米国で静脈用血管再生基材について臨床試験開始 単心室症などの希少疾患患者さまのQOL向上に貢献

グンゼ株式会社

グンゼ株式会社(本社:大阪市北区、社長:廣地 厚、以下グンゼ)は、Nationwide Children's Hospital(ネーションワイドチルドレンズホスピタル 所在地:米国オハイオ州コロンバス市、以下NCH)に提供している静脈用血管再生基材を使用した小児心臓血管手術の病院主導による治験試験に入ったことをお知らせします。

「静脈用血管再生基材」外観「静脈用血管再生基材」外観

1.背景
これまで、先天的な病気である「単心室症」の小児心臓手術については、非吸収性の人工血管を使用したバイパス手術が行われていました。この場合、生体部分は時間とともに成長しますが、非吸収性の人工血管は成長に付随しないため、数度にわたり人工血管を取り換える開胸手術を受けねばならず、患者さまへの負担がとても大きなものとなります。加えて、人工血管が詰まらないように血液をかたまりにくくする薬を飲む必要があり、その薬を飲んでいることで小さな子供さんが思う存分遊べない等、クオリティーオブライフ(QOL)に課題を残した治療法となっています。
この問題を解決するため、NCHの新岡俊治博士はクリストファーブリューワー博士と共にグンゼの吸収性医療機器製造技術を活用したTissue-Engineered Vascular Graft、以下TEVG(日本語訳:自己細胞を用いた再生血管)を開発しました。
しかし、単心室症は希少疾患であるため、商業ベースでの取り組みが難しいという課題がありました。グンゼは、CSV経営に向けたマテリアリティ(CSR重要課題)として「QOLの向上への貢献」を制定しており、「健康・福祉への貢献」を合言葉に市場性が見出し難い分野にも積極的に取り組んでいます。そして、今回病院との協議の上、病院主導の治験により実用化を進めることとしました。
なお、このTEVGは、2019年8月に米国 FDAによる治験承認を受けております。

2.静脈用血管再生基材とは
静脈用血管再生基材とは、当社の強みである「生体内吸収性材料」と「縫製技術」を、ハイブリッドに構成したものです。これに患者さまの骨髄から採取した細胞を転移させ、人工血管として形成します。そして、患者さまの心臓血管バイパスとして埋め込み、約6か月後にはこの血管再生基材が吸収され、患者さま自身の組織で血管として再生されます。
先行試験ではこの再生された血管は、患者さまの成長に追随することが確認されています。これにより、その後の手術の回避や日常生活の制約が少なくなり、患者さまのQOL向上につながります。 

3.今後の展開
今後は、米国での臨床試験で安全性・有効性の確立・確認を進めるとともに、販売体制の確立に努め、年間売上高4億円を目指します。また、当社の強みである「生体内吸収性材料」、「繊維・高分子加工技術」の特徴を活かし、生体が持つ能力を活かした医療機器、低侵襲治療(注1)に対応する医療機器、再生医療用基材など、QOL向上に資する製品の研究開発を進めていきます。
(注1)低侵襲治療とは、内視鏡やカテーテルなどで、できるだけ体に傷をつけずに患者の負担を減らす治療方法。

4.QOL研究所について
グンゼは人々のQOL向上に貢献する健康・医療関連分野の成長をビジョンに掲げ、その実現のため、2014年4月、創業の地である京都府綾部市にQOL研究所を設立しました。
当研究所では、グンゼ既存事業の健康・医療分野進出に向けて、それぞれの事業をQOLの観点から見つめ、製品・サービスの企画や技術支援を行っています。半月板再生基材等、吸収性材料の特徴を活かした医療機器の開発や、当社繊維技術を活用し、低刺激衣療(注2)の「メディキュア🄬」シリーズの開発をして参りました。
国産初の吸収性高分子縫合糸の開発に取り組んだDNAを継承し、健康・医療分野の現場で新たな道を切り開いてまいります。
(注2)「低刺激衣療」とは、肌トラブル等の患者のセルフケアを支援し、患者の悩みに寄り添う製品の当社造語です。

5.ネーションワイドチルドレンズホスピタル(以下、NCH)について
NCHは、最も複雑な疾患を治療するために設立された小児科医療センターです。NCHは、世界中の困難な疾病患者を治療しています。また、画期的な技術的進歩により世界中の子供たちを助けるための研究プログラムを構築し、次世代の医師、科学者、医療専門家を養成しています。
NCHのビジョンは、不変で、世界中の子供たちに最高の治療結果をもたらすことを目指しています。これは、患者さまの家族に最高のケアを受けられることを認知され、世界中からこの病院来院されることを意味しています。また、これはNCHが希少疾患を治療するためにすべての患者さまに手を差しのべることを意味しています。また、NCHは、患者さまの肉体的健康だけでなく、精神的健康を通して、すべての人をより健康にするよう努力することを意味しています。
NCHは、コミュニティの社会的平等の構築に投資すべく、寄付金等による資金調達モデルを開発し、子供たちに最良のサービスを提供しています。

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会社概要

グンゼ株式会社

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URL
https://www.gunze.co.jp/
業種
製造業
本社所在地
大阪府大阪市北区梅田2丁目5-25 ハービスOSAKAオフィスタワー22階
電話番号
06-6348-1314
代表者名
佐口 敏康
上場
東証1部
資本金
260億7100万円
設立
1896年08月