温度差ストレスによる皮膚への影響(1)
メラノサイト刺激因子※1の増加によりメラニンが作られやすくなる
ポーラ・オルビスグループの研究・開発・生産を担うポーラ化成工業株式会社(本社:神奈川県横浜市、社長:釘丸和也)は、温度差のある場所を行き来するなどの行動により、皮膚が温度差にさらされた時の影響を研究し、以下を発見しました。
温度差にさらされることにより、表皮細胞でのメラノサイト刺激因子の一種※2の遺伝子発現が増え、メラノサイトでのメラニン(色素)の産生が促進される |
本知見は、ポーラ・オルビスグループから発売される製品・サービスなどに活用される予定です。
※1 メラニンを産生する色素細胞「メラノサイト」を刺激する因子。メラニン産生を促す。
※2 Stem Cell Factor, SCF、遺伝子名はKITLG
- 日常の環境における温度差に着目: 異なる温度の場所の行き来などにより皮膚が受ける影響とは?
※3 参考リリース:
「暑さ」が日焼けとシミに拍車をかける 時計遺伝子の暴走を阻止し、「暑さ」によるメラニンの過剰産生を抑制
(2019年1月31日) http://www.pola-rm.co.jp/pdf/release_20190131.pdf
※4 マスクの着脱前後でマスクに覆われる部分の皮膚温が約5℃変化することを確認
- 温度差ストレスにより表皮細胞でのメラノサイト刺激因子の遺伝子発現が増える
この理由を明らかにするため温度差ストレスによる表皮細胞側の変化を調べたところ、メラノサイト刺激因子の一種であるSCFの遺伝子発現が高まっていました(補足資料3)。つまり、温度差ストレスにより表皮細胞がメラノサイト刺激因子をより多く分泌し、メラノサイトのメラニン産生を促したと考えられました(図3)。
- 温度差ストレスによる日焼けしやすさをケアして本来の透明感へ
◆温度差ストレスに関連する研究については、下記リリースもご覧ください。
「温度差ストレスによる皮膚への影響(2) 表皮細胞で炎症性因子の発現が増える」
(2022年3月29日)
http://www.pola-rm.co.jp/pdf/release_20220329_02.pdf
【補足資料1】 10年間の平均年間最高気温の推移
東京における19世紀末から昨年までの10年間毎の平均年間最高気温を図4に示しました。
グラフから分かるように、平均年間最高気温は上昇傾向にあり、1882~1891年から2012~2021年にかけて約4℃上昇しています。
このことから、夏の屋外と冷房の効いた屋内との温度差は年々大きくなっており、皮膚が温度差にさらされる機会が増えていると考えられます。
https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/
【補足資料2】 温度差にさらされた表皮細胞のメラノサイトに対する影響
温度差にさらされた表皮細胞の培養液によって、メラノサイトのメラニン産生が増えた原因を確認するため、あらかじめ紫外線(UVB)を照射し活性化させたメラノサイトを用いて、メラニン産生に関与する遺伝子群の発現量の変化を確認しました。
温度差にさらされた表皮細胞の培養液をメラノサイトに加えると、メラニン合成酵素(チロシナーゼ)やメラニン合成を制御する因子(MITF)などの遺伝子の発現が高まった(図5)ことから、これらの因子が増えたことによりメラニン産生が増えたと考えられました。
【補足資料 3】 温度差にさらされた表皮細胞での遺伝子発現の変化
補足資料2の結果から、温度差にさらされた表皮細胞は、メラノサイトを刺激してメラニン産生を促す因子をより多く分泌する可能性があると考えられました。
そこで、温度差にさらされた表皮細胞の遺伝子発現の変化を調べたところ、メラノサイト刺激因子の一種であるSCFの遺伝子(KITLG)の発現が高まっていた(図6)ことから、この因子によりメラノサイトが刺激され、メラニン産生が増えたと考えられました。
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