ノーベル生理学医学賞で話題となった温度の受容体「TRP(トリップ)チャネル」 ポーラ化成はTRPV4チャネルに着目し皮膚での働き解明に寄与
ポーラ・オルビスグループの研究・開発・生産を担うポーラ化成工業株式会社(本社:神奈川県横浜市、社長:釘丸和也)では、2021年のノーベル生理学医学賞の対象となった「温度と触覚の受容体の発見」で注目されたTRP(トリップ)チャネルに、14年前の2007年から注目し、皮膚での役割を解明してきました。
- 2007年、富永教授と共同で温度と皮膚機能の研究に着手
- 体温付近の温かい温度で活性化する“TRPV4”に着目、肌でのはたらきを研究
- これまでにTRPV4が肌のバリア機能の形成にはたらくことなどを解明
ポーラ化成ではこの研究成果のきっかけとなった基礎的研究でノーベル賞を受賞された先生方に敬意を表するとともに、今後も、私たちの生活や美の役に立つ知見を解明できるよう、さまざまな分野の最新の技術動向に注目し、皮膚に関する研究をリードしていきたいと考えています。
- 富永真琴先生からのメッセージ
ポーラ化成の研究のように、温度以外の刺激で温度を感じたのと同じような応答を起こすことで、皮膚がよりよい状態を保つようにする研究がさらに進み、製品に応用されることを期待しています。
【補足資料1】 TRPV4について
TRPV4は、温度センサーとして注目を集めている「TRP(トリップ)イオンチャネル」という膜タンパク質のグループに属しており、主に腎臓や脳、皮膚の表皮細胞などに存在しています。TRPイオンチャネルは、細胞膜にカルシウムなどの陽イオンの通り道をつくります。刺激を受けて通り道が開いた(活性化した)ときにイオンが流れ、電気シグナルが発生します。
この温度感受性TRPイオンチャネルは温度以外にも特定の成分などを感知します。たとえば TRPV1 はカプサイシン(トウガラシの主成分)、TRPM8 はメントール(ミントの主成分)で活性化することがよく知られています。温度センサーとしてはたらくTRPチャネルは、それぞれ特定の温度域を感知し、温度情報を電気シグナルに変換して細胞内に伝えます。
なかでもTRPV4は、体温付近の温かい温度域(30℃~)に加えて、浸透圧変化や力学的な変形によっても活性化する多刺激受容体として機能することが明らかとなり、環境センサーとしての役割が注目されています。
【補足資料2】 ポーラ化成工業が関わったTRPチャネル研究の成果
我々の研究により、以下の3点が明らかとなっています。
①表皮細胞において、活性化したTRPV4は皮膚のバリア機能を担うタイトジャンクションの形成を促進する
<参考リリース>
冬の美肌の敵は、乾燥だけじゃない、温度にもあり 温かい温度で活性化するタンパク質(TRPV4)が皮膚のバリア機能に影響
(2009年12月1日)http://www.pola-rm.co.jp/pdf/release_2009_9.pdf
②ヒト皮膚組織を使った実験でも、TRPV4が皮膚のバリア機能に重要な役割を果たすことを確認
<参考リリース>
皮膚温の低下が乾燥肌を引き起こすメカニズムを解明
(2010年9月21日)http://www.pola-rm.co.jp/pdf/po22r055.pdf
③バナバ(オオバナサルスベリ)の葉から抽出したエキスにTRPV4 を活性化する作用がある
<参考リリース>
皮膚の温度センサーTRPV4 を活性化する化粧品素材開発に成功 バナバエキスが美しい肌を保つ皮膚温と同じ状態をつくることを確認
(2011年9月20日)http://www.pola-rm.co.jp/pdf/release_20110920.pdf
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