HTB北海道テレビ製作のドキュメンタリー映画に環境省が「推薦」を承認
映画作品には17年ぶり
「奇跡の子 夢野に舞う」は、北海道長沼町の14人の農家が地域にタンチョウを呼ぶ活動をはじめ、地域に湿地や生態系を回復させた結果、実際にタンチョウが飛来してヒナを育てるようになるまでの7年間を記録したドキュメンタリー映画です。
映画では、農家が減農薬農法に取り組んでタンチョウのエサとなる生物が育つ田畑を作ったり、飛来するタンチョウに対して人間が近寄らないために周辺のパトロールを行ったりするなど、タンチョウが地域に居つくまでの様々なトラブルや取り組みを紹介しました。タンチョウが生息していない地域で、人工的に造られた施設(遊水地)にタンチョウが生息して繁殖したのは、世界初の快挙と言われています。
タンチョウは現在、北海道東部を中心に約1800羽が生息する国の天然記念物で、エサがとれない冬場は給餌が行われていますが、鳥インフルエンザの拡大によって給仕場での感染拡大が懸念されることなどから、環境省はタンチョウの生息地を分散させる方針です。長沼町の農家の取り組みは、これまで生息していなかった道央圏に豊かな自然を回復させて新たな生息地を作る取り組みであり、環境省の方向性と一致しました。HTBは7年間の取材活動を通して、遊水地の管理者である国、地元長沼町と連携し、タンチョウの撮影を研究者の指導の下で行いました。抱卵やヒナのいる時期など、タンチョウが神経質になる時期は車の中から撮影したほか、一般のカメラマンが殺到しないよう、テレビでニュースを放送する時期もヒナが飛べるようになるまで控えるなどの措置をとりました。特にドローン撮影については研究者に同行し、撮影中の映像を一緒にモニターで確認して指示を受けながら実施しました。こうしたタンチョウを驚かせない、脅威を与えない取材姿勢も今回の「推薦」につながりました。
【沼田博光監督のコメント】
地域の地道な活動と、それを記録し続け、映像で伝えたローカル局の取り組みについて、「推薦」の形で評価いただいたことをとても光栄に思います。長沼町で起きた奇跡のような物語は、日本のどこの町でも参考になると思います。これを機会により多くの人に作品を観ていただき、「自分たちは地元の自然に対して何ができるか」ということを考えるきっかけにしていただけたらいいなと思っています。
このほかにも本作品は令和5年10月に文部科学省より「教育上価値が高く、学校教育や社会教育に広く利用されることが適当と認められる」として、選定(少年向き・青年向き・成人向き)を受けています。
タイトル
奇跡の子 夢野に舞う (きせきのこ ゆめのにまう)
公開
2024年1月20日(土)から 札幌・シアターキノほか道内の映画館で上映
*一部、シネマ太陽帯広/函館、T・ジョイ稚内で1月19日(金)に先行公開
2024年2月23日(金・祝)から 東京・丸の内TOEIで上映
ナレーション
上白石萌音
あらすじ
農家は鳥に手を焼いている。撒いた種はほじくるし、芽が出ればバリカンで刈ったように食べつくす。張ったばかりのビニールハウスにはフンをかけていく。そんな農民たちが地元に鳥を呼ぶと言い出した。それも絶滅危惧種のタンチョウだ。北海道の東部にごくわずかしか生息していない希少種が大都市・札幌の近郊にある農村に来るはずもない。それでも14人の農民が集まり、タンチョウの棲み家づくりが始まった。治水対策で人工的に作られた遊水地の中に、タンチョウが生息できる「湿地」が回復してくると、やってくるのは予期せぬ訪問者ばかり。大量の渡り鳥に獰猛な外来種、カメラを抱えた人間たち…。次々と巻き起こるトラブル。果たしてタンチョウはやってくるのか。
公式HP
https://www.htb.co.jp/kisekinoko
スタッフ
監督:沼田博光
統括プロデューサー:坂本英樹
プロデューサー:四宮康雅 堀江克則
撮影:小山康範 石田優行
編集:上田佑樹
音楽:中村幸代
音楽制作:中脇雅裕
宣伝プロデューサー:泉谷 裕
製作・配給:北海道テレビ放送
宣伝・配給協力:東映エージエンシー
カラー / 5.1ch / 16:9 /1時間37分
・令和5年度 文部科学省選定「少年向き」「青年向き」「成人向き」
・環境省「推薦」
・文化庁文化芸術振興費補助金 (映画創造活動支援事業)
・札幌市映像制作補助金
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