全国の乳幼児を対象に大規模調査を実施。食事と体質・体調の関連性を明らかに
野菜の摂取が乳幼児の健康状態や認知発達と関連。12月6日(火)~11日(日)開催の国際栄養学会議で発表
キユーピー株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役 社長執行役員:髙宮 満、以下キユーピー)は、国立大学法人京都大学(総長:湊 長博)の明和 政子教授、国立大学法人大阪大学(総長:西尾 章治郎)の萩原 圭祐特任教授、株式会社サイキンソー(代表取締役:沢井 悠)らと共同で、「“母子まるごと”育児サポート」をテーマに、2020年から研究に取り組んでいます。この度、全国103カ所の保育園・幼稚園・こども園に通う乳児・幼児1,366名を対象に、食事と体質・体調の関連性を明らかにする、約2年に及ぶ大規模調査を実施しました。その結果、野菜の摂取が乳児・幼児の健康維持や認知発達と深く関連することが分かりました。この調査結果について、2022年12月6日(火)~11日(日)に開催中の「第22回国際栄養学会議※1」にてポスター発表を行いました。
※1 「第22回国際栄養学会議」 https://icn22.org/#attention
※1 「第22回国際栄養学会議」 https://icn22.org/#attention
対象は全国0歳~4歳の乳幼児1,366名。2種の調査票で紐解く食事と健康状態
乳幼児期の食事は、その後の食習慣や嗜好に大きく影響を与えると言われていますが、これまで食事の内容と健康状態を紐づける科学的エビデンスはありませんでした。そこで、全国103カ所の保育園・幼稚園・こども園に協力を仰ぎ、0歳~4歳の乳児と幼児、計1,366名(全て日本人)を対象にアンケート調査を実施しました(2020年から約2年間)。調査票は次の2種類で、それぞれについて回答を得ました。① 健康・体調面、食習慣、生活習慣に関する調査票(風邪のひきやすさ、便秘、アトピー性皮膚炎・食物アレルギー・喘息の発症有無、排便習慣、睡眠リズムなど)、②認知発達に関する調査票。
「風邪」「発熱」「排便頻度」「認知発達」、すべてに関係するのが「野菜」
調査結果を解析したところ、前述の①と②、それぞれについて、顕著な結果が得られました。まず、①の健康・体調面について、「風邪をひきやすい」(24%)、「発熱しやすい」(13%)と回答した乳幼児は、そうでない乳幼児に比べて、淡色野菜やきのこ類の摂取が少ないことが分かりました(グラフ1参照)。また、「1カ月の排便頻度」について見ると、排便頻度の低い(週に3回以下)乳幼児は、野菜の摂取が少ないことがうかがえます(グラフ2参照)。続いて②の認知発達について、3歳~4歳時点(302名)で認知発達にリスクを抱えると評価された幼児(10%)は、リスクが小さいと評価された幼児に比べて、緑黄色野菜の摂取頻度が低い傾向が見られました(グラフ3参照)。以上のように、これら心身の健康に関わる結果は全て「野菜」の摂取との関連が見られるにも関わらず、食習慣の傾向として、離乳食が終わる頃(18~35カ月)から、野菜を摂取したがらない幼児が顕著に増加していることも分かりました(グラフ4参照)。
今回の大規模調査では、上述のアンケート調査のほかに、母子1,400組以上の採便を実施しています。採便の目的は、乳幼児とその母親双方の腸内細菌叢の可視化です。株式会社サイキンソーと京都大学が主体となり、母子の腸内細菌叢のデータベース構築を図りました。腸内細菌叢と心身の健康状態の関連が明らかになれば、ヘルスケアの分野でさまざまな可能性が切り開かれます。
キユーピーは、育児食のみならず、将来的には大人向けの商品開発にも生かせるよう、関係機関・企業と連携して、食事と健康状態・腸内細菌叢との関係について、さらなる研究を進めていきます。
最近、脳発達と同じく、腸にも感受性期があることが分かってきました。幼児期までに、その個人が生涯持つことになる腸内フローラの原型ができあがるのです。腸は「第二の脳」とも呼ばれており、脳から腸へ、腸から脳への情報伝達が双方向的に影響を及ぼし合います。つまり、乳幼児期の食習慣は、体の健康だけでなく、脳と心の健やかな発達にも大きく関わるのです。実際、日本人乳幼児にとって、野菜の摂取が認知発達と関連することも分かってきました。毎日の食卓に野菜を積極的に取り入れていただくことで、親子がともに健やかに成長していく歓びを存分に感じてほしい。私たちは、そのお手伝いをしたいと思っています。
乳幼児期の食事は、その後の食習慣や嗜好に大きく影響を与えると言われていますが、これまで食事の内容と健康状態を紐づける科学的エビデンスはありませんでした。そこで、全国103カ所の保育園・幼稚園・こども園に協力を仰ぎ、0歳~4歳の乳児と幼児、計1,366名(全て日本人)を対象にアンケート調査を実施しました(2020年から約2年間)。調査票は次の2種類で、それぞれについて回答を得ました。① 健康・体調面、食習慣、生活習慣に関する調査票(風邪のひきやすさ、便秘、アトピー性皮膚炎・食物アレルギー・喘息の発症有無、排便習慣、睡眠リズムなど)、②認知発達に関する調査票。
「風邪」「発熱」「排便頻度」「認知発達」、すべてに関係するのが「野菜」
調査結果を解析したところ、前述の①と②、それぞれについて、顕著な結果が得られました。まず、①の健康・体調面について、「風邪をひきやすい」(24%)、「発熱しやすい」(13%)と回答した乳幼児は、そうでない乳幼児に比べて、淡色野菜やきのこ類の摂取が少ないことが分かりました(グラフ1参照)。また、「1カ月の排便頻度」について見ると、排便頻度の低い(週に3回以下)乳幼児は、野菜の摂取が少ないことがうかがえます(グラフ2参照)。続いて②の認知発達について、3歳~4歳時点(302名)で認知発達にリスクを抱えると評価された幼児(10%)は、リスクが小さいと評価された幼児に比べて、緑黄色野菜の摂取頻度が低い傾向が見られました(グラフ3参照)。以上のように、これら心身の健康に関わる結果は全て「野菜」の摂取との関連が見られるにも関わらず、食習慣の傾向として、離乳食が終わる頃(18~35カ月)から、野菜を摂取したがらない幼児が顕著に増加していることも分かりました(グラフ4参照)。
腸内細菌叢のデータベース構築と調査データが、さまざまな可能性を生み出す
今回の大規模調査では、上述のアンケート調査のほかに、母子1,400組以上の採便を実施しています。採便の目的は、乳幼児とその母親双方の腸内細菌叢の可視化です。株式会社サイキンソーと京都大学が主体となり、母子の腸内細菌叢のデータベース構築を図りました。腸内細菌叢と心身の健康状態の関連が明らかになれば、ヘルスケアの分野でさまざまな可能性が切り開かれます。
キユーピーは、育児食のみならず、将来的には大人向けの商品開発にも生かせるよう、関係機関・企業と連携して、食事と健康状態・腸内細菌叢との関係について、さらなる研究を進めていきます。
- 共同研究者・明和 政子先生からメッセージ
ヒトの脳が発達する過程では、環境の影響をとくに受けやすい限定された時期、「感受性期」があります。そのもっとも重要な時期の一つが乳幼児期です。生涯持つことになる脳と心の土台は、この時期に受ける環境や経験によって形作られます。
最近、脳発達と同じく、腸にも感受性期があることが分かってきました。幼児期までに、その個人が生涯持つことになる腸内フローラの原型ができあがるのです。腸は「第二の脳」とも呼ばれており、脳から腸へ、腸から脳への情報伝達が双方向的に影響を及ぼし合います。つまり、乳幼児期の食習慣は、体の健康だけでなく、脳と心の健やかな発達にも大きく関わるのです。実際、日本人乳幼児にとって、野菜の摂取が認知発達と関連することも分かってきました。毎日の食卓に野菜を積極的に取り入れていただくことで、親子がともに健やかに成長していく歓びを存分に感じてほしい。私たちは、そのお手伝いをしたいと思っています。
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