「ろう学校の手話教育のあり方をめぐる一連の報道」2024年日本民間放送連盟賞 特別表彰部門「放送と公共性」優秀賞受賞
本日9月19日(木)発表の2024年日本民間放送連盟賞で、HTB北海道テレビがエントリーした「ろう学校の手話教育のあり方をめぐる一連の報道」が特別表彰部門「放送と公共性」優秀賞を受賞しました。
「放送と公共性」は、放送の公共性を強く意識しながら民放各社で取り組んでいる企画や開発の事績に対して贈られます。HTBの同賞受賞は、最優秀賞を受賞した「市民たちを動かした『政務調査費報道』」(2008年)、優秀賞を受賞した「詐欺撲滅キャンペーン『今そこにある詐欺』(2014年)」「シリーズ『老いるショック』」(2016年)、「ピンクリボン活動の18年」」(2021年)に次いで5回目となります。
今回優秀賞を受賞した取り組みは、札幌聾学校に通う児童2人が「日本手話」で授業を受けられず、教育を受ける権利を侵害されたと訴えた裁判がきっかけでした。日本手話とは、日本語とは異なる独自の文法があり、手や顔の表情、空間も使って表現する言語です。しかし国内では、日本語の語順に沿って表現する「日本語対応手話」が広く使われています。札幌聾学校では2007年に日本手話での授業が始まりましたが、原告らは年々日本手話ができる教師が減り、ついには日本手話で授業を受けられなくなったと訴えています。
HTBでは、この裁判のニュースを継続して放送してきたほか、ドキュメンタリー番組「テレメンタリー2024 世界一きれいな言葉」を制作。リモコンのボタンを押さなくても字幕が表示される「オープンキャプション」や、日本手話の通訳を付けたドキュメンタリー番組は、HTBとしても初めての試みとなりました。また、番組で取り上げたろう者を招いたトークイベントを開催するなど、手話への理解を広げるための活動を続けています。
講評では、「日本手話と日本語対応手話の違いや歴史的背景を分かりやすく解説し、手話は日本語とは異なる1つの言語であるという正しい理解を広げることに尽力するとともに、日本手話による学びの機会が失われつつある問題を追い続けている。報道にあたり、オープンキャプション字幕や番組のほぼ全編にろう者による日本手話通訳をつけるなど、ろう者にも伝わる放送に精力的に取り組んでいる。2つの手話の違いが一般的に認識されていないなか、本当にコミュニケーションが取れているということはどういうことなのか、との問題提起をした意義は大きい」と高い評価を受けました。
当時、報道部の記者としてこの活動を担ってきた喜多和也ディレクター(現・社会情報部)は「日本手話と日本語対応手話をめぐっては様々な議論がありますが、『手話は1つの言語』だということを大切にして、かつて手話がないがしろにされてきた歴史なども含めて丁寧な報道を心がけてきました。番組制作においても聴者だけで議論するのではなく、ろう者の意見を積極的に取り入れ、伝え方に工夫を凝らしました。まだまだ課題が多い問題ですが、誰もが自分の言語に誇りを持てる社会になるように今後も取り組みを進めていきます。」とコメントしています。
【イベント】
毎年9月23日は「手話言語の国際デー」です。それに先立ち、HTBでは、9月21日(土)午前10時から『HTB秋の大感謝祭』内のイベント企画として「~手話でつながる~身近なことから宇宙のことまで知ろう、触れよう、手話に。」を開催いたします。北海道美瑛町在住で27の資格を持つろう者・春日晴樹さんのトークショーや簡単な手話に挑戦する企画などを実施予定です。
◆イベント:~手話でつながる~ 身近なことから宇宙のことまで知ろう、触れよう、手話に。
◆日 時:2024年9月21日(土)午前10時~11時
◆場 所:さっぽろ創世スクエア 札幌市民交流プラザ2F SCARTSスタジオ
(札幌市中央区北1条西1丁目6)
◆出 演:春日晴樹さん、森さやかアナウンサー
※手話通訳あり
※観覧無料
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