企業間「相互副業 実証実験」参加者のキャリア資産診断結果を公開 相互副業で得られた経験が個人の成長実感へとつながる結果に

~キャリアオーナーシップとはたらく未来コンソーシアムの効果検証にキャリア形成支援ツール「プロテア」が全面協力~

総合人材サービス・パーソルグループのパーソルプロセス&テクノロジー株式会社(本社:東京都江東区、代表取締役社長:横道 浩一、以下「パーソルP&T」)は、「キャリアオーナーシップとはたらく未来コンソーシアム(*1)」が進めるコンソーシアム参画企業間の「相互副業実証実験」において、当社が開発・提供するキャリア形成支援ツール「プロテア」による「キャリア資産診断」の診断結果を公開しましたのでお知らせします。
(*1)「キャリアオーナーシップとはたらく未来コンソーシアム」<https://co-consortium.persol-career.co.jp/
キリンホールディングス株式会社、KDDI株式会社、コクヨ株式会社、富士通株式会社、パーソルキャリア株式会社、三井情報株式会社、ヤフー株式会社、株式会社LIFULL(ライフル)の8社で発足したコンソーシアム
「相互副業実証実験」の第1弾として、2022年2月1日(火)から、コンソーシアム参画企業8社のうち、キリンホールディングス株式会社、ヤフー株式会社、パーソルキャリア株式会社の3社の企業間で副業を実施。社内の多様性推進や新規事業開発などの領域から7つの副業案件を切り出し、約3か月の間、副業によって個人と組織それぞれの成長を促すことができるかを検証しました。
具体的な検証方法として、相互副業に参加した7名を対象に、相互副業の実施前後で「キャリア資産診断」を実施。実証前後の数値を比較すると、ほぼすべての項目で数値の上昇がみられました。

『プロテアのキャリア資産診断』を活用した「副業実証実験」とは
プロテアは社員の本業や複業を通じて得られたキャリアを可視化し、蓄積するツールです。本プロジェクトにおける「プロテア」の調査では、『プロテアのキャリア資産診断(*2)』を基に、副業(複業)による個人の成長を計
測。さらにキャリア資産(*3)が、企業と個人が共に成長するための新たな指標となるかなど、実証前後の変化を可視化しました。
(*2)キャリアを形成させる3つの資産項目(生産性資産・活力資産・変身資産)を『プロテア』で独自に要素分解し、各資産の蓄積状況を可視化。
(*3)マルチステージの人生を生きるために重視されている「無形資産」のこと。無形資産として代表的なものは、スキル、知識、友人、家族、肉体的・精神的健康、ネットワークなどが上げられる

                (図)キャリアを形成させる資産項目

また、本実証実験において「副業による個人の成長の変化」が明らかになりました。

■実証結果
実証前と比較して14/15項目に対しポイントが上昇。特に活力資産と変身資産が向上した人の割合が多く、
短期間のプロジェクトでも意欲や自身の変化において効果を実感した人が多い結果に。


15の診断項目のうち14の指標で上昇が見られました。『コミュニティ』や『コミュニケーションスキル』は実証後との差が1.5Pt以上と高く、副業という日常のはたらき方と異なる環境の中でも他者とのつながりやコミュニケーションが養成されることがわかりました。また、『精神的健康』も高まっており、副業を通した精神的なセルフマネジメントにも役立つことがわかる結果となりました。
このことから、副業はスキル・経験としての成長以上に、違った環境で働くことによるコミュニケーションやセルフメンテナンスに役立つ取り組みであることが伺えます。


キャリア資産数値上昇者の割合では、積み上げたスキルや知識などの「生産性資産」が57%、活動を支える身体と心の「活力資産」が86%、環境に適応し変化する「変身資産」が71%上昇しており、短期間のプロジェクトながら、意欲や自身の変化の面で効果を実感していると推測される結果となりました。


実証前後の心理面では「キャリアの自己責任自覚」「職業的自己イメージの明確さ」が上昇

キャリア自律の観点においては、実証の前後の心理面で「職業的自己イメージの明確さ」が3.64から3.96へと0.32Pt、「キャリアの自己責任自覚」は3.46から3.86へと0.4Pt上昇。また行動面では「ネットワーク行動」が3.29から3.67へと0.38Pt上昇しました。
このことから、副業を行うことで自己の職業観の醸成と社外でのネットワーク構築の寄与に好影響があることが明らかになりました。

                   出典:パーソル総合研究所 従業員のキャリア自律に関する定量調査


■総括
社外に出るからこそ得られる経験が成長実感につながる

一般的な副業のイメージは「自身のスキルを活かして、他社で役立つ」であることに対し、本調査での効果では、「自分はどんな人か(アイデンティティ)」「何を武器に取り組むか(アダプタビリティ)」を異なる環境に身を置いて働いていくことで改めて見直す機会=越境学習になったことがわかりました。また、ほぼ全ての項目に対し上昇している理由として、副業が単なる越境ではなく対価を得て取り組むことで、より役割意識をもって臨んだ結果であると考えられます。また、自己納得感・自己選択感など過去~現在にかけてのキャリア選択を見つめ直すと同時に、ポジティブに受け取っている様子も見受けられ、副業で得られた経験が個人の成長実感へとつながるということが、今回の調査から伺うことができました。

 

成果報告会を開催
7月5日(火)17:00~オンラインで開催される「キャリアオーナーシップとはたらく未来コンソーシアム」の成果報告会に、当社プロテアサービス責任者 宮崎 将が登壇し、本診断結果の考察を報告します。
ご興味のある方は、以下、コンソーシアムのイベントページよりお申込みください 。
URL: https://co-consortium.persol-career.co.jp/information/2022/06/14/index.html


■「プロティアン・キャリア」の第一人者及び「プロテア」のサービス監修に携わった田中研之輔氏からの
コメント

【法政大学教授 一般社団法人 プロティアン・キャリア協会代表理事 田中研之輔氏】

「人的資本の最大化」を実現する「切り札」がキャリアオーナーシップです。キャリアオーナーシップとは、キャリアを会社に預けるのではなく、自ら主体的にキャリアを形成していく行動様式です。キャリアオーナーシップはキャリア自律に関する最新知見である現代版プロティアン・キャリア論においても重要視されています。それでは、いかなる行動や挑戦がキャリアオーナーシップを促進し、行動変容を起こしていくのか。今、日本企業が明かすべき問いは、ここにあります。

今回実施された「企業間の相互副業 実証実験」は大きく二つの社会的インパクトがあります。1点目は、副業が企業間で相互に実施されたこと。2点目は、「プロテア」を用いて実証実験の効果が測定されたこと。
これまで副業は希望する個人が社内に申請し、許可される場合に認められてきました。今回の実証実験では個人のキャリア開発行動を支援する形で、企業間で副業を実施していく国内初のスキームが実現しました。さらに、実施するだけではなく、「プロテア」による行動の数値化によって実証されたのです。主体的・主観的に語られてきたキャリア行動を、客観的に分析することが可能となりました。
実証前後の数値を比較すると、ほぼすべての項目で数値の上昇がみられます。特に注目すべきは、「ビジネススキル(+0.8)、「コミュニケーションスキル」(+1.6)、「精神的健康」(+2.6)、「コミュニティ」(+1.6)です。これまで副業は、蓄積したスキルの利用機会として捉えられてきましたが、「精神的健康」や「コミュニティ」の促進機会にもなるのです。

「プロテア」の数値をもとに、私たちは副業の持つキャリア開発行動の可能性を再認識すべきなのです。もちろん、社内でのキャリア開発研修や公募制・フリーエージェント制などの取り組みも大切です。社内外でのキャリア開発行動支援を持続させながら、「人的資本の最大化」を実現していくこと。「企業間の相互副業 実証実験」や「プロテア」でのデータ分析をつうじて、キャリアオーナーシップがさらに進化・深化していくことを楽しみにしています。

田中 研之輔氏 プロフィール
法政大学 キャリアデザイン学部 教授/一般社団法人プロティアン・キャリア協会
代表理事/株式会社キャリアナレッジ 代表


一橋大学大学院社会学研究科博士課程を経て、メルボルン大学、カリフォルニア大学バークレー校で客員研究員。2008年に帰国し、法政大学キャリアデザイン学部教授。大学と企業をつなぐ連携プロジェクトを数多く手がける。企業の取締役、社外顧問を31社歴任。個人投資家。著書27冊。「プロティアン―70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術」(日経BP社)、「ビジトレ―ミドルシニアのキャリア開発」(金子書房)、「今すぐ転職を考えてない人のためのキャリア戦略」(ディスカバー・トゥエンティワン)、最新作「キャリアワークアウト」(日経BP)など。
2020年、パーソルP&Tが提供するキャリア自律支援サービス『プロテア』のサービス監修に携わる。


【パーソルプロセス&テクノロジー株式会社 『プロテア』サービス責任者 宮崎 将 】
~キャリア資産の可視化を通して、様々な活動の効果検証を~

今回は企業間の相互副業という取り組みに対しての効果検証を目的として『プロテア』を活用しましたが、今までの副業で見られていたスキルや知識、経験の蓄積といった【能力面】での効果だけでなく、社外でのネットワーク形成や働く上でのセルフマネジメントなど変化に適応するための【資質】を磨く機会になったことが、数値で証明できました。

今後は副業などの社外での活動に留まらず、企業における研修やカウンセリングなど社員育成の様々な取り組みの中で、キャリア資産の可視化を通じて効果検証やその後の施策検討に活かすことができると感じております。
長年の慣習や、昨年度取り組んでいたからと思考停止せず、『キャリア資産』を活用いただき、社員にとって企業にとってより良い取り組みとなるよう支援してまいります。

パーソルプロセス&テクノロジー株式会社 ワークスイッチ事業部
事業開発統括部 デジタル人材開発部 プロテアサービス責任者 宮崎 将

大学卒業後、教育業界に入社し、事業推進・新規事業立ち上げ・人事企画を担当。

2013年より株式会社インテリジェンス(現パーソルキャリア株式会社)へ入社し、公共事業部企画運営担当として『就業支援』『地方創生』『キャリア支援』
『働き方改革』テーマの支援事業を歴任。
また複業としてNPO法人二枚目の名刺に所属し、事業推進として社会人の社会活動参画を促すべく、企業・自治体等とアライアンスを担当。
2020年1月より現職。パーソルグループのDI&Eコミュニティ『co-door(コドウ)』にてグループ社員の複業促進のためのコミュニティを運営。

■参考
<プロテアについて>

昨今の新型コロナウイルスの感染症拡大により急速なDX化が迫られるなど、企業を取り巻く環境は大きく変化しています。その変化のなかで、自律的なキャリア形成を社員に求める企業が増えている一方、効果が測れないことが課題となっています。
パーソルP&Tは、この課題を解決するべく、本業や複業を通じて得られた社員のキャリアを可視化し、蓄積するツール『プロテア』(https://www.persol-pt.co.jp/protea/)を提供しています。

「プロテア」は本業および複業等による社員の知識や能力などのキャリア資産をスコア化することで、キャリアにおける課題を可視化します。可視化されたキャリア資産の傾向を元に、メンタリングや越境体験などの機会提供によって、社員の主体的なキャリア形成を支援します。

<キャリア資産 構成要素>

 

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会社概要

URL
https://www.persol-pt.co.jp/
業種
サービス業
本社所在地
東京都江東区豊洲3-2-20 豊洲フロント7階
電話番号
03-6385-0900
代表者名
市村 和幸
上場
未上場
資本金
3億1000万円
設立
1977年09月