シートマスクに含ませた美容液をより多く肌に届ける技術 液と肌の「界面自由エネルギー」に着目
ポーラ・オルビスグループの研究・開発・生産を担うポーラ化成工業株式会社(本社:神奈川県横浜市、社長:釘丸和也)は、「シートマスクに含ませる美容液」に着目した研究を行い、より多くのうるおいを肌に浸透させる技術を開発しました。本技術を用いることで、高い満足感が得られるシートマスクの実現が期待できます。
- シートマスク剤型に求められること
これまでのシートマスクにおける技術開発は、主にシートの材質や形状の改良による液の含浸量や肌への密着性の改善が盛んに行われてきました。しかし、シートに含ませる液の性能も、シートマスクの機能を高める上で欠かすことのできない要素です。そこでポーラ化成工業では、「シートに含ませる美容液」に着目し、その機能性を高めることでよりお客様に満足いただける製剤に仕上げたいと考えました。
- 界面自由エネルギーを小さくすることでより多くの美容液を肌に移行させることに成功
シートマスクの美容液と肌の界面自由エネルギーを小さくすることのできる素材を探索した結果、あるアミノ酸系成分が有効であることを見出しました。この成分は、肌にシートを乗せると速やかに肌と液の境界に並び、界面自由エネルギーを低下させます。その結果、短時間でも効率的に肌に液が移行すると考えられます(図1)。
- 角層水分量の増加率が2倍以上にアップ
次に、このアミノ酸系成分をシートマスクの美容液に配合することにより、角層への浸透量が増加するかを確かめました。実際の肌で実験した結果、この成分を配合した場合は、角層水分量の増加率が2倍以上に増加することを確認できました(図2)。界面自由エネルギーを小さくすることによりシートから肌への液の移行が促進され、角層への浸透も促進されたと考えられます。
これにより、これまでシートマスクの浸透性を高める主な手段であった液量・密着性に加えて、シートに含ませる液自体の性質を変化させることで、さらに機能を向上させることができることが確認できました。
ポーラ化成工業では今後もお客様が求める多様なニーズに応えられる技術を創出していきます。
- 【補足資料1】 「なじみ」に関係する「界面自由エネルギー」
固体表面に対する液体のなじみやすさ(濡れ性)には、「界面自由エネルギー」が深く関係しています。液体と固体の間の界面自由エネルギーが大きいと、液滴は固体と触れる面積を小さくするため小さく丸まろうとします。逆に、界面自由エネルギーが小さければ、固体表面に広がりやすいことが知られています。
実際に、人工皮革に異なる2種類の液体を同じ量垂らし、その時の広がり方を観察すると、界面自由エネルギーの大きい純水※1は丸く狭い範囲に留まっていますが、アミノ酸系成分を溶かし界面自由エネルギーを小さくした水溶液は、人工皮革の表面にうすく広がっていき、なじみやすいことが分かります(図3)。
※1 不純物を除去した純粋な水
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