アパレル・ファッション業界専門の転職支援サービス「クリーデンス」 アパレル・ファッション業界の「求人動向」を調査
新型コロナウイルスの影響で、多くの職種は求人数が減少。 一方で、ECサイト運営などを行う「EC関連職種」は堅調
■詳細:https://www.crede.co.jp/contents/news/796_crede_journal.html
調査トピックス ・求人全体の雇用形態の割合は、前年同月比で正社員+7.1ポイント、契約社員-7.9ポイント、 業務委託契約は+0.7ポイント(P.2) ・新型コロナウイルスの影響を受け、全職種の求人数は前年同月比で-25ポイント 正社員の求人数は-17.1ポイント、契約社員の求人数は-44.8ポイントと大幅に減少(P.2) ・新型コロナウイルスの影響を最も受けたのは「パタンナー」次いで「店長・販売」 求人数は、前年同月比で「パタンナー」-58.7ポイント、 「店長・販売」-38.2ポイント(P.3,5) ・「EC・通販関連」は新型コロナウイルスの影響を受けにくく、求人数は7職種のうち唯一横ばい さらに、前年同月比では+3.1ポイントと微増する結果に(P.6) |
<調査概要>
2019年6月〜2020年8月までに「クリーデンス」が受領した求人データをもとに算出
■求人動向の解説
アパレル・ファッション業界が新型コロナウイルスによって受けた打撃は大きく、2020年2月以降、求人数は大幅に減少。前年同月と比較して、75%ほどになっています。
リーマンショック時は、金融危機から派生して企業業績や消費が落ち込んだため、どの職種も満遍なくマイナス影響が出たといえます。しかし、今回は職種によって影響の度合いが異なります。感染拡大防止対策として外出自粛が求められたことなどから、特に影響を受けたのは店舗の販売職です。その一方で、在宅時間が増えたことにより、EC関連の需要が高まるなどプラスの影響を受けた職種もあります。例えば、ECサイトの構築・運用を行うEC関連職種やデジタルマーケティングなどを行う職種では、新型コロナウイルス流行前と比較してニーズが高まっています。さらに、多くの企業がコスト削減や予算の見直し、事業整理などの課題を抱えていることを背景に、経営管理系職種でも採用を強化する動きが見られています。
■今後の予測
採用市場は、7月を境に徐々に回復傾向にあり、来年3月頃までは緩やかに回復基調と言えます。また、来年4月以降は、企業によって回復レベルが高くなると想定されます。しかし、リーマンショック時は、それ以前の状態に戻るのに3年以上かかったように、今回も新型コロナウイルス流行前の状態に戻るには同等もしくはそれ以上の期間がかかるのではないかと考えています。(クリーデンス 事業責任者 河崎 達哉)
■【全職種】雇用形態の割合および求人数の推移
<雇用形態の割合>
2020年6月~8月期の求人全体の雇用形態の割合は、前年同月比で正社員+7.1ポイント、契約社員-7.9ポイント、業務委託契約は+0.7ポイントで、正社員採用の求人割合は増加傾向にあることが判明しました。(グラフ①)ただし、増加の理由は、新型コロナウイルス流行前後で変化しています。2019年12月頃までは、売り手市場に伴った企業側の就業条件の改善が主な理由でしたが、2020年3月以降は、契約社員採用の求人数減少が正社員採用のそれを上回ったことが主な理由となっています。
<求人数の推移>
求人数は、正社員採用においては2019年11月以降、契約社員採用においては2020年2月以降、右肩下がりとなっています。(グラフ➁)新型コロナウイルス感染症が確認されていなかった2019年6月~11月期にかけては、長年課題となっていた労働力不足を背景に、採用活動を活発に行う企業が多く、求人数は増加しました。
しかし、2020年に入ると海外で新型コロナウイルスが流行し始めたことにより、外資系企業の採用活動が停止し、2019年12月~2020年2月期の求人数は微減しました。さらに、2020年3月以降は日本でも新型コロナウイルスが流行し、求人数は大幅に減少しました。これは、緊急事態宣言により店舗の休業が余儀なくされたことや、外出自粛によりアパレル製品を購入する頻度が減ったことなどを背景に、多くの企業の業績が悪化し、採用活動を中断せざるを得ない状況になったためと言えます。特に、契約社員の求人数は減少幅が大きく、2020年6月~8月期の求人数は、前年同月比で-44.8ポイントとなりました。
<今後の見通し>
今後の求人動向は、徐々に回復していくとみられます。特に、ECの売上比率拡大に伴い、サイト構築やデジタルマーケティングを行う人材や、業務効率化・コスト削減を推進するため、データ活用やオートメーション化の知見がある人材の採用ニーズは高まり続けると言えるでしょう。また、早急な立て直しを迫られている企業が多いため、商品企画・販売計画を行う「MD」、売れ行きを左右する商品を作り出す「デザイナー」などを求める企業も増加すると考えられます。
■【職種別】雇用形態の割合および求人数の推移(デザイナー、パタンナー)
<デザイナー>業績回復を狙う企業でデザイナーを採用する動きが見られ、求人数は下げ止まり傾向に
「デザイナー」の雇用形態の割合は、前年同月比で正社員+4.5ポイント、契約社員-10.3ポイント、業務委託契約+5.8ポイントでした。(グラフ③)
緊急事態宣言が出された4月を含む2020年3月~5月期は、それ以前と比べて求人数が減少しているものの、以降はほぼ横ばいとなっています。(グラフ④)また現在では、事業の回復を狙い新しくデザイナーを募集する動きも見られ、求人数は下げ止まりとなるでしょう。
<パタンナー>不況のあおりを受け、自社採用から外注に切り替える企業が増加
「パタンナー」の雇用形態の割合は、前年同月比で正社員+27.1ポイント、契約社員-16.2ポイント、業務委託契約-10.9ポイントでした。(グラフ⑤)
パターン作成は専門性が高い業務である一方、生産と合わせて海外工場に依頼することも可能なため、業績が落ち込むと自社での「パタンナー」職採用を停止し、外注する傾向が高まります。新型コロナウイルスの流行により、海外工場にパタンナー業務を依頼する企業が増加し、求人数は前年同月比で6割程度減少しました。パターンにこだわりのあるデザイナーブランドなどでは、引き続き自社で募集をしているケースもあり、2020年6月~8月期の正社員の求人は増加しました。(グラフ⑥)
■【職種別】雇用形態の割合および求人数の推移(MD・バイヤー、プレス・販売促進)
<MD・バイヤー>コロナ禍において、EC専門の「MD」や「バイヤー」を求める企業が増加
「MD・バイヤー」の雇用形態の割合は、前年同月比で正社員+7.7ポイント、契約社員-9.9ポイント、業務委託契約+2.2ポイントでした。(グラフ⑦)
例年秋ごろは、来期を見据え、「MD」の採用を強化する企業が多く、2019年9月~11月期は求人数が大きく増加しました。その後、採用活動が落ち着いたことや新型コロナウイルスの流行を要因に、求人数は右肩下がりとなりました。しかし、ECの売上が好調に推移したことにより、EC専門の「MD」「バイヤー」を求める企業が増加し、求人数は前年同月比で-15.1ポイントに留まりました。(グラフ⑧)
<プレス・販売促進>EC化率の上昇に伴い、デジタルマーケティングなどのニーズが高まる
「プレス・販売促進」の雇用形態の割合は、前年同月比で正社員+6.2ポイント、契約社員-8.7ポイント、業務委託契約+2.6ポイントでした。(グラフ⑨)
これらの職種は、知名度向上や売上拡大に必要なポジションであるため、求人数の下げ幅は他職種と比較して緩やかになっています。(グラフ⑩)雑誌社との打ち合わせや商品のリース対応を行う「プレス」の求人は減少したものの、新型コロナウイルスによってECの需要が加速したことで、デジタルマーケティングやデジタル戦略の組み立てを行う「販売促進」の求人は増加したことが要因と考えられます。
■【職種別】雇用形態の割合および求人数の推移(営業、店長・販売)
<営業>新規出店を視野にいれる企業は少なく、求人数は減少傾向に
「店舗・営業開発」の雇用形態の割合は、前年同月比で正社員+13.1ポイント、契約社員-14.3ポイント、業務委託契約+1.2ポイントでした。(グラフ⑪)
新型コロナウイルス流行下で新規出店を考える企業は少なく、2020年3月~5月期以降、求人数は減少しました。(グラフ⑫)しかし、ECの運用がされていない外資・ラグジュアリー企業を中心に、実店舗の売上向上に不可欠な「スーパーバイザー」や「エリアマネージャー」は、採用ニーズが戻りつつあります。
<店長・販売>新型コロナウイルス流行後の求人数は、流行前の約半数に。今後は特定のスキルが求められる
「店長・販売」の雇用形態の割合は、前年同月比で正社員-3.1ポイント、契約社員+3.1ポイントでした。(グラフ⑬)
緊急事態宣言によって店舗を休業せざるを得ない状況になり、2020年3月~5月期は「店長・販売」の求人数が激減しました。(グラフ⑭)「店長・販売」は、新型コロナウイルス流行以降、売り手市場から買い手市場への変化が顕著になっています。そのため現在は未経験採用を行う企業は少なく、顧客に高い付加価値を提供できる、SNSの発信力に長けている、マネジメント経験があるなど、スキルを持った人材を採用する傾向が高まっています。
■【職種別】雇用形態の割合および求人数の推移(生産管理、EC・通販関連)
<生産管理>コスト削減、生産性向上に取り組む企業が増加。今後はオートメーション化が加速
「生産管理」の雇用形態の割合は、前年同月比で正社員+11.5ポイント、契約社員-12.9ポイント、業務委託契約+1.4ポイントでした。(グラフ⑮)
求人数は、新型コロナウイルスの流行をきっかけに減少しています。(グラフ⑯)また、コロナ禍において、コスト削減、生産性向上に取り組む企業が増加したこともあり、「生産管理」のみ行う求人は今後も減少傾向にあります。一方で、在庫管理などをオートメーション化する動きは加速し、ITに関わる求人は増加すると考えられます。
<EC・通販関連>新型コロナウイルスが追い風となり求人数は堅調。サイト運営に関わるニーズが高まる
「EC・通販関連」の雇用形態の割合は、前年同月比で正社員+0.5ポイント、契約社員-0.5ポイントでした。(グラフ⑰)
2019年12月以降、ほとんどの職種で求人数が大幅に減少するなか、「EC・通販関連」の求人数は横ばいでした。さらに、前年同月比は+3.1ポイントと微増する結果となりました。(グラフ⑱)その要因として、消費行動の変化によるEC売上比率が増加し、EC事業に注力する企業が増加したことが挙げられます。「EC・通販関連」のなかでも、特にサイト運営に関わる職種のニーズは高くなっています。
■解説者プロフィール クリーデンス 事業責任者 河崎 達哉(かわさき たつや)
1984年、兵庫県生まれ。
2008年、株式会社インテリジェンス(現社名:パーソルキャリア株式会社)入社。
キャリアアドバイザーとして、IT・ウェブ領域や金融、医療を担当。また、さまざまな業界のハイクラス層の転職も支援。これまでに支援した転職希望者は、1,500名を超える。
キャリアアドバイザー部門のゼネラルマネジャーを経て、2019年4月からは「クリーデンス」の事業責任者として、アパレル・ファッション領域の人材サービスをけん引している。
■「クリーデンス」について< https://www.crede.co.jp/ >
「クリーデンス」は、パーソルキャリア株式会社が運営するアパレル・ファッション業界専門の転職支援サービスです。2001年のサービス開始より「ファッションは、人が創る。」を理念に掲げ、ファッションの世界に携わるすべての人たちが、それぞれの持つ能力を充分に活かせるような環境の実現を目指しています。時代の感性をリアルタイムで捉えながら、ファッション業界を支える“人”に関する情報を独自の視点で収集・発信し、業界全体が常にいきいきとしたワークフィールドであり続けるために貢献します。
■パーソルキャリア株式会社について< https://www.persol-career.co.jp/ >
パーソルキャリア株式会社は、-人々に「はたらく」を自分のものにする力を-をミッションとし、転職サービス「doda」やハイクラス人材のキャリア戦略プラットフォーム「iX」をはじめとした人材紹介、求人広告、新卒採用支援等のサービスを提供しています。2017年7月より、株式会社インテリジェンスからパーソルキャリア株式会社へ社名変更。グループの総力をあげて、これまで以上に個人の「はたらく」にフォーカスした社会価値の創出に努め、社会課題に正面から向き合い、すべての「はたらく」が笑顔につながる社会の実現を目指します。
■「PERSOL(パーソル)」について< https://www.persol-group.co.jp/ >
パーソルグループは、「はたらいて、笑おう。」をグループビジョンに、人材派遣サービス「テンプスタッフ」、転職サービス「doda」、ITアウトソーシングや設計開発など、人と組織にかかわる多様なサービスを展開しています。
また、人材サービスとテクノロジーの融合による、次世代のイノベーション開発にも取り組んでおり、市場価値を見いだす転職サービス「ミイダス」、ITイベント情報サイトおよびイベント&コミュニティスペース「TECH PLAY」、クラウド型モバイルPOSレジ「POS+(ポスタス)」などのサービスも展開しています。
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