LIFULL HOME'Sが東京23区の新築マンション平均価格を区単位で調査
「晴海フラッグ」の平均㎡単価は中央区平均より40万円以上割安であることも判明
晴海フラッグは本当に割安…?都内の新築マンション価格は現在いくらで買えるのか?
最近、オリンピック・パラリンピック選手村マンション「晴海フラッグ」の購入に応募が殺到し、申し込みを1名義につき2戸までとする新たな制限を設けたことが大きな話題となりました。一方で、1億円以上の住戸も多数ある本物件に対し、なぜそこまで応募が殺到するのか疑問に感じた人も少なからずいるのではないでしょうか。
ウクライナ侵攻に伴う資材の高騰や円安が影響し、新築マンションの価格が高騰しているのは既知の事実ですが、「晴海フラッグ」は本当に割安なのか、実際に新築マンションの価格相場と比較して可視化しました。住宅市況の分析を行うLIFULL HOME'S総研チーフアナリストの中山登志朗の見解とあわせてまとめています。
新築マンション平均価格1位は「港区」の3.6億円、㎡単価は「千代田区」が最高額に。
東京23区の新築マンション平均価格の1位は「港区」の約3.6億円となり、続いて「千代田区」(約2.3億円)、「新宿区」(約2.1億円)となりました。
一方で、「港区」は平均専有面積が167.25㎡と他区に比べて広く、㎡単価では「千代田区」(267.0万円/㎡)が最も高くなりました。
また、㎡単価の前期比では「新宿区」(+55.2%)が最高の伸び率となりました。
都内23区の最低平均価格は「墨田区」の4,813万円
11位以降の区では新築マンション平均価格が1億円を下回り、最低額は「墨田区」の4,813万円、最も平均㎡単価が安いのは「足立区」(86.3万円/㎡)となりました。
東京23区全域の新築マンション平均価格は1億943万円、平均㎡単価は151.6万円となりました。また、㎡単価の対前期比が100%を超えたのは、23区のうち18区でした。
<LIFULL HOME'S総研 中山の考察>
資材価格&地価上昇に好調な株価もマンション価格の高騰要因に
この1年で、新築マンションの価格が高騰している要因は、主に①ウクライナ侵攻によるサプライチェーンの逼迫で資材価格が上昇していること ②円安の影響でコストプッシュの追い討ちが発生していること ③住宅ローン超低金利の継続で購入意欲には衰えがないこと(実需) ④株価の高騰によって多くの含み益を抱えた投資家が資産の付け替えに前向きであること(投資)、の4点が挙げられます。
したがって、新築マンション市場はコストプッシュ型の価格上昇をそのまま受益者負担として価格に転嫁できる好条件が揃っていることで、昨年下半期以降に顕在化した新築マンションの価格上昇が、現在でも継続する背景となっています。
特に東京都内では新築マンションの価格上昇が著しく、平均価格が1億円を突破というこれまでにない価格水準に達していることから、この時期でも住宅購入に前向きなユーザーは、予算内で購入可能かつ希望する条件に合う物件を探すため、日々精力的に情報収集を続けていますが、東京23区を対象とした価格ランキングを見る限り、上位の都心周辺エリアではいずれも平均価格が1億円を突破し、平均㎡単価が100万円を大きく上回る水準ですから、とても一般の給与所得者が購入可能な価格帯で販売されているとは言えません。この価格水準は、10年ほど前に遡れば高級マンションの目安とされた分譲坪単価350万円(=㎡単価換算約106万円)を東京23区のうち19区で上回っており、現在の価格水準および価格上昇がこれまでの市場価格とは大きく乖離している事実を示しています。
なお、これほど高額な新築マンションを誰が購入しているのかとのご質問をいただきますが、現状日本には資産総額1~5億円未満の富裕層と5億円以上の超富裕層が合計約150万人いるとされており、また海外からの購入意向も数多いので、この価格水準でも分譲物件が売れ残るといった事態は全く想定できない状況です。
また、郊外方面に目を転じると、安価に分譲されている物件も多く、この新築マンションの価格急騰は、東京都心部およびその周辺エリアでのみ顕著であることが明らかです。立地条件と物件価格との関係性をご自身の目でよく確認して、価格上昇の時期であるからこそ納得感の高い物件購入をしていただきたいと思います。
応募殺到の「晴海フラッグ」の平均㎡単価は「中央区」平均よりも40万円以上割安
ダイヤモンド不動産研究所によると(※1)「HARUMI FLAG SKY DUO(晴海フラッグ スカイ デュオ)」の販売価格は、下は5,600万円台から上は3億4,000万円台となっており、平均専有面積は約81.61㎡、平均㎡単価は約135.6万円となっています。
LIFULL HOME'Sに掲載されている「中央区」の新築マンションの平均㎡単価は「HARUMI FLAG SKY DUO」より41.9万円高い177.5万円(+30.9%)となっていることからも、晴海フラッグの価格設定は相場よりも割安だと言うことができます。
※1:【HARUMI FLAG SKY DUO(晴海フラッグ )】の価格・間取り大公開!1名義2戸の販売規制も(2023年5月更新)
https://diamond-fudosan.jp/articles/-/1110056
<LIFULL HOME'S総研 中山の考察>
「晴海フラッグ」はマンションが置かれた外部環境の変化を最も大きく受けた象徴的な物件である
ランキングの通り、2023年の都内新築マンション価格は上昇を続け、東京23区の平均価格は10,943万円(対前年同期8,994万円/+21.7%)、平均㎡単価は151.6万円(同136.2万円/+11.3%)となっています。
2019年7月から分譲を開始した「晴海フラッグ」は、選手村として建設されたことから今般の資材価格高騰の影響を受けておらず、また分譲地は都有地の払い下げであったため、多くの住民が安心して暮らせる住宅を提供するという趣旨で販売されており、上記の通り、現在の中央区平均価格および平均㎡単価と比較しても割安感があることが明らかです。
物件の立地条件や交通条件、グレードなどによっても物件価格は大きく違ってきますが、中央区の現在の平均値よりも約30%安価に分譲されていることは、今マンションを購入したいユーザーにとっては魅力的な条件ですから、転売目的の購入者も含めて購入申し込みが殺到したものと考えられます。分譲開始当初は戸数規模や交通条件についてネガティブな報道も散見された「晴海フラッグ」ですが、今般のマンション価格の急騰によって割安感が強調されたことで、一気に人気物件となりました。
まさに、コロナ禍やウクライナ侵攻、円安などマンションが置かれた外部環境の変化を最も強く受けた象徴的なマンションと言えるでしょう。
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LIFULL HOME'S総研 副所長/チーフアナリスト 中山登志朗(なかやまとしあき)
出版社を経て、1998年から不動産調査会社にて不動産マーケット分析、知見提供業務を担当。2014年9月にHOME'S総研副所長に就任。不動産市況分析の専門家としてテレビ、新聞、雑誌、ウェブサイトなどメディアへのコメント提供、寄稿、出演を行うほか、年間多数の不動産市況セミナーで講演。国土交通省、経済産業省、東京都ほかの審議会委員などを歴任。(一社)安心ストック住宅推進協会理事。
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調査概要
集計対象:東京23区で分譲された新築マンションを行政区単位で集計
集計期間:2022年1~5月および2023年1月~5月を比較し対前期比を算出
集計条件:専有面積30㎡未満の住戸および平均専有面積が30㎡未満の分譲期は除外
集計方法:各マンションにつき、分譲期ごとに最高価格/面積と最低価格/面積を抽出し平均値を算出
調査主体:LIFULL HOME’S総研
LIFULL HOME'S について(URL:https://www.homes.co.jp/)
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株式会社LIFULLについて (東証プライム:2120、URL:https://lifull.com/)
LIFULLは「あらゆるLIFEを、FULLに。」をコーポレートメッセージに掲げ、個人が抱える課題から、その先にある世の中の課題まで、安心と喜びをさまたげる社会課題を、事業を通して解決していくことを目指すソーシャルエンタープライズです。現在はグループとして世界63ヶ国でサービスを提供しており、不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME'S」、空き家の再生を軸とした「LIFULL 地方創生」、シニアの暮らしに寄り添う「LIFULL 介護」など、この世界の一人ひとりの暮らし・人生が安心と喜びで満たされる社会の実現を目指し、さまざまな領域に事業拡大しています。
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