慶應義塾とビズリーチ 世界レベルのディープテックスタートアップ創出を目指して連携協定を締結 「慶應版 EIR(客員起業家)モデル」を始動
-世界を変える研究成果を持つ「研究者」と起業をリードする「経営プロ人材」をマッチング-
本連携を通じて、慶應義塾とビズリーチは、世界を変革する可能性を秘めた研究成果を持つ研究者と起業をリードする経営プロ人材のマッチングをはかる「慶應版 EIR(客員起業家)モデル」を構築し、慶應義塾大学発のディープテックスタートアップの起業を支援します。
これにより両者は、将来的にグローバルで活躍できる世界レベルのスタートアップの創出を推進し、慶應義塾は、2026年までに300社のスタートアップ創出を目指します。
1. 日本の経済活性化のため期待される大学発スタートアップ
日本の経済活性化のためのスタートアップへの期待は大きく、2021年までの8年間で国内スタートアップの資金調達額は9倍に増加※1しました。
スタートアップのなかでも、大学発スタートアップは、ディープテック領域を含む研究成果に基づいた先端技術などを事業化する研究成果スタートアップが半数以上※2であるため、イノベーションの担い手として期待を寄せられています。また2021年の国内の大学発スタートアップへの資金調達額は、スタートアップ全体への資金調達額の14%※3を占め、スタートアップ創出において欠かせない存在といえます。
さらにディープテックスタートアップは、テクノロジーを使い世界共通の社会課題の解決を目指すものが多く、グローバルで社会的インパクトを生み出す可能性があります。なお、国内の大学発スタートアップの設立数は、2015年以降増加傾向にありますが、2016年~2020年の5年間における日本の大学発スタートアップ設立数は、米国の2割程度にとどまります※2。
2. 大学発スタートアップの起業には、研究者の研究視点に加えてビジネス視点が必要
2021年に大学発スタートアップにおける資金調達額で全国1位※3となった慶應義塾大学は、過去3年で企業数を2倍以上伸ばし私大トップ※2となりました。さらに同年、実務家教員からなるスタートアップ部門を新設するなど、大学としても本腰を入れて、スタートアップの創出・成長支援に注力する方針へと舵を切りました。スタートアップ部門は、慶應義塾大学関連スタートアップ制度を新たに導入し、本制度の対象となるスタートアップや起業候補に対して経営の三要素である「ヒト・モノ・カネ」に関わるさまざまな支援を提供しています。しかし、これらの支援のなかで、特に「ヒト」の要素に大きな課題を感じています。起業前のフェーズにおいて、研究者に伴走し起業をリードする経営プロ人材がいないことによって、世界を変革する可能性を秘めた研究成果であっても研究フェーズのまま、起業が難しいケースが数多く発生しています。それは、経営プロ人材に直接アプローチする方法が不足していることに起因しています。
3. 慶應義塾とビズリーチが連携し、「慶應版 EIR(客員起業家)モデル」を構築。研究者に伴走し起業をリードする客員起業家をビズリーチ上で公募
このたび、慶應義塾とビズリーチは連携協定を結び、慶應義塾大学発のディープテックスタートアップの創出を推進します。「慶應版 EIR(客員起業家)モデル」を構築し、(1)起業を目指す研究者と副業・兼業の客員起業家をビズリーチ上でマッチングし、(2)ビズリーチの人財活用プラットフォーム「HRMOS(ハーモス)」シリーズを活用した客員起業家のデータベース化を実現します。これにより、起業前フェーズから経営プロ人材に直接アプローチすることが可能となります。
なお本モデルにおける「客員起業家」とは、研究者に伴走しながら起業を目指す経営プロ人材を指します。起業経験者や新規事業立ち上げ経験者など、「0→1」フェーズに必要な事業計画策定、マーケティング、ファイナンス等のスキルを持ち、起業の際には経営者(CEO/COO)のポジションを担うことを想定しています。形態を副業・兼業とすることで、経営プロ人材は転職することなく、大きな可能性を秘めた大学発シーズに起業前から関わることができます。
本モデルを通じて、将来的に、世界を変革する可能性を秘めたディープテックを基盤としたビジネスで、グローバルで活躍できる世界レベルのスタートアップの創出を目指します。
■第1弾、世界初となる光源技術の実用化を目指す物理情報工学科牧英之教授が客員起業家を公募
「慶應版 EIR(客員起業家)モデル」の第1弾として、本日より、最先端の「ナノカーボンを用いた新しい集積光(ナノカーボン光源)デバイス」の世界初の実用化を目指す、慶應義塾大学理工学部物理情報工学科の牧英之教授とともに起業を目指す客員起業家を、副業・兼業限定でビズリーチにて募集します。光源技術はさまざまな産業や生活を支える基盤技術の一つで、牧教授の研究成果は赤外分野で世界を席巻する可能性を秘めています。例えば、ナノカーボン光源を用いた赤外分析装置は、従来の装置に比べ10倍の空間分解能が特徴で、希少物質の探索、新たな医薬品や材料の開発、海洋汚染が懸念されるマイクロプラスチック等の精密な環境分析に役立ちます。またナノカーボン光源は、半導体のようにチップ上に集積でき、分析装置の大幅な小型化を実現できるため、場所を選ばずに家庭などでも赤外技術を活用した環境分析や医療診断等に使える可能性を秘めています。
牧教授は、「この技術を社会実装し世界中の人々の生活を豊かにするために起業を目指していますが、研究者であるため、起業に関する知見や経験はありません。起業には、グローバル展開を見据えたうえで、事業化計画の策定やロードマップ作成、マーケット調査、知財戦略策定、資金調達計画の立案や資本政策の構築、経営チームの組成検討などと、さまざまな実務を遂行する経営プロ人材が必要です。そのため今回、ビズリーチ上で、客員起業家を副業・兼業限定で公募します」とコメントしています。
公募URL:https://www.bizreach.jp/job-feed/public-advertising/6w7dcbq/
■慶應義塾長 伊藤 公平 コメント
「すべての人が『自分の可能性』を信じられる社会をつくる」というミッションを掲げる株式会社ビズリーチ様との連携、誠に喜ばしく思います。今回の連携協定締結は、創立者・福澤諭吉の志と理念を実践するうえでも、非常に価値のある取り組みと考えています。
慶應義塾大学は、1858年、福澤諭吉が江戸に開いた蘭学塾から始まる10学部・14研究科・30の諸研究所を擁する総合大学です。「実学」の重要性を説いた福澤の志と理念を受け継ぎ、世界に誇る一流の研究を育んできました。大学の研究成果を社会に還元する方法は、論文発表、特許出願など様々な形がありますが、研究成果の社会実装の手段の一つとして注目されているのが大学発スタートアップです。大学の貴重な研究シーズを使い、新しいサービスや技術を人々に届けることができます。大学としてスタートアップの創出や成長を支援することは、慶應義塾大学の研究成果を社会に還元する手段を多様化し、研究によって人々の生活を豊かにする機会を増やすことに他なりません。
福澤は、慶應義塾に次のような目的を残しています。
「之を口に言ふのみにあらず、躬行実践、以て全社会の先導者たらんことを欲するものなり」
慶應義塾大学は、2021年にスタートアップ創出支援を使命とする部門を設立しました。躬行実践、今こそ、自らが社会の先頭に立ち、株式会社ビズリーチ様との連携協定の下、学問を糧にした世界で活躍するディープテックスタートアップの創出を促進し、10年後、20年後の社会を創造する時です。慶應義塾は、研究の社会実装を契機とした、全社会の発展の一層の加速化を目指していきます。
■株式会社ビズリーチ 創業者 南 壮一郎 コメント
このたび、慶應義塾様と未来の新産業創出支援を目的とした連携協定を締結でき、大変光栄に思います。また本取り組みは、当社のSDGs達成に向けたサステナビリティプログラム「みらい投資プロジェクト」の取り組みの一環で、特にプロフェッショナル人材の力を必要とする領域を中心に、社会の課題解決を通じてより良い未来の実現を目指すものです。
慶應義塾様とともに、起業を目指す研究者の方々が、起業をリードする経営プロ人材を仲間として招き入れられる仕組みをつくることで、数多くの大学発スタートアップの誕生に寄与できると考えています。一人の力で成し遂げられることには限界がありますが、経営プロ人材を仲間として積極的に巻き込んでいくことが、想像もできないほどの大きな推進力を生み出し、起業というハードルを越え、 さらには世界に羽ばたくスタートアップへの成長につながっていくのではないでしょうか。またわれわれ起業家からしても、大学発シーズに起業前から関わり、事業化を推進する試みはとても魅力的です。しかしこれまでは、事業化を目指す大学発シーズを知る機会や、アクセスできるすべは少なかったのが現状です。
今回の取り組みでは、研究成果を生み出す研究者のニーズと経営プロ人材のキャリアの可能性をつなぎ、未来の新産業への人材の流動化を促すことで、日本の生産性向上に貢献していきたいと考えています。そして、慶應義塾様との取り組みをモデルケースとして、他大学への展開を目指します。
今後も当社は、未来の新産業への投資を通じて、日本全体の社会の課題解決に努めてまいります。
【補足説明】
※1 INITIAL「Japan startup finance」2022年1月25日時点のデータ
METI Journal「スタートアップ創出元年、『5か年計画』で政策をギアチェンジ」
※2 経済産業省「令和3年 大学発ベンチャーの実態等に関する調査」
※3 内閣府「スタートアップ・エコシステムの現状と課題」
■慶應義塾について
慶應義塾は1858年、福澤諭吉が江戸に開いた蘭学塾から始まりました。創立から164年を超え、現在は小学校から大学・大学院までを擁する、日本で最も長い歴史を持つ総合学塾として幾多の人材を輩出しています。学問、とくに「実学」の重要性を説いた福澤の志と理念を受け継ぎ、教育、研究、医療を通じた社会へのさらなる貢献を目指します。
URL:https://www.keio.ac.jp/
■株式会社ビズリーチについて
「すべての人が『自分の可能性』を信じられる社会をつくる」をミッションとし、2009年4月より、働き方の未来を支えるさまざまなインターネットサービスを運営。東京本社のほか、大阪、名古屋、福岡、静岡、広島に拠点を持つ。即戦力人材と企業をつなぐ転職サイト「ビズリーチ」、人財活用プラットフォーム「HRMOS(ハーモス)」シリーズ、OB/OG訪問ネットワークサービス「ビズリーチ・キャンパス」を展開。産業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するさまざまな事業を展開するVisionalグループにおいて、主にHR TechのプラットフォームやSaaS事業を担う。
URL:https://www.bizreach.co.jp/
参考
■株式会社ビズリーチのSDGs達成に向けたサステナビリティプログラム「みらい投資プロジェクト」
2022年2月に始動したビズリーチ初のSDGsプログラムです。教育・官公庁・NPO・新産業など、プロ人材の力を必要とする社会貢献性の高い領域を対象に、ビズリーチがパートナーと共に、社会の課題解決を通じてより良い未来の実現を目指します。本プログラムを通じて、特に、プロフェッショナル人材の力を必要とする3領域「未来のプロ人材育成」「技術開発支援」「新産業創出支援」を中心に取り組んでいます。
すでに、独立行政法人国立高等専門学校機構との次世代IT人材等の輩出に向けた、最先端教育の実現のための「副業先生」の授業をはじめとした民間プロ人材の登用の検証や、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)との宇宙分野を担う人材の拡大を目指す、新たなキャリア教育の実施などを行っています。
■大学発ベンチャーの仕事に興味があるビジネスパーソンは7割、勤務形態は「副業・兼業」希望が最多
「ビズリーチ」の会員を対象に実施した調査※4で、大学発ベンチャーに興味があると回答した人は69.3%にのぼりました。また勤務形態については、「副業・兼業」を希望するビジネスパーソンが最も多く(45.8%)、その理由として「転職せずに、新しい挑戦ができるため(67.7%)」「今後のキャリアにおける、選択肢としての可能性を探るため(61.0%)」があがりました。コロナ禍以降、主体的なキャリア形成の意識が高まるなか、キャリアにおける新たな選択肢の一つとして、大学発ベンチャーに興味を持つビジネスパーソンが多いことが分かります。
※4 調査概要
調査内容:大学発ベンチャーに対する意識
URL:https://www.bizreach.co.jp/pressroom/pressrelease/2022/1213.html
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像