表情の動きに伴うシワの変化を定量化する評価法を開発 表情によって一時的に生じるシワが加齢に伴い消えにくくなることを確認

ポーラ

ポーラ・オルビスグループの研究・開発・生産を担うポーラ化成工業株式会社(本社:神奈川県横浜市、社長:釘丸和也)は、表情の動きに伴うシワの変化を定量化する評価法を開発しました。本評価法にて、表情によって一時的に生じるシワが加齢に伴い消えにくくなることが分かりました※1。本技術は今後、ポーラ・オルビスグループの商品・サービスに活用されます。
※1 シワが消えるとは、表情表出中に生じる一時的なシワが表情表出後に表情表出前のシワのない状態に戻ることを示す
  • 表情の動きに伴うシワの変化に着目
ポーラ化成工業では、シワと表情圧の関係について研究してきました。表情圧とは、表情による筋肉の動きに伴い皮膚が動いて圧縮される部位に発生する力のことです。皮膚が圧縮されると好中球が集まり内部構造を破壊することで、シワの形成が促進されることが分かっています※2。表情圧を受ける部位には一時的なシワが生じ、表情を繰り返すことでやがて定着すると考えられています。そこで、表情の動きに伴うシワの変化に着目しました。「一時的なシワ」は、表情圧の影響やシワ定着の進行を反映していると考えられるため、定量的に評価できればシワの定着しやすさの推定などに役立ちます。
※2 「表情によりシワができる全行程を解明」(2019年10月4日)
http://www.pola-rm.co.jp/pdf/release_20191004_2.pdf
 
  • シワを定量化する動的評価法を構築
評価には動画を用い、ヒトの動きの補正法やシワの検出法を工夫することで、これまでできなかったシワの動的評価法を確立しました。無表情と表情を繰り返した動画から、シワの深さ・幅をシワスコアとして経時的に定量化しました(補足資料1)。表情の動きに伴うシワスコアの変化を調べたところ、表情表出後に減衰が認められました(図1)。減衰の速さには個人差があることも分かったため、さらなる分析を行いました。

 

  • シワの消えやすさは年齢、皮膚弾性と相関
シワスコアの減衰の速さ、つまり表情によって一時的に生じるシワの「消えやすさ」を、シワ回復係数として算出しました(補足資料2)。シワ回復係数と年齢との関係を調べたところ、シワは加齢に伴い消えにくくなるという一般的な実感と一致した結果を確認しました(図2)。一方で、同年代の間でも、シワが消えやすい人・消えにくい人がいることも分かりました(補足資料3)。
さらにシワ回復係数の分析を進めると、皮膚の物性の特徴を表す皮膚弾性と相関があることも分かりました。皮膚弾性は、加えている圧力を除いた際に皮膚が元に戻ろうとする性質を示します(補足資料4)。このことから、シワの消える様子から皮膚の物性を推測できる可能性があることが示唆されました。

本評価法は、表情の動きに伴うシワの変化を定量的に捉えることを可能にし、シワの定着しやすさの推定や新たなシワ改善アプローチへの活用につながることが期待されます。今後もポーラ化成工業では、シワ研究のパイオニアとして様々な角度から研究を続けていきます。

 

  • 【補足資料1】 シワを定量化する動的評価法
被験者に無表情と表情(大きな笑顔)を7回繰り返してもらい、その様子を動画で撮影しました。動画から顔のシワを自動的に検出・追跡して、シワ部位の形態情報と画素情報から算出したシワの深さ・幅をシワスコアとして経時的に定量化するアルゴリズムを独自に構築しました。
 
  • 【補足資料2】 シワ回復係数
表情表出終了時点のシワスコアを1、表情表出前のシワのない状態のシワスコアを0として、シワスコアの減衰の速さをシワ回復係数として算出しました。シワが速く消えるときシワスコアの減衰も速くなり、シワ回復係数は大きくなります(図3青線)。一方で、シワが遅く消えるときシワスコアの減衰も遅くなり、シワ回復係数は小さくなります(図3赤線)。このことから、シワ回復係数は表情によって一時的に生じるシワの消えやすさを示しています。

  • 【補足資料3】 シワ回復係数と年齢との関係
49名の被験者を対象に、シワ回復係数と年齢との関係を調べた結果、加齢に伴いシワ回復係数が小さくなったことから、加齢に伴いシワが消えにくくなる傾向が認められました。また、同年代の間にも差があり、若齢でもバラつきがあることも分かりました(図4)。このことは、若い人の中にも、表情によって一時的に生じるシワが消えにくいタイプがいることを意味します。

  • 【補足資料4】 シワ回復係数と皮膚弾性との関係
皮膚弾性は、加えていた圧力を取り除いた際に皮膚が元に戻ろうとする性質を示しており、皮膚弾性が大きいほど瞬時的に元に戻りやすいことを意味します。皮膚弾性とシワ回復係数との関係を調べた※3結果、比例関係にあることが分かりました(図5)。これより、皮膚弾性が大きいほどシワは消えやすい可能性があることが示唆されました。
※3 年齢の影響による見かけ上の相関を​排除して分析した

 

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会社概要

株式会社ポーラ

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URL
https://www.pola.co.jp/
業種
製造業
本社所在地
東京都品川区西五反田2-2-3
電話番号
03-3494-7111
代表者名
及川美紀
上場
東証1部
資本金
1億1000万円
設立
1946年07月