子供の読書活動優秀実践図書館として文部科学大臣表彰を豊橋市まちなか図書館が受賞!
外国籍市民や学生による「おはなし会」が特色ある優れた実践として評価されました
豊橋市にあるまちなか図書館では、令和3年の開館以来、新たな気づきや出会いのきっかけをつくる場として、地域の多様な団体と連携した「おはなし会」を開催してきました。
外国籍市民や保育士・教員を目指す学生による絵本の読み聞かせや、全国の図書館でも珍しい「テーマ配架」を生かした空間づくりなど、以下のような取り組みが特色ある優れた実践として評価され、令和6年度の子供の読書活動優秀実践図書館として文部科学大臣表彰を受賞しました。
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英語やポルトガル語、ダリー語も!多言語でのおはなし会の開催
同じフロアにある豊橋市国際交流協会と連携し、毎月、この地域に暮らす外国籍市民をゲストに招いた
「おはなし会」を開催しています。
読み手の母国の暮らしや文化に触れながら、母国語と日本語の両方で絵本の読み聞かせや手遊びを行うなど、子どもが自然と興味を持てるような内容になっています。
英語やポルトガル語をはじめ、アフガニスタンで使われるダリー語など、日常生活ではなかなか聞くことのできない言語もふくめ、これまでに世界16か国、17言語によるおはなし会を開催してきました。
毎回、多くの親子連れが「実際に異文化に触れる機会があって嬉しい」と、多く参加されています。
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地元大学や高校との連携によるおはなし会の開催
保育士を目指す、豊橋創造大学短期大学部幼児教育・保育課の学生や児童文化を研究する学生サークル「愛知大学児童文化研究会」の学生、将来教員を目指す豊橋南高校教育コースの生徒らが読み手となったおはなし会を定期的に開催しています。
コロナ禍に、学生の実習の場が無くなってしまったことからスタートした試みでしたが、好評につき定着し、毎月開催するようになりました。
内容は、読み聞かせや手遊び、パネルシアター、紙芝居など実際に学生たちが考えたプログラム。
子どもたちと年齢の近い学生が読み手となることで、子どもたちの反応も変わり、図書館スタッフによるおはなし会とはまた違った体験となっているようです。
また学生にとっても事前の準備から当日の運営までを体験できる、貴重な実践の場となっています。
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全国的にも珍しい「テーマ配架」により、親子が同じ空間で本を楽しめる読書空間を提供
まちなか図書館では、従来の図書館で使用されてきたNDC(日本十進分類法)ではなく、各ゾーンのコンセプトに沿って資料を並べる独自の「テーマ配架」を行っています。これは全国的にも珍しい試みです。
これにより子供向けの本と、育児書など保護者向けの本を隣り合った棚に配置することが可能になり、親子それぞれが読みたい本を近くで読んだり、探したりできる空間に。
館内は「会話もOK」となっていることから、その場で気兼ねなく読み聞かせをすることも可能。このような読書空間を提供したことにより、平日・休日問わず、多くの親子連れが来館されています。
また、館内の中心にある中央ステップでは子ども向けの上映会を開催。上映作品は、「おしりたんてい」や「はたらく細胞‼」といった⼦どもたちに⼈気の本を映像化したものです。上映会をきっかけに図書館に⾜を運んでもらい、本に興味をもってもらえたらと考えています。
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文部科学大臣賞受賞にあたって、まちなか図書館 種田館長へのインタビュー
質問①:来館者より「今まで気づかなかった、興味がなかった本に気付くようになった」という嬉しい声をいただいているとのことでしたが、コンセプトによって資料をならべる「テーマ配架」にしようと思ったきっかけはありますか
種田館長:まちなか図書館は、これまで図書館を利用したことがないという方にも足を運んでもらえるような場にしたいと考えて、開館前から準備をすすめてきました。図書館で使用しているNDCという分類法は、運営側の私たちにとっては非常に優れた分類法と言えるのですが、図書館に親しみのない方からすると、欲しい情報にアクセスしづらい要因になっているのではないかと考えました。そこで当館では、書店にちかいテーマごとの配架を行い、本棚の前に立ったときに、「こんな本があったんだ!」「いつもは読まないタイプの本だけど、こっちも読んでみようかな」といった新しい本との出会いを楽しんでもらえるような棚づくりを心がけています。
質問②:イベント数が毎月かなり多く、市以外の団体と協力しているイベントも多いイメージですが
(例えば子供のプログラミング教室とのイベントなど)、毎月どのようにイベントを決めていますか?
種田館長:図書館でイベントを行う理由は様々ありますが、大きな目的の一つは利用者への情報提供です。図書館の存在自体が情報提供と言えますが、本を並べて待っているだけでは届けたい層に情報を届けることが難しいと感じています。そのため、地域の人たちが生活レベルで必要としている情報が何かを考えながら、「誰に何を伝えたいのか」を意識してイベントを企画しています。このときに、新着本の棚を見てトレンドを知ったり、本の貸出状況を見て誰がどんなトピックに関心をもっているのかを知ったりと企画のヒントを得ています。そして、本だけでは届けることのできない、人から発信される“生の情報”を届けるために、地域の施設や企業・学校など様々な外部団体の方々にご協力を頂いています。
ほかに、メッセージ等あればお願いいたします!
種田館長:今回、開館から続けてきた「おはなし会」などの取り組みを評価して頂けたということで、とても嬉しく思っています。「子どもの読書活動推進」は図書館の一つの役割と言えますが、そもそも読書という行為は自発的な行動であるため、図書館としてどのようなアプローチをするべきかは悩ましいところです。「おはなし会」ひとつとっても、図書館員が絵本を読み聞かせるスタイルがしっくりくる子もいれば、歌をうたったり体を動かしながら楽しむリトミックのような内容が楽しめる子、エプロンシアターなど視覚をメインに物語を楽しむのが好きな子など、様々だと思います。これからも、いろいろな経験の中でその子にあった読書を楽しみ方に出会えるきっかけをつくれたらと思います。毎月ご協力いただいている連携先の皆様には改めて感謝申し上げます。
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「子供の読書活動優秀実践校・園・図書館・団体(個人)文部科学大臣表彰」について
文部科学省が、平成14年から、国民の間に広く子供の読書活動についての関心と理解を深めるとともに、子供が積極的に読書活動を行う意欲を高める活動を推進するため、特色ある優れた実践を行っている学校・園・図書館、団体・個人に対し、大臣表彰を行っています。
【まちなか図書館ホームページ】
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