【東京ガス都市生活研究所 最新レポート】あなたのウチは大丈夫?暖かさの質が冬の健康を左右する!

風邪や感染症対策にもなる「住まいの暖かさと健康の関係」

 世界的な新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、在宅ワークという新しい就業形態が広まるなか、長時間過ごすことになる住まいを「いかに健康で快適な空間にできるか」といった関心が高まっています。
 東京ガス都市生活研究所は2020年9月、これまで実施してきた健康・快適な住まい作りに関する多くの研究をもとに、風邪や感染症対策にもなる「住まいの暖かさと健康の関係」についてのレポートを発行しました。その内容から一部を抜粋してご紹介いたします。

 
  • 風邪・感染症対策には、室内の適度な温度・湿度の保持が大切!

■ 冬の風邪・感染症対策、換気・加湿に加えて大切なものは?

 これから冬に向けて、風邪や感染症対策が重要になってきます。
 東京ガス都市生活研究所が8月上旬に実施した調査では、9割以上の人が、冬に向けて、風邪・感染症に気をつけたいと答えています。

 また、冬に向け「自宅で行いたい住まいの対策」について質問したところ、コロナ対策で注目された「換気」が7割で最も高く、次いで「加湿」が5割となっています(図1)。換気と加湿の2つは、大多数の方が意識していることがわかります。一方、「室内を暖める」ことへの意識は低く3割にとどまっています。
 


■ 効果的に加湿するためには、「室内を暖める」ことが有効

 風邪・感染症対策として、ウィルス除去のための換気がとても大切です。加えて、ウィルスの活性を抑制するために、湿度をある水準に保つことが有効です。

 空気中の水分が少なく、乾燥した環境はインフルエンザウィルスを活性化させ、人の気道粘膜における異物の除去機能も低下させることから、厚労省ではインフルエンザ対策として室内湿度50~60%RHを推奨しています(図2)。


 ここで注目すべきなのが、室温が高いほど空気中に多くの水分を保持することができるという事実です。例えば、同じ湿度表示50%RHでも、室温15℃と25℃を比べると、15℃の場合は、25℃の約半分しか空気中に水分がありません。そのため、加湿とあわせ、室内を暖かく保つ工夫が大切です。

 G.J.ハーパーが実施したウィルスの生存実験によると、目安として室温20℃以上が望ましいという結果が得られています。空気中の水分を保つために、部屋の温度に気を配りながら加湿することが大事なポイントです(図3)。

 
  • 家が暖かいと風邪の発症率が低下!?

 冬の健康には、家の暖かさが重要ということがわかってきましたが、暖房をしているにもかかわらず、寒さが気になったり、寒さを我慢している方も多いのではないでしょうか?ここからは暖かさの質と風邪の関係についてご紹介します。

■室温(空気温度)が同じでも、床や壁が冷たいと、体感温度は低い

 暖かさといえば、室温(空気温度)を思い浮かべる方が多いと思いますが、室温と同じくらい床、壁、天井の温度(表面温度)が重要であると言われています。体感温度は下記の式の通り算定されるので、同じ空気温度でも表面温度が低いと、体感温度が下がり、暖かさの質は低くなってしまします(図4)。

 


■暖かい家は、風邪もひきにくい可能性がある

 最近は、断熱にかかわる建築基準が高くなり、十分な断熱性能を有する住宅も増えてきました。一方、築年数が40年を超える古い住宅は、断熱が不十分で、暖房しているにも拘らず、床、壁、天井の冷たい家が多数を占めています。現状としては、暖かさの質の低い家が多いです。

 さて、家の暖かさを示す指標である「暖かさの得点」は、「風邪の発症率」と相関があることが分かっています。これによると、築40年の寒い家では「風邪の発症率」が63.8%である一方、築5年の暖かい家では35.9%と、約30ポイントも低くなっています。

 また、暖房方式をエアコンなどの気流式から床暖房などの放射式にすると、さらに暖かさの得点が加点され、風邪の発症率は約10ポイントも低くなりました(図5)。同じ断熱性能でも、足元の暖かい家は暖かさの得点が高いためです。とはいえ、本格的な改修を施すことが難しい場合には、まずは各部屋に暖房を配置するなど見直しを行って、暖かい室内環境を保てるように工夫しましょう。

 
  • 床暖房はエアコンよりのどにやさしい!?

■床暖房などの放射式暖房は、エアコンよりせきや痰、喉の痛みが重くなる人の割合が少ない

 エアコンなどの気流式暖房は、暖かい気流を送って暖める暖房です。一方で、床暖房やパネルラジエーターなどの放射式暖房は、気流なしに直接居住者を暖める暖房です。

 リビングで気流式暖房を積極的に使った場合と放射式暖房を積極的に使った場合を比較した結果、放射式暖房は、気流式暖房よりも「喉の痛みが重くなる人」「せきや痰がでる人」の割合が少なく、過ごしやすい環境である可能性が示されました(図6)。


床暖房のメリットについてはこちらもご参照ください
 https://tg-uchi.jp/topics/3778
 
  • 住まいを暖かくすると呼吸器疾患などの基礎疾患やヒートショックのリスクも軽減

■室温は暖かく、18℃以上に!
 寒い住宅は、基礎疾患リスク上昇


■ 足元温度は暖かく、15℃以上に!
 足元温度が低いと高血圧リスク上昇


■脱衣室、廊下、トイレはリビングとそろえて、18℃以上に!
 脱衣室・浴室が寒いとヒートショック(※)の危険大
 ※ 温度の急激な変化が体に与えるショック

 
  • 住まいの空気と暖かさを工夫して、健康・快適な空間に!

 コロナ禍により、ますます関心が高まる住環境に注目し、暖かさの質が健康に与える影響についての知見をご紹介しました。風邪・感染症対策には、換気、加湿を十分に行うことに加え、室内の暖かさとその質を保つことが大切です。

 在宅勤務が一般的に捉えられるようになってきたこの機会に、住空間・執務空間について見直し、工夫してみてください。
 
  • 調査概要や掲載データ等の引用元など、詳しいレポート内容はこちらから

 都市生活レポートは東京ガス都市生活研究所ホームページからのダウンロードが可能です。是非ご覧ください。
 https://www.toshiken.com/report/life59.html
 
  • 東京ガス都市生活研究所

 東京ガス都市生活研究所は、1986年7月に設立されました。社会の変化や都市に暮らす生活者についての多面的な調査・分析をもとに、将来のライフスタイルやニーズを予測し、生活者が豊かな暮らしを創造するための情報を提供すると共に様々な提言を行っています。

 東京ガス都市生活研究所のホームページでは、この他にも様々な研究レポートのダウンロードが可能です。
 https://www.toshiken.com






 
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