パワー半導体「HVIGBTモジュールXBシリーズ」耐電圧4.5kVタイプ新製品発売

鉄道車両などの大型産業機器向けインバーターの高効率化と信頼性の向上に貢献

三菱電機株式会社

HVIGBTモジュールXBシリーズ 耐電圧4.5kVタイプ」(左が標準絶縁品、右が高絶縁品)

 三菱電機株式会社は、鉄道車両などの大型産業機器向け大容量パワー半導体「HVIGBT(※1)モジュールXBシリーズ」の新製品として、「耐電圧4.5kV」の標準絶縁品(絶縁耐電圧6.0kVrms)と高絶縁品(絶縁耐電圧10.2kVrms)の2機種を12月9日に発売します。独自のダイオードとIGBT素子の採用に加え、独自のチップ終端構造の採用による耐湿性能の向上を実現し、さまざまな環境下で走行する鉄道車両などの大型産業機器向けインバーターのさらなる高効率化と信頼性の向上に貢献します。

 なお、本製品は「第40回ネプコンジャパン エレクトロニクス開発・実装展」(2026年1月21日~23日、於:東京ビッグサイト)をはじめ、北米、欧州、中国、インド等で開催される展示会へ出展予定です。

 近年、脱炭素社会の実現に貢献するキーデバイスとして、電力を効率よく変換するパワー半導体の需要が拡大しています。なかでも、大型産業機器向けのパワー半導体モジュールは、鉄道車両の駆動システムや電源装置などの電力関連システムにおける、インバーターなどの電力変換機器に使用されています。大型産業機器向けのパワー半導体モジュールは、脱炭素社会の実現に向け、さらなる電力変換効率の向上に貢献する高出力・高効率であることに加えて、気温や湿度の変動が大きい屋外などの厳しい環境下でも安定動作する耐湿性能が求められています。パワー半導体に搭載されるチップは、電力を変換・出力する領域(有効領域)と、電圧を安定的に保持する役割の終端領域(無効領域)に分けられ、湿度が高い環境では、水分などの影響により保持電圧が低下しないように終端領域を広くするチップ構造が必要です。その一方で、終端領域を広くすると相対的に有効領域が狭くなるというトレードオフ関係にあるため、パワー半導体チップの高出力・低損失の性能向上と耐湿性能の両立には課題がありました。

  当社は今回、独自のRFCダイオード(※2)とCSTBT構造(※3)を採用したIGBT素子を搭載した「HVIGBTモジュールXBシリーズ 耐電圧4.5kV」を発売します。本製品は、チップの終端領域に新しい電界緩和構造(※4)と表面電荷制御構造(※5)を採用することで、終端領域を約30%縮小しつつ、従来製品比で約20倍(※6)の耐湿性能を実現し、高い湿度環境などで使用されるインバーターの安定稼働に貢献します。また、従来製品に比べて、スイッチング損失を約5%低減(※7)し、インバーターの高効率化に寄与します。さらに、RRSOA耐量(逆回復時安全動作領域における耐量)が従来製品比で約2.5倍拡大(※8)し、インバーターの信頼性向上に貢献します。これらにより、さまざまな環境下で走行する鉄道車両などの大型産業機器向けインバーターのさらなる高効率化と信頼性の向上を実現し、カーボンニュートラルの実現に貢献します。

■新製品の特長

1.独自のチップ終端構造の採用で耐湿性を向上し、インバーターの安定稼働に貢献

・チップの終端領域に新しい電界緩和構造と表面電荷制御構造を採用することで、終端領域を約30%縮小しつつ、従来製品比で約20倍(※6)の耐湿性を実現し、高い湿度環境下におけるインバーターの安定稼働に貢献

 

2.独自のRFCダイオードとCSTBT構造を採用したIGBT素子の搭載で、インバーターの高効率化と高信頼性に貢献

・独自のRFCダイオードとCSTBT構造を採用したIGBT素子の搭載により、従来製品比でスイッチング損失を約5%低減(※7)し、インバーターの高効率化に寄与

・独自のRFCダイオードの搭載により、スイッチング時に発生する逆回復電流(※9)、逆電圧(※10)による破壊が起こらない保証範囲を示すRRSOA耐量を従来製品比で約2.5倍拡大(※8)し、インバーターの信頼性向上に貢献

3.従来製品との外形互換性を確保し、インバーターの開発期間短縮に貢献

・従来製品(※11)と外形サイズ、電極端子の配置などを同一とすることで置き換えが容易となり、インバーターの開発期間の短縮に寄与

■製品仕様

■パワー半導体「HVIGBTモジュールXBシリーズ」製品ラインアップ

■商標関連

「CSTBT」

三菱電機株式会社の商標

■製品担当

 三菱電機株式会社 パワーデバイス製作所

 〒819-0192 福岡県福岡市西区今宿東一丁目1番1号

■三菱電機グループについて

 私たち三菱電機グループは、たゆまぬ技術革新と限りない創造力により、活力とゆとりある社会の実現に貢献します。社会・環境を豊かにしながら事業を発展させる「トレード・オン」の活動を加速させ、サステナビリティを実現します。また、デジタル基盤「Serendie®」を活用し、お客様から得られたデータをデジタル空間に集約・分析するとともに、グループ内が強くつながり知恵を出し合うことで、新たな価値を生み出し社会課題の解決に貢献する「循環型 デジタル・エンジニアリング」を推進しています。1921年の創業以来、100年を超える歴史を有し、社会システム、エネルギーシステム、防衛・宇宙システム、FAシステム、自動車機器、ビルシステム、空調・家電、デジタルイノベーション、半導体・デバイスといった事業を展開しています。世界に200以上のグループ会社と約15万人の従業員を擁し、2024年度の連結売上高は5 兆5,217 億円でした。詳細は、www.MitsubishiElectric.co.jpをご覧ください。

※1 High Voltage Insulated Gate Bipolar Transistor:高耐電圧絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ

※2 Relaxed Field of Cathode:カソード側の電子移動度を最適化した当社独自のダイオード

※3 Carrier Stored Trench-gate Bipolar Transistor:キャリア蓄積効果を利用した当社独自のIGBT構造

※4 p型半導体領域の間隔を徐々に広がるように最適配置した当社独自の構造

※5 半絶縁膜を半導体領域に直接接触させ、安定して電荷を逃がす当社独自の構造

※6 3.3kV XBシリーズと従来品Hシリーズの耐結露性検証結果(終端設計は3.3kVと4.5kVで同一)

※7 従来製品CM1200HC-90Rと新製品をEon+Eoff+Erec、Tj=125℃、VCC=2800V, IC=1200Aで比較

※8 従来製品CM1200HC-90Rと新製品をRRSOAのVCEとIrrの積であるPrrで比較

※9 ダイオードの順方向から逆方向への切り替え時に生じる一時的な逆方向の電流

※10 ダイオードに逆方向にかかる電圧

※11 従来製品Hシリーズの4.5kV/900A製品、Rシリーズの4.5kV/1200A製品との比較

<お客様からのお問い合わせ先>

三菱電機株式会社 半導体・デバイス第一事業部 事業戦略部

〒100-8310 東京都千代田区丸の内二丁目7番3号

https://www.MitsubishiElectric.co.jp/semiconductors/contact/

<ウェブサイト>

パワー半導体・デバイスウェブサイト

https://www.MitsubishiElectric.co.jp/semiconductors/powerdevices/

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会社概要

三菱電機株式会社

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URL
https://www.MitsubishiElectric.co.jp/
業種
製造業
本社所在地
東京都千代田区丸の内2-7-3 東京ビル
電話番号
03-3218-2111
代表者名
漆間 啓
上場
東証プライム
資本金
1758億2077万円
設立
1921年01月