【医療機関・介護施設に聞いた看護師の働き方に関する調査2025】8割の事業者が看護師不足を実感。賃上げは7割、働き方改革・定着促進に向けた取り組みは半数が実施も、退職者は増加傾向

~事業者が把握する退職理由は「健康上の理由」が最多、看護師の調査では「上司との関係に不満」と乖離あり~

株式会社エス・エム・エス

株式会社エス・エム・エス(本社:東京都港区、代表取締役社長:後藤夏樹、東証プライム、以下「当社」)は、看護師向け人材紹介「ナース専科 転職」(URL:https://www.nursejinzaibank.com/)、看護師・看護学生向けコミュニティ「ナース専科」(URL:https://media.nurse-senka.jp/)を提供しています。この度、全国の病院・クリニック・訪問看護ステーション・介護施設をはじめとした看護師の職場である事業者に所属する542名の人事担当者を対象に、看護師の採用と定着をテーマとした「看護師の働き方に関する意識調査」を実施しました。当社では看護師を対象にした調査を過去4回行っていますが、事業者を対象とした調査は今回が初となります。

【主な調査結果】

1.看護師の過不足状況については78.4%の事業者が不足感を感じている

施設形態別では訪問看護ステーションや病院での不足感が強い。

2.超過勤務時間平均は「1時間以上5時間未満(36.9%)」が最多

施設形態別では、介護施設の超過勤務時間は少なく、病院の超過勤務時間は多い傾向となった。訪問看護ステーションについては事業者ごとにバラつきがあった。

3.看護助手・介護助手については、配置が必要なものの配置できていない層が17.9%

「ある程度配置できている(41.7%)」が最多ではあるものの、「十分に配置できている(8.7%)」は少数派であり、配置の必要性を感じている事業者が多い様子が伺える。

4.2024年度の賃上げについては67.2%が実施

2024年度の診療報酬改定・介護報酬改定による売り上げへの影響は「変わらない(39.9%)」、「マイナスになった(28.0%)」と苦しい状況であるものの賃上げの実施率は高かった様子が伺える。

5.2024年度の基本給の賃上げについては「1%以上1.5%未満(24.3%)」が最多

施設形態別では訪問看護ステーション、クリニックは賃上げ傾向、病院は「わからない」という回答が多い結果となった。

6.看護師の採用活動を成功させるために取り組んでいることの上位は「応募条件の緩和・採用条件の拡大(31.9%)」、「応募条件・採用条件の明確化(31.2%)」、「労働条件の見直し(賃金の引き上げ・年間休日数の改善など)(26.8%)」

採用条件の緩和や労働条件の見直しなど、求職者がより応募しやすいように取り組んでいる努力が見える。看護師の採用状況は、「採用できている」が56.8%、「採用できていない」は42.1%となった。

7.採用活動の課題は「採用にかかる費用が増加している(52.8%)」、「採用活動に対して十分な時間を割けていない(27.3%)」が上位

求人票については「他法人との差別化や、自法人の優位性や特徴がうまく盛り込めていない(31.0%)」が最多という結果となり、自法人の魅力の表現に悩む様子が垣間見える。

8.1年前と比較した看護師退職者の増減は「増加した(32.6%)」が「減少した(21.6%)」を上回る結果

退職者は増加傾向にある様子が伺える。

9.直近1年で生じた看護師の退職理由は「健康上の理由(38.6%)」が最多

次いで「定年退職(25.5%)」、「同僚との関係に不満がある(25.3%)」が上位となった。看護師への調査の結果では「上司との関係に不満がある(31.5%)」、「勤務時間が長い・残業が多い(26.0%)」、「昇進・昇給・給与など処遇面に不満がある(18.0%)」が上位となり、「健康上の理由(13.3%)」の割合は低い(※1)。大きく乖離があり、本当の退職理由を把握する難しさが垣間見える。

10.働き方改革・定着促進に向けた取り組みは半数が実施

働き方改革・定着促進に向けた取り組み内容は「十分な看護師人数の配置(55.7%)」「有給休暇の取得率向上(53.1%)」「残業時間の削減(51.8%)」が上位となった。

11.取り入れている相談体制・サポートは「(内部)ハラスメントについての相談窓口(57.7%)」が最多

今後取り入れたいサポートは「(内部)キャリアに関する相談窓口(23.2%)」が最多となった。看護師への調査結果では職場で受けたいサポートは「(外部)ハラスメントに関する相談窓口(31.5%)」が最多であり(※2)、上位4位まで全て外部の相談窓口を希望しているため、看護師の希望と事業者側の対策に違いが見られた。

12.看護師の教育・研修について課題を感じている事業者は85.1%、訪問看護ステーションは9割超

「現場の仕事が忙しくて教育・研修に参加させにくい(43.4%)」、「教育・研修担当者が十分な時間を割けていない(43.0%)」など、時間的な問題が浮き彫りになった。

【総括】

当社は看護師の働き方に関する意識調査を毎年行っており、経年変化なども確認できるようになってきました。看護師に加え、事業者の現状も調査し、働き方に対する考え方の違いや認識の差を可視化することで、職場環境の改善や看護師の採用と定着に繋がるのではないかと考えています。

調査の結果、78.4%の事業者が看護師不足を感じており、施設形態別では特に訪問看護ステーションや病院での不足感が強いことがわかりました。在宅医療需要の増加に伴い訪問看護ステーションの重要性が増していますが、人材のシフトはまだ十分でないことが伺えます。また、クリニックは夜間の勤務がなくオンコール対応がないことから日勤帯の勤務を希望する層に好まれやすい傾向(※3)があるため採用がしやすく、不足感がやや少ないのではないかと推測します。超過勤務時間の平均は「1時間以上5時間未満」が最多となりました。施設形態別では、病院は残業時間が多い傾向にあり、訪問看護ステーションでは、超過勤務時間の多い事業者と少ない事業者に分かれました。看護師不足を感じている訪問看護ステーションの中にも超過勤務の少ない事業者は存在しており、人材の不足感が必ずしも超過勤務の増加には当てはまらないことが伺えます。看護助手・介護助手については、配置が必要だが配置できていないと回答した割合が17.9%、十分に配置できている事業者は8.7%であり、看護師が業務に専念できる環境を実現するうえで重要な人材の配置が十分ではない事業者が多い様子も伺えました。

採用活動の重要な要素となる給与については67.2%の事業者が2024年度に賃上げを実施したと回答しました。2024年度には診療報酬および介護報酬の改定がありましたが、売り上げへの影響は「変わらない」、「マイナスになった」が半数以上を占める苦しい状況であるものの、賃上げの実施率は高いことがわかりました。2024年度の診療報酬改定で看護師のベースアップ評価料が新設されたことが影響していると考えられます。また、物価高騰の影響なども受け、給与水準を上げざるを得ない状況も垣間見えます。人材不足の中、看護師の採用に関して、各事業者は「応募条件の緩和・採用条件の拡大」、「応募条件・採用条件の明確化」、「労働条件の見直し」といった、条件の緩和や見直しなど、求職者が応募しやすいように工夫していることがわかりました。しかし、採用活動にかかる費用や時間の課題も大きく、また、3割程度の事業者は求人票作成において他法人との差別化や、自法人の優位性や特徴がうまく盛り込めていないといった課題を抱えていることもわかりました。

定着に関する項目では、看護師の退職者数が増加傾向にあることがわかりました。事業者が把握している看護師の退職理由は「健康上の理由」が最多であり「定年退職」、「同僚との関係に不満がある」が上位となりました。しかし、当社が行った看護師への調査(※4)では、「上司との関係に不満がある」、「勤務時間が長い・残業が多い」、「昇進・昇給・給与など処遇面に不満がある」が上位となっており、「健康上の理由」の割合は低い結果となっています。退職理由に大きく乖離があり、本当の退職理由を把握する難しさが垣間見えます。

働き方改革・定着促進に向けた取り組みは事業者の半数が実施していることがわかりました。実施している取り組みとしては「十分な看護師人数の配置」が最多であり、まずは人材を確保することで一人ひとりの負荷を下げるという狙いが感じられます。有給の取得や残業時間の削減についても半数以上が取り組んでおり、看護師のワークライフバランスの改善に力を入れている様子も見えました。取り入れている相談体制・サポートは「(内部)ハラスメントについての相談窓口」が最多となっています。なお、看護師への調査でも同様に必要としているサポート体制を調査したところ、看護師の希望は外部のハラスメントについての相談窓口であり、事業者の意識と違いがありました。そのほか、看護師の教育・研修について課題の調査も行いましたが、「現場の仕事が忙しくて教育・研修に参加させにくい」、「教育・研修担当者が十分な時間を割けていない」など、時間的な問題が浮き彫りになっています。

看護師の職場環境の改善には、まず事業者ごとの看護師の絶対数を増やす必要があり、事業者もその認識で給与の向上や条件緩和による採用の強化、有給取得や残業削減などの定着促進を並行して行っています。しかし、退職理由の認識における乖離など、事業者と看護師の間に認識の差が存在しています。そのため、まずは看護師の声に耳を傾けながら、事業所が採用や定着に向けて取り組んでいることを説明し、相互理解を深めることで認識の差を埋めていく必要があると考えられます。

【調査結果詳細】 

1.看護師の過不足状況については78.4%の事業者が不足感を感じている

Q.看護師の過不足状況について教えてください。(n=542)

2.超過勤務時間平均は「1時間以上5時間未満(36.9%)」が最多

Q.看護師の月平均超過勤務時間について教えてください。(n=542)

3.看護助手・介護助手については、配置が必要なものの配置できていない層が17.9%

Q.看護助手・介護助手の配置について教えてください。(n=542)

4.2024年度の賃上げについては67.2%が実施

Q.診療報酬改定・介護報酬改定による2024年度の看護師等の基本給または手当の引き上げ(定期昇給を除く賃上げ)について教えてください。(n=542)

Q.2024年度の診療報酬改定・介護報酬改定による売り上げへの影響について教えてください。(n=542)

5.2024年度の基本給の賃上げについては「1%以上1.5%未満(24.3%)」が最多

Q.(基本給を引き上げた事業者への調査)診療報酬改定・介護報酬改定による2024年度の看護師等の賃上げ率(基本給のみ)はどの程度か教えてください。(n=169)

6.看護師の採用活動を成功させるために取り組んでいることの上位は「応募条件の緩和・採用条件の拡大(31.9%)」、「応募条件・採用条件の明確化(31.2%)」、「労働条件の見直し(賃金の引き上げ・年間休日数の改善など)(26.8%)」

Q.看護師の採用活動を成功させるために取り組んでいることを教えてください。当てはまるものをすべて選んでください。(複数選択可)(n=542)

Q.看護師の採用状況について教えてください。(n=542)

7.採用活動の課題は「採用にかかる費用が増加している(52.8%)」、「採用活動に対して十分な時間を割けていない(27.3%)」が上位

Q.看護師の採用活動の課題・お困りごとについて教えてください。当てはまるものをすべて選んでください。(複数選択可)(n=542)

Q.看護師の採用活動における求人票作成の課題・お困りごとについて教えてください。当てはまるものをすべて選んでください。(複数選択可)(n=542)

8.1年前と比較した看護師退職者の増減は「増加した(32.6%)」が「減少した(21.6%)」を上回る結果

Q.1年前と比較した看護師の総退職者数の増減状況について教えてください。(n=542)

9.直近1年で生じた看護師の退職理由は「健康上の理由(38.6%)」が最多

Q.直近1年で生じた看護師の退職理由について、当てはまるものをすべて選んでください(複数選択可)(n=542)

10.働き方改革・定着促進に向けた取り組みは半数が実施

Q.看護師の働き方改革の実現や定着促進にむけての取り組み状況について教えてください。(n=542)

Q.看護師の働き方改革の実現や定着促進にむけて取り組んでいることを教えてください。当てはまるものをすべて選んでください。現在取り組んでいない場合、過去に取り組んだことが選択肢にある場合は、当てはまるものをすべて選んでください。(複数選択可)(n=542)

11.取り入れている相談体制・サポートは「(内部)ハラスメントについての相談窓口(57.7%)」が最多

Q.現在取り入れている相談体制・サポートについて教えてください。当てはまるものすべて選んでください。(複数選択可)(n=542)

Q.今後取り入れたい相談体制・サポート(取り入れていないが、必要と感じるサポート)について教えてください。当てはまるものすべて選んでください。(複数選択可)(n=542)

12.看護師の教育・研修について課題を感じている事業者は85.1%、訪問看護ステーションは9割超

Q.看護師の教育・研修についてどの程度課題を感じているか教えてください。(n=542)

Q.看護師の教育・研修の課題・お困りごとについて教えてください。当てはまるものをすべて選んでください。(複数選択可)(n=542)

【調査概要】

「医療機関・介護施設に聞いた看護師の働き方に関する意識調査2025」

・実施期間:2025年3月3日(月)~2025年3月31日(月)

・調査対象:全国の病院、クリニック、訪問看護ステーション、介護施設等看護師の勤務先の管理者、人事担当など

・回答総数:542名

・調査方法:Webを使用したアンケート

(調査の詳細に関しては別途資料がありますので、お問い合わせください。)

■看護師への調査

2025年5月20日公表:https://www.bm-sms.co.jp/news-press/prs_20250520_nurse-research/

2024年5月10日公表:https://www.bm-sms.co.jp/news-press/prs_20240510_nurse-research/

2023年3月9日公表:https://www.bm-sms.co.jp/news-press/prs_20230309_nurse-research/

2022年2月3日公表:https://www.bm-sms.co.jp/news-press/prs_20220203_nurse-research/

※1,2,4:当社発表「看護師の働き方に関する意識調査2025」(https://www.bm-sms.co.jp/news-press/prs_20250520_nurse-research/)より

※3:当社発表「看護師の働き方に関する意識調査2025」(https://www.bm-sms.co.jp/news-press/prs_20250520_nurse-research/)より、転職後の働き方の希望の最多は「常勤(日勤のみ)(54.5%)」という結果

【「ナース専科 転職」について】

施設種類や診療科目、働き方など希望条件に合う事業所を専任のキャリアパートナーが紹介。求められる事業者への就業機会提供や最適マッチングで、良いキャリア形成を支援。

URL:https://www.nursejinzaibank.com/

【「ナース専科」について】

悩み相談ができる掲示板や最新の看護・医療ニュース、看護師国家試験対策などのスキル・キャリアアップ情報を提供。看護師・看護学生のキャリア形成をサポートしています。

URL:https://media.nurse-senka.jp/

【株式会社エス・エム・エスについて】

2003年創業、2011年東証一部上場、2022年4月より東証の市場区分変更によりプライム市場へ移行。「高齢社会に適した情報インフラを構築することで人々の生活の質を向上し、社会に貢献し続ける」ことをミッションに掲げ、「高齢社会×情報」を切り口にした40以上のサービスを開発・運営しています。

名称:株式会社エス・エム・エス

所在地:東京都港区芝公園2-11-1住友不動産芝公園タワー

代表者:代表取締役社長 後藤夏樹

会社設立:2003年4月

資本金:25億5,172万円(2025年3月31日現在)

従業員数:連結4,528人、単体3,049人(2025年3月31日現在)

事業内容:高齢社会に求められる領域を、医療・介護/障害福祉・ヘルスケア・シニアライフと捉え、価値提供先であるエンドユーザ・従事者・事業者をつなぐプラットフォームとしての情報インフラを構築し、40以上のサービスを展開

URL:https://www.bm-sms.co.jp/

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会社概要

株式会社エス・エム・エス

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URL
https://www.bm-sms.co.jp/
業種
サービス業
本社所在地
東京都港区芝公園2-11-1 住友不動産芝公園タワー
電話番号
03-6721-2400
代表者名
後藤夏樹
上場
東証プライム
資本金
25億5172万円
設立
2003年04月