【10/16 世界食料デー】同じ食料を買うのに必要な労働時間は「1時間」と「30日」――ワールド・ビジョン、世界62カ国の調査で見えた食料格差

特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパン

農園で収穫した野菜を持つマラウイの子どもたち

世界では約3人に1人が、健康的な食事を経済的にまかなえない状況にあります。


世界の子どもを支援する国際NGOワールド・ビジョンは、2021年から毎年、食料価格に関する調査を実施しています。第5回となる今回の「食料バスケット調査」では、世界62カ国を対象に、栄養のある食料を標準的にそろえるにはいくらかかるのか、またそれを買うために何時間働く必要があるのかを調べました。

その結果、必要な食料を手に入れられるかどうかは、依然として世界の不平等を映し出しており、国や地域によって大きな格差があることが明らかになりました。アイルランド、米国、英国など一部の先進国では、食料バスケットを買うために必要な労働時間は1時間強。一方、中央アフリカ共和国では、約30日分の収入が必要でした。(※)

調査からは、食料価格の高騰が子どもたちの健康や学び、将来の可能性に及ぼす影響も浮かび上がりました。報告書全体(英語)は、こちらからダウンロードできます。 

※各国の食料バスケットの価格を購買力平価(PPP)で調整し、1人当たりの国民総所得(GNI)と比較して、基本的な食料を購入するために必要な労働時間を算出。分析は、食料バスケットの価格データとGNIデータの両方がそろった56カ国を対象に実施。

「食べられるか」は、子どもの未来にもつながる

「バスケット調査」で対象としたのは、バナナ1㎏、白米1㎏、小麦粉1㎏、粗糖1㎏、トウモロコシ1㎏、卵12個、調理用油1ℓ、鶏肉1羽分、トマト1㎏、牛乳1ℓの10品目です。

こうした標準的な食品を含む、健康的な食事は、世界中で約3人に1人にとって依然として手の届かないものであり、アフリカでは、 2025年には人口の66.6%が健康的な食事を購入できませんでした。

2025年、世界で3,550万人の子どもが急性栄養不良に陥り、そのうち約1,000万人が重度の急性栄養不良だったとされています。

食料価格の高騰によって影響を受けるのは、統計上の数字だけではありません。家計に余裕がなくなれば、食事の量を減らしたり、栄養価の低い食品を選ばざるを得なくなったりすることがあります。さらに医療や教育などへの支出を削ることにもつながりかねません。

飢えは単なる食料安全保障の危機ではありません。子どもの健康、発達、教育、保護、そして将来の機会にも影響を及ぼします。

食料へのアクセスは、子どもの権利の問題であり、人間の尊厳に関わる問題なのです。

コンゴ民主共和国で、WFP(世界食糧計画)が提供する主食と豆のスープに、ワールド・ビジョンが提供する燻製魚を組み合わせた給食を食べる子どもたち

「油と塩だけでご飯を食べる日も」――世界各国からの声

レバノンでは、経済危機や紛争が続き、人々の暮らしは厳しい状況にあります。

3人の子どもを育てる公立学校の教師ラナさんは、食料品の値上がりによって、家族の食生活も変わったと言います。

「以前は週に少なくとも2回は肉を買っていましたが、今は月に1回です。果物は、私たちにとって贅沢品になってしまいました」

ラナさんの家族が抱える経済的な負担は、食費だけにとどまりません。食事を優先せざるを得ず、家の修理など、ほかに必要なことは後回しになっています。自宅の壊れた窓も、まだ修理できずにいます。子どもたちに食事を食べさせることを何より優先しているからです。 

自宅のキッチンで家族のための食事を用意するラナさん

一方、ミャンマーでは2025年、人口の3分の1近くにあたる1,670万人が食料不安に直面しています。2021年の政変以降の混乱に苦しむ人々は、2025年の大地震や2026年の洪水によって、さらに厳しい状況に追い込まれています。

45歳の母親、キンさんは、他の家庭のアイロンがけや洗濯をして生計を立てています。夫は体調不良のため働くことができません。8人の子どもを含む家族は、何を食べられるかという厳しい選択を毎日迫られています。

「子どもたちが、油と塩だけでご飯を食べる日もあります。たまにではなく、日常的なことになってしまいました」

キンさんが望んでいるのはささやかなものです。もう一度、きちんと食事をつくり、家族みんなで食卓を囲むことです。

きちんとした食事を家族で囲むことを願うキンさん(右)

同じような状況は、世界各地で起きています。こうした状況に対し、ワールド・ビジョンは緊急のニーズに対応しつつ、家族が長期的な回復力(レジリエンス)を築けるよう支援を行っています。

食料価格の高騰を家庭だけの問題にしないために

今回の調査で、食料バスケットの価格が1週間分の労働コストを上回った国は11カ国にのぼりました。

中央アフリカ共和国、スーダン、マラウイ、コンゴ民主共和国、モザンビーク、チャド、ソマリア、ミャンマー、ハイチ、ザンビア、ウガンダです。こうした国の多くで、紛争や避難、経済危機、気候変動などが重なり、人々の暮らしや市場、食料供給にも影響を及ぼしています。

各国で同じような食料バスケットを購入する時に労働時間・日数(報告書よりワールド・ビジョン・ジャパン作成) ※8時間労働を一日として換算

ワールド・ビジョン・インターナショナルの食料・現金・市場担当シニアディレクター、ポール・キヌシアは次のように述べています。

「本報告書で指摘されている食料価格の格差は、人道支援だけでは解消できません。社会保障制度の強化、強靭な食料システムへの投資、そして飢餓と栄養失調の根本原因となっている脆弱性への対処には、援助国、各国政府、企業、国際機関が協力して取り組む必要があります」

ワールド・ビジョンのとりくみと提言

レバノンのコミュニティ・キッチンで、提供された食事を食べる子どもたち

ワールド・ビジョンは、世界で最も脆弱な状況に置かれた子どもたちとその家族に対し、緊急支援から長期的な生活再建まで、食料不安への対応を続けています。

2025年には、食料支援プログラムを通じて世界で約1,000万人に支援を届け、その約60%は子どもたちでした。60万人以上の子どもたちへの学校給食プログラムによる支援を行い、子どもたちが栄養価の高い食事を摂りながら学習を続けられるよう支援しています。 

より広範な人道支援活動全体では、ワールド・ビジョンは70カ国で3,560万人以上に支援を届け、緊急食料、医療、安全な水、衛生設備・衛生環境の整備、そして子どもの保護などの支援を行っています。

さらに、食料危機の根本的な解決に向け、以下のような提言を行っています。

1. 危機に際しても、子どもの十分な食料への権利を守る 

2. 不平等を助長し、健康的な食料へのアクセスを妨げる不公正な経済構造を是正する

3. 将来の危機に備え、強靱な食料システムと生計基盤を構築する

4. 食料価格高騰による広範な影響から子どもたちを守るため、地域の食料システムを強化する 

5. 企業に子どもたちの十分な食料への権利を尊重することを求める 

6. 飢餓の解消に向けた連携と説明責任を強化する

<国際NGOワールド・ビジョン・ジャパン>

キリスト教精神に基づき、貧困や紛争、自然災害等により困難な状況で生きる子どもたちのために活動する国際NGO。国連経済社会理事会に公認・登録された、約100カ国で活動するワールド・ビジョンの日本事務所です。

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会社概要

URL
http://www.worldvision.jp/
業種
財団法人・社団法人・宗教法人
本社所在地
東京都中野区本町1-32-2 ハーモニータワー3F
電話番号
03-5334-5350
代表者名
片山信彦
上場
未上場
資本金
-
設立
1987年10月