【大学院生就活の「親ブロック」の実態に迫る】大学院生の9割以上が、親ブロックを「経験した/しそうになった」と回答

<大学院生の就活における「親ブロック」実態調査> 企業選びで親子の価値観ギャップが鮮明に、その裏にあるものは――

株式会社アカリク

 大学院生を中心とする高度専門人材のキャリア支援を行う株式会社アカリクは、就活中または就活経験のある大学院生(修士・博士)、大学院を修了・中退した社会人111名、そういった子を持つ保護者111名を対象に、大学院生の就活における「親ブロック」実態調査を実施しましたので、お知らせいたします。

  • 01|大学院生の9割が直面する、親子間の意見の相違や対立

  • 02|「トランスファラブルスキル」vs「安定・給与」――立場の差による就活観ギャップ

  • 03|確かなギャップに対し双方歩み寄りの姿勢も

■調査の背景

 近年、就職活動において「親ブロック」という言葉を耳にする機会が増えています。これは、本人の希望進路に対して親が反対の意向を示す状況を指すことが多く、ネガティブな文脈で語られることが少なくありません。

 本調査では、そうした意見の食い違いが生じる背景には、どのような情報の非対称性や価値観のずれが存在しているのかをデータから可視化することを目的としました。学生と保護者双方の意図や認識を分析することで、キャリア選択における対話や理解促進の糸口が見えてくるのではないかと考えています。

■調査概要

  • 調査名称:【大学院生・保護者版】大学院生の就活における「親ブロック」実態調査

  • 調査方法:IDEATECHが提供するリサーチデータマーケティング「リサピー®︎」の企画によるインターネット調査

  • 調査期間:2025年5月26日〜同年5月30日

  • 有効回答:「保護者が自身の就職活動に関わっている/関わっていた」と回答した、就活中または就活経験のある大学院生(修士課程・博士課程)、大学院を修了・中退した社会人111名(ここでは総じて「大学院生」と呼ぶ)、そういった子を持つ保護者111名

※合計を100%とするため、一部の数値について端数の処理を行っております。そのため、実際の計算値とは若干の差異が生じる場合がございます。



大学院生の9割が直面する、親子間の意見の相違や対立

■大学院生の94.6%が、就職活動において「親子間で意見の相違や対立を経験した」と回答

 「Q1.あなた/お子様の就職活動において、親子間で意見の相違や対立を経験したことはありますか。」と質問したところ、大学院生(n=111)は、94.6%が「経験したことがある/あった」、保護者(n=111)は、74.8%が「経験したことがある/あった」と回答しました。

■意見が相違したポイント、大学院生・保護者ともに「研究テーマと関連が薄い企業や業界の選択」が最多

 Q1で「よくある/あった」「たまにある/あった」と回答した方に、「Q2.親子間でどのような点について意見の相違や対立がありましたか。(複数回答)」と質問したところ、大学院生(n=105)・保護者(n=83)ともに、「研究テーマと関連が薄い企業や業界の選択」が最多の結果になりました。

■就活観の違い?保護者から「伝統的企業を望む親と新興企業を望む子供との間に相違」などの声

 Q2で「わからない/答えられない」以外を回答した方に、「Q3.親子間での意見の相違や対立について、具体的なエピソードがあれば教えてください。(自由回答)」と質問したところ、大学院生(n=104)は、「給料面で対立した」、保護者(n=83)は「伝統的企業を望む親と新興企業を望む子供との間に相違」など40の回答を得ることができました。

<大学院生(n=104):自由回答・一部抜粋>

  • 将来のことについて。

  • 給料面で対立した。

  • 特にこれと言って覚えていませんが、給料面だったり休みの話はしてました。

<保護者(n=83):自由回答・一部抜粋>

  • 伝統的企業を望む親と新興企業を望む子供との間に相違がありました。

  • 息子は給料が高ければどんな会社でも良いと言う。でも、親としては知名度とか安定性を重視する。

  • 子供は大学で学んだことを仕事にすると辛くなるという話があり、ただ何をしたいかわからないという話をしてきたので、今の世の中で必要とされている業界が良いのでは?ということを伝えて相談に乗った。

  • 休みが平日の会社は家庭を持ったらよくないと思い反対した。


「スキルを活かす環境」vs「安定・給与」――立場の差による就活観ギャップ

■大学院生の62.2%が、就職先選びで「専門分野とは異なるが、研究プロセスで身につけた論理的思考力や分析力などが活かせる環境」の重要性を理解保護者との差は約45ポイント

 「Q4.当事者として/保護者として、就職先を選ぶ際に重視している点はどのようなものですか。(複数回答)」と質問したところ、大学院生(n=111)は「専門分野とは異なるが、研究プロセスで身につけた論理的思考力や分析力など(※)が活かせる環境」(62.2%)、を含めた回答者が多く、保護者(n=111)の17.1%と比べ45.1ポイントの差となりました。

※通称トランスファラブルスキル。「研究を中心とした様々な活動の中で身に付くことが期待され、研究・開発以外の幅広い業務でも活用できる能力・資質」のこと(文科省・経産省「博⼠⼈材の⺠間企業における活躍促進に向けたガイドブック」より)

<大学院生(n=111)>

・専門分野とは異なるが、研究プロセスで身につけた論理的思考力や分析力などが活かせる環境:62.2%

・福利厚生が充実している:43.2%

・給与・賞与などの待遇が良い:33.3%

・ワークライフバランスが取れる:30.6%

・会社の将来性や成長性がある:21.6%

・研究テーマや専門分野を直接活かせる仕事内容:18.0%

・企業の安定性や知名度:15.3%

・勤務地や転勤の可能性:9.0%

・その他:0.0%

・わからない/答えられない:0.0%

<保護者(n=111)>

・会社の将来性や成長性がある:50.5%

・給与・賞与などの待遇が良い:45.0%

・勤務地や転勤の可能性:36.9%

・企業の安定性や知名度:34.2%

・福利厚生が充実している:33.3%

・ワークライフバランスが取れる:28.8%

・研究テーマや専門分野を直接活かせる仕事内容:24.3%

・専門分野とは異なるが、研究プロセスで身につけた論理的思考力や分析力などが活かせる環境:17.1%

・その他:1.8%

 ー仕事の面白さと社会に対する意義

 ー本人がやりたいと思っている仕事内容、企業の「人」に対する考え方に納得できること

・わからない/答えられない:0.0%

■大学院生の93.7%が、親ブロックを「経験した/しそうになった」、保護者の63.1%が、子どもの就職先選択に「反対したことがある」と回答

 大学院生(n=111)に、「Q5.あなたは『親ブロック』(親の意見や反対により内定辞退や就活継続を余儀なくされること)を経験したことはありますか。」(n=111)と質問したところ、「経験したことがある」が62.2%、「経験しそうになったが解消した」が31.5%という回答となりました。

 また、保護者(n=111)に、「Q5.お子様の就職先選択について、あなたの意見が採用されなかったり、反対したりしたことはありますか。」と質問したところ、「よくある/あった」が18.9%、「たまにある/あった」が44.2%という回答となりました。

<大学院生(n=111)>

<保護者(n=111)>

■保護者による就職先への反対理由は「給与・待遇が不十分」が最多、大学院生側の認識とは大きく異なる結果に

 保護者のうち、Q5で「よくある/あった」「たまにある/あった」と回答した方(n=70)に、「Q6.お子様の就職先選択に反対した理由は何ですか。(複数回答)」と質問したところ、「給与・待遇が十分でないと感じたから」が51.4%、「企業の将来性や安定性に不安があるから」が45.7%、「研究テーマや専門分野を直接活かせる仕事内容ではなかったから」が32.9%という回答となりました。

 また、大学院生のうち、Q5で「経験したことがある」「経験しそうになったが解消した」と回答した方(n=104)に、「Q6.『親ブロック』が発生した、または発生しそうになった理由は何だと思いますか。(複数回答)」と質問したところ、「親が『研究プロセスで身につけた論理的思考力や分析力など』の価値を理解していないから」が65.4%、「親が『博士・修士の学位』に見合う仕事かどうかを重視しているから」が38.5%、「親が望む大手・有名企業ではなかったから」が27.9%という回答となりました。

<保護者(n=70)>

・給与・待遇が十分でないと感じたから:51.4%

・企業の将来性や安定性に不安があるから:45.7%

・研究テーマや専門分野を直接活かせる仕事内容ではなかったから:32.9%

・企業の知名度や規模が小さいから:31.4%

・専門知識を活かさないのは教育投資が無駄になると感じたから:31.4%

・研究で身につけた能力が評価される職場かどうか判断できなかったから:20.0%

・博士・修士の学位に見合う社会的地位や評価がないと感じたから:10.0%

・専門外の職種では将来のキャリアパスが心配だったから:8.6%

・その他:2.9%

 ー面白くなさそうだから

 ー家から遠い

・わからない/答えられない:0.0%

<大学院生(n=104)>

・親が「研究プロセスで身につけた論理的思考力や分析力など」の価値を理解していないから:65.4%

・親が「博士・修士の学位」に見合う仕事かどうかを重視しているから:38.5%

・親が望む大手・有名企業ではなかったから:27.9%

・親が「専門分野を直接活かせない仕事には就いてほしくない」と考えているから:26.0%

・親の期待よりも給与・待遇が低かったから:22.1%

・親が研究型ベンチャーやスタートアップの将来性を評価していなかったから:14.4%

・親が、せっかく大学院へ進学したなら専門性を活かせる環境へ就職すべきと考えているから:14.4%

・親が専門外の職種でのキャリアパスを想像できないから:7.7%

・親が修士・博士号取得にかけた費用や努力を気にしているから:3.8%

・親が私の将来を真剣に考えているから:1.9%

・その他:0.0%

・わからない/答えられない:0.0%


確かなギャップに対し双方歩み寄りの姿勢も

■大学院生の94.6%が「内定承諾の判断をする際に保護者の意見を考慮する/した」、保護者の72.1%が「子どもの内定承諾の判断に関わるべき」と回答

 大学院生(n=111)に、「Q7.内定承諾の判断をする際に、保護者(親)の意見をどの程度考慮しますか/しましたか。」と質問したところ、「非常に考慮する/した」が24.3%、「やや考慮する/した」が70.3%という回答となりました。

 また、保護者(n=111)に、「Q7.あなたは、お子様の内定承諾の判断にどの程度関わるべきだと思いますか。」と質問したところ、「積極的に関わるべきだ」が17.1%、「ある程度関わるべきだ」が55.0%という回答となりました。

<大学院生(n=111)>

<保護者(n=111)>

■その理由、大学院生は「親の人生経験や社会経験を尊重しているから」、保護者は「社会経験が豊富なので助言できるから」など

 大学院生のうち、Q7で「非常に考慮する/した」「やや考慮する/した」と回答した方(n=105)に、「Q8.保護者(親)の意見を考慮する理由は何ですか。(複数回答)」と質問したところ、「親の人生経験や社会経験を尊重しているから」が61.9%、「親を安心させたいから」が47.6%、「親に経済的に支援してもらっているから」が29.5%という回答となりました。

 また、保護者のうち、Q7で「積極的に関わるべきだ」「ある程度関わるべきだ」と回答した方(n=80)に、「Q8.関わるべきだと考える理由は何ですか。(複数回答)」と質問したところ、「社会経験が豊富なので助言できるから」が61.3%、「子どもの将来を真剣に考えているから」が45.0%、「就職は人生の重要な岐路なので全力でサポートしたいから」が33.8%という回答となりました。

<大学院生(n=105)*上位3つ>

・親の人生経験や社会経験を尊重しているから:61.9%

・親を安心させたいから:47.6%

・親に経済的に支援してもらっているから:29.5%

<保護者(n=80)*上位3つ>

・社会経験が豊富なので助言できるから:61.3%

・子どもの将来を真剣に考えているから:45.0%

・就職は人生の重要な岐路なので全力でサポートしたいから:33.8%

■親子間のコミュニケーション、大学院生の55.0%が「業界やキャリアパスの最新情報の共有」、保護者の42.3%が「大学院レベルの専門職の就職市場に関する情報収集」を実践

 大学院生(n=111)に、「Q9.保護者(親)とのコミュニケーションにおいて、あなたが実践している(または実践しようと思う)工夫や解決策があれば教えてください。(複数回答)」(n=111)と質問したところ、「業界やキャリアパスの最新情報を親と共有している」が55.0%、「企業説明会や研究室訪問に親も一緒に参加している」が45.0%、「研究室の指導教員から親へ説明してもらう機会を設けている」が36.0%という回答となりました。

 また、保護者(n=111)に、「Q9.お子様との就職活動に関するコミュニケーションにおいて、あなたが実践している(または実践しようと思う)工夫や心がけがあれば教えてください。(複数回答)」と質問したところ、「大学院レベルの専門職の就職市場について情報収集している」が42.3%、「子どもの指導教員や研究室の先輩の意見も参考にしている」が35.1%、「意見の押し付けをしないよう気をつけている」が29.7%という回答となりました。

<大学院生(n=111)*上位3つ>

・大学院レベルの専門職の就職市場について情報収集している:42.3%

・子どもの指導教員や研究室の先輩の意見も参考にしている:35.1%

・意見の押し付けをしないよう気をつけている:29.7%

<保護者(n=111)*上位3つ>

・大学院レベルの専門職の就職市場について情報収集している:42.3%

・子どもの指導教員や研究室の先輩の意見も参考にしている:35.1%

・意見の押し付けをしないよう気をつけている:29.7%

■まとめ

 今回は、保護者が就職活動に関与している大学院生(修士・博士)・社会人111名と、その保護者111名を対象に、【大学院生・保護者版】大学院生の就活における「親ブロック」実態調査を実施しました。

 調査の結果、大学院生の94.6%、保護者の74.8%が就職活動で親子間の意見対立を経験しており、その主な要因は「研究テーマと関連が薄い企業・業界の選択」でした。就職先選びの重視点では、大学院生の62.2%が「研究で培った論理的思考力・分析力を活かせる環境」を挙げた一方、保護者は「会社の将来性・成長性」(50.5%)を重視する傾向が明らかになりました。親ブロックについては、大学院生の93.7%が「経験した/しそうになった」と回答し、その理由として「研究で身につけた能力の価値への理解不足」(65.4%)を挙げています。一方、保護者の63.1%が子どもの就職先選択に反対した経験があり、反対理由は「給与・待遇の不十分さ」(51.4%)や「企業の将来性・安定性への不安」(45.7%)が上位となりました。

■大学院生のキャリア支援の専門家、アカリクから調査結果に対する見解・コメント

 今回の調査では、大学院教育の高度化とキャリア選択の多様化が進む中で、「就職活動」というものについて、自身のスキルを活かしたキャリアを志向する大学院生と、我が子に安定した暮らしを送ってほしい保護者との間に、大きな就活観ギャップが存在することが明らかになりました。このギャップは、就活当事者である大学院生と、それを支援する立場にある保護者の、それぞれの立場の違いに起因するものと考えられます。

 特に重要な発見として、大学院で得られる専門性以外のスキル(トランスファラブルスキル)や現代の多様なキャリアパスについて、保護者と大学院生の間にギャップが存在する一方で、Q7以降に見られるように、双方ともに「就活において保護者の意見は考慮されるべきだ」という意思を持っていることが挙げられます。また、Q7においては保護者の約4分の1が「親は子の内定承諾判断に(あまり)関わるべきではない」と回答し、またQ8においては大学院生の半数が「親を安心させたいから」を選択するなど、双方が “歩み寄りの姿勢” を示していることも非常に興味深い点です。

 Q8の保護者による回答が示すように、「親ブロック」は、子どもの将来を真剣に考えている保護者の深い愛情の裏返しであり、これは “どちらか一方の理解不足” や “世代間の価値観の違い” というよりも、むしろ “情報の非対称性を是正するための適切な支援体制が整備されていないことによる課題” と捉えるべきでしょう。

 このような状況を改善するには、大学院生と保護者の双方が、大学院生の就活の特徴や傾向、トランスファラブルスキルの活用、キャリアパスの多様化などを共に学べるキャリア支援策の充実が不可欠です。学部生とは異なる大学院生のキャリア形成に関する知識や、社会で活躍する様々な大学院人材のロールモデルを知る機会を創出することで、立場の違いから生じるギャップを埋め、双方のギャップ解消をより効果的に支援していくことが求められます。

■会社概要

会社名:株式会社アカリク(https://acaric.co.jp/

創業 :2006年11月

代表者:代表取締役社長 山田 諒

所在地:東京都渋谷区渋谷2-1-5 青山第一田中ビル2階

資本金:1000万円(資本剰余金を含む 5億5000万円)

事業 :大学院生・ポスドク向け就活情報サイト「アカリク」の運営、研究分野・業種・職種別イベントの企画開催、大学等でのキャリアセミナーの実施、新卒大学院生・若手研究者・大学院出身者の人材紹介、オンラインLaTeXエディター「Cloud LaTeX」の運営など



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業種
サービス業
本社所在地
東京都渋谷区渋谷2-1-5 青山第一田中ビル2階
電話番号
03-5464-2125
代表者名
山田 諒
上場
未上場
資本金
1000万円
設立
2024年07月