新発光方式により世界最高レベルの青色有機EL性能を実現
~「Display Week 2022」最優秀論文に選定~
出光興産株式会社(本社:東京都千代田区、社長:木藤 俊一、以下「当社」)は、蛍光型青色材料を用いた有機EL素子において、新発光方式を開発し、世界最高レベルの発光効率と長寿命化に成功しました。また、本成果はディスプレイ関連の世界最大の学会であるSociety of Information Display主催のシンポジウム 「Display Week 2022」の最優秀論文※1に選定されました
1.成果の概要
有機ELディスプレイを構成する赤色、緑色、青色の画素に用いられる発光素子のうち、青色発光素子の更なる高性能化、長寿命化が課題となっています。本成果では、二つの青色材料の積層により、蛍光型素子※2の発光過程のうち電荷の再結合※3とTTF※4を起こす領域を分離することで発光ロスを抑え、高効率(EQE※5>14%)かつ長寿命の有機EL素子の開発及び実用化に成功しました。
従来技術対比の発光効率向上と長寿命化を同時に実現する本技術は、有機ELディスプレイの更なる省電力化、製品ライフサイクルの向上による環境負荷への低減に寄与します。
【性能概要】
方式 : 発光層積層を用いた青色蛍光有機EL素子
LT95※6 : 400時間以上(電流密度50 mA/cm2の駆動条件の結果)
EQE : 14% (電流密度10 mA/cm2の駆動条件の結果)
色度 : (0.14, 0.08)(CIE1931 色度座標)
2.「Display Week 2022」最優秀論文への選定
本成果は5月9日より米国サンノゼで開催された「Display Week 2022」において、有機EL技術部門の最優秀論文に選定されました。
当社は、今後も高性能有機EL材料の開発により、有機EL素子及びディスプレイのさらなる高性能化に貢献します。
※1 Distinguished Paper ”Realization of Ultra-High Efficient Fluorescent Blue OLED” (Satomi Tasaki, Kazuki Nishimura, Hiroaki Toyoshima, Tetsuya Masuda, Masato Nakamura, Yuki Nakano, Hiroaki Itoi, Emiko Kambe, Yuichiro Kawamura, Hitoshi Kuma) Journal of the Society for Information Display, Volume 30, Issue 5, pages:441-451 (2022) https://sid.onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1002/jsid.1127
※2 蛍光型素子:有機EL素子の方式の一つ。電気によって素子内の有機物が高エネルギー状態(励起子)になるが、そのうち一重項励起子を発光に利用する方式。
※3 電荷の再結合領域:陽極および陰極から注入された正孔と電子が出会い、有機物の高エネルギー状態を生成する領域。必然的に電荷密度が高くなるため励起子のクエンチ(失活現象)を生じやすい。
※4 TTF:Triplet-Triplet Fusion(三重項-三重項融合)の略。三重項励起子同士の衝突により一重項励起子が生成される過程。蛍光型素子で利用されない三重項励起子を発光に利用することで効率を向上させる。
※5 EQE:External Quantum Efficiency(外部量子効率)の略。素子に入った電気のうち、何%が光として素子外部に放出されたかを示す指標。大きいほど有機EL素子の発光効率が高い。
※6 LT95:初期の明るさが5%減少するまでの連続点灯時間
有機ELディスプレイを構成する赤色、緑色、青色の画素に用いられる発光素子のうち、青色発光素子の更なる高性能化、長寿命化が課題となっています。本成果では、二つの青色材料の積層により、蛍光型素子※2の発光過程のうち電荷の再結合※3とTTF※4を起こす領域を分離することで発光ロスを抑え、高効率(EQE※5>14%)かつ長寿命の有機EL素子の開発及び実用化に成功しました。
従来技術対比の発光効率向上と長寿命化を同時に実現する本技術は、有機ELディスプレイの更なる省電力化、製品ライフサイクルの向上による環境負荷への低減に寄与します。
【性能概要】
方式 : 発光層積層を用いた青色蛍光有機EL素子
LT95※6 : 400時間以上(電流密度50 mA/cm2の駆動条件の結果)
EQE : 14% (電流密度10 mA/cm2の駆動条件の結果)
色度 : (0.14, 0.08)(CIE1931 色度座標)
2.「Display Week 2022」最優秀論文への選定
本成果は5月9日より米国サンノゼで開催された「Display Week 2022」において、有機EL技術部門の最優秀論文に選定されました。
当社は、今後も高性能有機EL材料の開発により、有機EL素子及びディスプレイのさらなる高性能化に貢献します。
※1 Distinguished Paper ”Realization of Ultra-High Efficient Fluorescent Blue OLED” (Satomi Tasaki, Kazuki Nishimura, Hiroaki Toyoshima, Tetsuya Masuda, Masato Nakamura, Yuki Nakano, Hiroaki Itoi, Emiko Kambe, Yuichiro Kawamura, Hitoshi Kuma) Journal of the Society for Information Display, Volume 30, Issue 5, pages:441-451 (2022) https://sid.onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1002/jsid.1127
※2 蛍光型素子:有機EL素子の方式の一つ。電気によって素子内の有機物が高エネルギー状態(励起子)になるが、そのうち一重項励起子を発光に利用する方式。
※3 電荷の再結合領域:陽極および陰極から注入された正孔と電子が出会い、有機物の高エネルギー状態を生成する領域。必然的に電荷密度が高くなるため励起子のクエンチ(失活現象)を生じやすい。
※4 TTF:Triplet-Triplet Fusion(三重項-三重項融合)の略。三重項励起子同士の衝突により一重項励起子が生成される過程。蛍光型素子で利用されない三重項励起子を発光に利用することで効率を向上させる。
※5 EQE:External Quantum Efficiency(外部量子効率)の略。素子に入った電気のうち、何%が光として素子外部に放出されたかを示す指標。大きいほど有機EL素子の発光効率が高い。
※6 LT95:初期の明るさが5%減少するまでの連続点灯時間
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