さ約3m、直径約1.5m)を実測してデータを取得します。

あわせて、熱解析モデルの作り込みと実機タンク温度

応答の解析実証を行います。

【実施体制】

 東京理科大学 創域理工学部 機械航空宇宙工学科の小笠原宏教授が研究代表者として全体を取りまとめ、要素技術の開発を行います。また小笠原教授は個別テーマである空力加熱低減形状の探索にも参加します。同学部学科の上野一郎教授が熱流動・伝熱特性の探索を、同学部学科の荻原慎二教授がタンク表面の光学特性整備を担当します。

 将来宇宙輸送システム株式会社はシステム設計・経済性評価および試験の実施を担い、東京都市大学 理工学部 機械システム工学科の白鳥英教授が研究協力者として加わります。

【研究の目指すもの】

 本実証研究は、要素技術の開発とシステム開発を「SX-ARK」の研究領域である「運動と制御」という観点から一体的に推進します。要素技術としてはタンク内の吸熱・沸騰・蒸発の活用と空力加熱低減を狙うタンク外表面の形状設計を、システム開発としてはTPSなしタンク式再使用型ロケットシステム評価およびスケールモデルの地上実証を行います。

 研究完了時には、1.TPSなし再使用ロケット飛行環境、2.タンク仕様イメージ、3.TPSあり/TPSなしのシステム重量比較、4.TPSなしタンクの経済性評価、の4つのアウトプットの提示を目指します。

 これらの成果を通じて、本研究はTPSなしタンクが成立するための条件と、TPSなしタンクが持つシステムとしての経済的メリットを科学的に明らかにし、宇宙輸送コストの抜本的な削減と完全再使用型宇宙輸送機の実現に貢献することを最終目標としています。

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会社概要

学校法人東京理科大学

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URL
https://www.tus.ac.jp/
業種
教育・学習支援業
本社所在地
東京都新宿区神楽坂1-3
電話番号
03-3260-4271
代表者名
石川 正俊
上場
未上場
資本金
-
設立
1881年06月