【研究報告】おいしいポテトサラダの秘密を解明 ポテトサラダのふんわり感と調和感はじゃがいもとマヨネーズの混ざり具合がポイント
キユーピー株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役 社長執行役員:髙宮 満、以下キユーピー)は、惣菜の製造を手掛けるグループ会社のデリア食品株式会社(本社:東京都調布市、代表取締役社長:竹中 成人、以下デリア食品)とともにポテトサラダのおいしさについて研究を進めています。この度、じゃがいもとマヨネーズソースの混合時に程よくじゃがいもをつぶすことで、ポテトサラダのふんわり感(口当たりの軽さ)と調和感(じゃがいもとマヨネーズの味の一体感)が向上してよりおいしくなることが分かりました※1。
※1 9月2日~9月3日に開催された、一般社団法人 日本調理科学会 2022年度大会(オンライン形式)で発表しました。
※1 9月2日~9月3日に開催された、一般社団法人 日本調理科学会 2022年度大会(オンライン形式)で発表しました。
ポテトサラダを作る時の混ぜ方の違いは、食感や味の変化、嗜好性への影響はあるか?
ポテトサラダのおいしさを科学的に解明するため、ポテトサラダの重要な製造工程である、じゃがいもとマヨネーズソースの撹拌に着目して研究しました。
研究の結果、じゃがいもを蒸した後に粗熱を取って(40℃)、適度に撹拌すると、ソース部分へデンプンが程よく分散することが分かりました。
このマヨネーズソースとじゃがいものデンプンの分散状態によって、ポテトサラダの口当たりや、じゃがいもとマヨネーズの味の一体感がアップして、よりおいしくなることが分かりました。
キユーピーは、これまでにも家庭でのポテトサラダの作り方を検証し、おいしい作り方について科学的に解明し発表してきました※2。デリア食品では、これらの知見を生かし、工場で生産する惣菜においても製法をコントロールすることで、手作りのようなおいしさに近づけています。
今後も研究活動を通して、マヨネーズや惣菜の新しい可能性を探るとともに、食卓を楽しくし、生活に役立つ情報を届けていきます。
※2 キユーピーアヲハタニュース2019 No.77参照 https://www.kewpie.com/newsrelease/2019/1499/
ポテトサラダ特設サイト https://www.kewpie.co.jp/potato/
研究概要は、以下の通りです。
[背景・目的]
家庭やレストランで作るポテトサラダのおいしさを工業的に再現する方法について、これまでの研究から、マヨネーズソースの乳化状態が重要であることが明らかになりました。今回は、ポテトサラダの口当たりと風味の感じ方について、じゃがいもとマヨネーズソースの撹拌工程に着目しました。その中で、じゃがいもがつぶれることによって、ソース部分に流出するデンプン量がポテトサラダのおいしさに寄与すると考えました。また、撹拌条件が異なるポテトサラダを用いて、おいしいポテトサラダの物性や味の特徴を明らかにすることを目的として、官能評価を実施しました。
[サンプル]
以下の異なる3つの手順パターンで、蒸したじゃがいもとマヨネーズソースを撹拌してできたモデルポテトサラダについて評価分析を行いました。
① じゃがいもの粗熱(40℃)を取り、撹拌時間を短くしたもの
② じゃがいもの粗熱(40℃)を取り、撹拌時間を長くしたもの
③ じゃがいもを低温(10℃)まで冷やし、撹拌時間を短くしたもの
試験1:撹拌条件の違いによる、デンプン粒の流出とおいしさへの影響評価
<評価方法>
モデルポテトサラダのソース部分をサンプリングし、ヨウ素染色を行ってデンプン粒を紫色に染色しました。光学顕微鏡を用いてデンプン粒の様子を観察しました。
<モデルポテトサラダの官能評価>
「ふんわり感(口当たりの軽さ)」「調和感(じゃがいもとマヨネーズの味の一体感)」「嗜好性」について、10段階評点法による官能評価を実施しました。パネルは研究員9名としました。
<結果(図1、グラフ1)>
顕微鏡観察の結果、撹拌条件によって、ソース部分へのデンプンの流出度合いに差がみられました(図1)。また、官能評価の結果から①のサンプルは食感がふんわりし、味の調和感が高く、嗜好性も高いことが分かりました(グラフ1)。これは、温かいほどじゃがいもの細胞が崩れてソース中にデンプン粒が流出しやすくなり、マヨネーズソースとデンプン粒が混ざり合うことで物性が変化するためだと考えられます。
試験2:CATA法※3による調和感のあるポテトサラダの特徴の検証
<評価方法>
3種類のモデルポテトサラダについて、喫食時に感じる物性や味に関する17項目の評価用語を用いてCATA法による官能評価を実施しました。パネルは研究員16名とし、本試験はポテトサラダのおいしさ要素の定義づけを目的として実施しました。
※3 CATA法(Check-All-That-Apply)は、複数の評価用語の中から試料の特徴を表すと思うものをチェックする官能評価手法で、ポテトサラダのおいしさ要素の定義づけを目的にしています。
<結果(グラフ2)>
①は、じゃがいもの風味が感じられてソースの口どけが良く、調和感があるという評価でした。一方で、②はソースの口どけが悪く、油っぽい評価であり、③は酸味や塩味が強く、じゃがいもの風味が感じられない評価でした。これは、②はデンプンの流出が多く、ソースがもったりとする一方で、③はデンプンの流出が少なく、じゃがいもとマヨネーズソースが馴染まず、味がバラバラと感じられるためだと考えられます。
以上の結果から、ポテトサラダを作る際に、じゃがいもを蒸した後に粗熱を取って、撹拌しすぎないことで、ソース部分へのデンプンが程よく流出しており、ふんわり感や調和感がアップすることが分かりました。また、調和感があるポテトサラダは、自然なじゃがいもの風味が感じられて、口どけが良い状態であることが明らかとなりました。今回の研究から、撹拌工程にこだわることで、よりおいしいポテトサラダを作れる可能性が示唆されました。
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