図案家激減による分業寸断を生成AIが補完し伝統工芸産業を活性化 日本初※生成AI関連技術による新作「江戸小紋」図案の開発 ~図案を一から構想し反物の製品化を目指す~
【文京学院大学 経営学部川越ゼミ×武蔵野大学 データサイエンス学部 共同研究】
※本学調べ
「江戸小紋」新作図案研究の概要
本学経営史研究ゼミでは、デザイン・歴史・グローバルを軸に、歴史を活かした商品開発や老舗企業のブランディングを行っています。2016年からは、埼玉県川越市の伝統的綿織物である「川越唐桟(かわごえとうざん)」の研究・振興に取り組んできました。川越唐桟の研究の流れから着物市場に着目してみると、着物市場の低迷は「江戸小紋」も例外ではありませんでした。
「江戸小紋」は型染による染物です。また、遠目に見ると無地のような極めて細かく小さな柄付けが特徴です。江戸小紋のうち伝統的な製造方法の品は、「東京染小紋」として経産省指定の伝統的工芸品に指定されています。その代表的な技法である錐彫りの模様は、図案家の激減の他、緻密で繊細な模様考案の難しさ、それによるグラフィックデザイナーの参入の困難さがあります。さらには、伝統的な技術は親方から弟子へ口頭で伝えられるものが多く、マニュアル化されることが少ない分野です。同様に江戸小紋の錐彫り模様も教本はなく、錐彫り図案を描ける図案家が減少したために、今や制作理論の伝承が困難な状況でした。その為に現状では、以前の紋様を繰り返し復刻して作っているか、図案家ではない型紙彫り師や染め屋が無理をしながら時間をかけて少量の新柄を案出しているか、そのどちらかです。中でも、錐彫り技法で小さなモチーフを彫りランダムに配置する「けれんもの」と呼ばれる昔ながらの形式は、図案の構成がことさら難しく、新作はほとんど生まれていません。
本学では、日本の代表的な染色技法の一つとして受け継がれている「江戸小紋」の市場を再び活性化させるために、先人たちが積み重ねてきた技術をアップデートしながら次世代に継承していくことを目的として研究を重ねました。
考察が深まるごとに見つけ出され精度を増した制作の理論を元に、実験的にモチーフを試作し、生成AIを活用したプログラミングを得意とする武蔵野大学データサイエンス学部と連携し、江戸小紋図案の特徴でもあるモチーフをランダムに配置するプログラムに作り上げました。
本研究は現在、これらの成果を形にし、江戸小紋新商品発表に向け、東京都伝統工芸士と準備を進めています。
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