サンスター、ハミガキおよび洗口液の防腐効果をAIにて予測するモデルを開発
~日本防菌防黴学会 第50回年次大会にて発表~
本研究成果を「日本防菌防黴学会 第50回年次大会」(2023年8月29日(火)~8月30日(水)、於:千里ライフサイエンスセンター)にて発表いたしました。
◆研究の背景・目的
生活環境中には様々な微生物が存在しており、これら微生物が意図せず製品に混入した際に、製品の腐敗を防ぐ効果を防腐効果と言います。ハミガキおよび洗口液の処方開発においては、製品をお客様が安心してお使いいただけるよう、適切な防腐効果を持たせる必要があり、その効果を確認するために、防腐効力試験を実施しています。この試験では、細菌や真菌といった微生物を製品へ添加し、定期的に菌数を計測しますが、これには微生物に関する専門的な技術や経験が必要とされ、試験期間も約1カ月必要となります。従って、実施に多大な労力と時間が費やされることが課題でした。
近年、AIを用いて、過去に収集した大量のデータに基づき、将来の結果を予測する予測分析手法が様々な分野で活用されています。この手法を用いて、ハミガキおよび洗口液の処方情報から、防腐効果を予測することができれば、試験にかかる労力・時間・費用を大幅に削減することができ、迅速かつ効率的な製品開発が可能になります(図1)。そこで本研究では、AIを用いた予測分析手法により、ハミガキおよび洗口液の処方情報から防腐効果を予測するモデルの開発を試みました。
◆研究概要
予測モデルの作成には、AI予測分析ツール「Prediction One」(ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社、URL:https://predictionone.sony.biz/)を活用しました。予測モデル作成のための学習データには、これまでサンスターで蓄積した大量のハミガキおよび洗口液の処方情報ならびに、それに紐づく防腐効力試験結果を用意し、ハミガキおよび洗口液それぞれについて、細菌類と真菌類に対する防腐効果を予測するモデルを開発しました。本モデルの予測精度の検証を行ったところ、ハミガキでは予測判定の正解率が細菌類で91%、真菌類で92%、洗口液では正解率が細菌類で80%、真菌類で91%となり、非常に予測精度の高いモデルの作成に成功しました。また本モデルの有用性を検証するため、学習に使用していない試作品(ハミガキおよび洗口液、計8検体)について、防腐効果を予測させたところ、全ての試作品で実際の防腐効力試験の結果と予測した結果が一致し、防腐効果予測の実使用においても非常に有用であることが示されました。
◆今後の展望
本研究により、AIを用いることで、製品の処方情報から高い精度で防腐効果を予測できることを確認しました。本モデルを製品の開発段階で活用することで、製品開発の迅速化および効率化につながることが期待できます。
サンスターは予測モデルのさらなる精度向上を目指して研究を続け、これからもお客様に安心して使っていただく製品の開発を進めてまいります。
<学会タイトルと著者>
演題:AIを用いた歯磨剤・洗口液の防腐効力予測モデルの開発
発表者:渡邊 孝樹、植村 卓、中島 靖夫、坂根 慎治
サンスター株式会社 研究開発統括部
【サンスターグループについて】
サンスターグループは、持株会社サンスターSA(スイス・エトワ)を中心に、オーラルケア、健康食品、化粧品など消費者向けの製品・サービスをグローバルに統括するサンスター・スイスSA(スイス)と、自動車や建築向けの接着剤・シーリング材、オートバイや自動車向け金属加工部品などの産業向け製品・サービスをグローバルに統括するサンスター・シンガポールPte.Ltd.(シンガポール)を中核会社とする企業グループです。
100年mouth 100年health
人生100年時代、サンスターが目指すのは、お口の健康を起点とした、全身の健康と豊かな人生。毎日習慣として行う歯みがきなどのオーラルケアは、お口の健康を守り、そして全身の健康を守ることにもつながっています。100年食べ、100年しゃべり、笑う。一人ひとり、自分らしく輝いた人生、豊かな人生を送るためにも、お口のケアを大切にしていただきたいと考えています。今後もお口の健康を起点としながら全身の健康に寄与する情報・サービス・製品をお届けすることで、人々の健康寿命の延伸に寄与することを目指していきます。
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