チェック・ポイント・リサーチ、摘発された情報窃取型マルウェア「Lumma」の開発者が活動再開に向けて積極的に対応を進めていることを確認
サイバーセキュリティソリューションのパイオニアであり、世界的リーダーであるチェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ(Check Point® Software Technologies Ltd.、NASDAQ: CHKP、以下チェック・ポイント)の脅威インテリジェンス部門であるチェック・ポイント・リサーチ(Check Point Research、以下CPR)は、今年5月に法執行機関に摘発された情報窃取型マルウェア「Lumma」の開発者が、活動の復旧と通常業務の再開に向けて積極に対応を進めていることを確認しました。
主な調査結果
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今回の摘発によってLummaインフォスティーラーのインフラは大きな打撃を受けましたが、ロシア国内にあるインフラの大部分については、恒久的な影響は与えられなかったと考えられます。
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Lummaの開発者たちは、活動の復旧と通常業務の再開に向けて積極的に対応を進めています。
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Lummaインフォスティーラーの評判は著しく損なわれており、今後の活動再開においては、技術的な課題よりも信頼回復が重要な要素となることが予想されます。
2025年5月21日、ユーロポール、FBI、Microsoftは、その他官民パートナーと連携し、Lummaインフォスティーラーの活動を停止させる共同作戦を発表しました。現在最も多発している情報窃取マルウェアの一つとされるLummaは、マルウェア・アズ・ア・サービス(MaaS)モデルで配布されています。一般的なサイバー犯罪者が認証情報を窃取するために使用するだけでなく、Lummaは、Scattered Spider、Angry Likho、CoralRaiderなどいくつかの著名な脅威アクターグループの攻撃ツールの一部として確認されています。
ダークウェブにおける摘発作戦
関係者によると、このテイクダウン作戦は5月15日に開始されました。その日、Lummaの顧客は、マルウェアのC2サーバーや管理ダッシュボードにアクセスできないと訴え、このインフォスティーラーの宣伝をしているダークウェブフォーラムに殺到しました。

Lummaの開発者は、5月23日金曜日に公式回答を発表しました。その内容は、Lummaのドメインのうち約2,500個が法執行機関によって押収または削除されたことを認めるものでした。
Lummaの開発者によると、捜査当局は地理的な理由からLummaのメインサーバーを物理的に押収することはできなかったものの、iDRAC(Integrated Dell Remote Access Controller)の未知の脆弱性を悪用して、サーバーへの侵入に成功しました。これにより、サーバー本体とそのバックアップデータが完全に消去されました。Lummaの開発者は顧客のIPアドレスを記録していなかったと述べていますが、当局はLummaの利用者の認証情報とデジタルフットプリントを収集するための偽のログインページを作成していました。さらに、利用者のウェブカメラへのアクセスを試みるJavaScriptコードも仕込まれていたことが判明しています。


Lummaの今後
サイバー犯罪フォーラムでは、Lummaインフォスティーラーの将来について意見が分かれています。今回の摘発作戦によるダメージが深刻なため、Lummaはサービスを完全に停止するか、少なくとも非公開化(公開での宣伝を終了し、口コミによるマーケティングと顧客審査に戻る)に移行するという見方があります。一方で、今回の摘発作戦は長期的な影響を与えないだろうという見解も存在します。

Lummaの開発者たちは、すでに運営を再開したと主張しています。複数のサイバー犯罪者たちがテレグラム上のやりとりを公開しており、開発者は、Lummaの関係者は逮捕者は出ておらず、「すべてが復旧し、通常通り稼働している」と述べているとのことです。

さらに、このマルウェアのインフラを詳しく調査したところ、ロシアに登録されているC2サーバーは無効化されていないことが判明しました。

Lummaインフォスティーラーが完全に停止していないことを示すもうひとつのサインとして、侵害されたコンピューターから窃取された情報がオンライン市場に出回り続けているという事実があります。例えば、摘発作戦の2日後、Lummaによって窃取された認証情報を販売する自動化されたテレグラムボットが、41カ国から集めた95件のログを売りに出していました。5月29日時点で、同ボットには406件のログが掲載されており、着実に増加していることが確認されています。

加えて、ロシア市場向けにインフォスティーラーのログをオンラインで販売している集中型ショップには、摘発作戦の実行日以降もLummaに感染したコンピューターからのデータが含まれています。

LockBitランサムウェアを摘発したオペレーション・クロノス(Operation Cronos)で見られたように、サイバー犯罪と戦う法執行機関は、脅威アクター間の不信感を醸成するために心理的プレッシャーをかけることがよくあります。LockBitの摘発作戦時に、当局はLockBitのリークサイトを侵害し、彼らのリーダーの身元を公表することを予告するカウントダウンタイマーを仕掛けました。
Lummaの摘発作戦では、法執行機関 はLummaのメインのテレグラムチャンネルにメッセージを投稿し、管理者とアフィリエイトがすでに当局に情報を提供していると主張しました。また、乗っ取られた管理パネルに仕込まれたJavaScriptスニペットは、利用者のウェブカメラで写真を撮影すると称していましたが、これも心理的な揺さぶりだった可能性があります。実際、脅威アクターたちがこのJavaScriptのコードを詳細に分析したところ、コードは非常に初歩的で正常に動作しないものだったことが判明しています。



結論
Lummaインフォスティーラーに対する摘発作戦は成功したものの、CPRは、Lummaの開発者が情報窃取活動を完全に復旧させ、通常業務を再開しようとする大規模な取り組みを確認しています。真の問題は、Lummaの技術的な性能へのダメージ以上に、Lummaのブランドと評判にどれほどダメージが与えられたかという点です。法執行機関による心理的攻撃により、アフィリエイトや顧客の間に広がった不信感は、過去の同様の事例からも分かるように、容易に払拭できるものではありません。
本プレスリリースは、米国時間2025年5月29日に発表されたブログ(英語)をもとに作成しています。
Check Point Researchについて
Check Point Researchは、チェック・ポイントのお客様、脅威情報コミュニティを対象に最新のサイバー脅威インテリジェンスの情報を提供しています。チェック・ポイントの脅威インテリジェンスであるThreatCloud AIに保存されている世界中のサイバー攻撃に関するデータの収集・分析を行い、ハッカーを抑止しながら、自社製品に搭載される保護機能の有効性について開発に携わっています。100人以上のアナリストや研究者がチームに所属し、セキュリティ ベンダー、捜査当局、各CERT組織と協力しながら、サイバーセキュリティ対策に取り組んでいます。
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