養父市と日立、認知機能の低下を早期発見し、孤立リスク低減や個々のウェルビーイングの向上を支援するヘルスケアチェックサービスを構築
AIなどのデジタル技術を活用した社会的処方の推進により、地域共生社会の実現をめざす

兵庫県養父市(以下、養父市)と株式会社日立製作所(以下、日立)は、高齢化が進む中、対策がより重要となっている「認知症の早期発見」「個々のウェルビーイングの向上」をテーマとして、AIなどのデジタル技術を活用した「ヘルスケアチェックサービス」(以下、本サービス)を構築しました。本サービスは、認知機能の確認と、孤立リスク低減や自身を理解し改善を支援するさまざまな機能を、養父市民向けにWebサービスとして提供するものです。本サービスはマイナンバーカード*1で本人確認のうえ利用可能であり、6月20日より一部の機能を市民の方にご利用いただけます。
具体的には、認知機能の状態*2や自身の「今」の状態と生活環境の状況をチェックする機能、並びにその結果と個人の健康情報などを組み合わせたAI分析により、個人ごとに適する社会参加やつどい場の情報を通知・紹介する機能などを提供します。本サービスを通じて、認知症の早期発見につながる気づきを得ることや、人や社会とのつながりをつくることを支援することで、認知症との共生とポジティブに自分らしく生活できる地域共生社会*3の実現をめざします。
なお、本サービスは、国が主導するデジタル田園都市国家構想交付金(高度AI利用型)の対象として採択された「養父市AIデジタルヘルシーエイジング事業」を活用して、公益財団法人医療文化経済グローカル研究所*4の助言を受けながら構築しました。
*1 養父市は、マイナンバーカードの保有率が、全国1位(特別区・市別2025年4月末時点)。総務省資料:マイナンバー交付状況について
*2 認知機能を確認するものであり医学的診断に代わるものではない。認知症の診断には医療機関での受診が必要。
*3 地域共生社会:地域住民や地域の多様な主体が参画し、世代や分野を超えてつながることで、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともに創っていく社会
*4 公益財団法人医療文化経済グローカル研究所:医療、文化・芸術、経済分野の連携により、健康加齢を促進し、市民の幸福度の向上に向けた調査・研究・提言・支援等の取り組みを行うことを目的に市が設立した法人(本事業には、研究所の医療・医学部門の主任研究員が関与)
■背景
日本では、高齢者の増加に伴い、認知症の患者数が2030年に約523万人(高齢者の7人に1人)に達し、認知症の前段階である軽度認知障害の段階の人も含めると約1100万人を超えると予測されており*5、養父市においても、高齢化の進展にあわせて、認知症の患者数の割合は増加していくと見込まれます。そのような中、医学においては、認知症の発症を促進する14種の危険因子が明らかになるとともに、認知症の新しい治療法も導入され、予防と先進治療が飛躍的に進歩する時代を迎えています。
一方、生活環境や家族形態、地域社会の変化で「つながり」が希薄化し、人々が孤立や生きづらさを感じる状況の中で、養父市では、健康面とあわせて孤立など社会生活面に課題を抱える人に対し、社会とのつながりをつくることで、個々の社会生活環境を改善(ケア)する「社会的処方*6」を市の重点施策として、「つながりで誰もが健康になるまちづくり」をめざし、先進的な取り組みを進めています。
また、養父市と日立は、高齢者を含む多くの市民が有するマイナンバーカード(保有率91.3%)を用いた市民向けデジタルサービスの創出*7に取り組んでおり、今回、新たな市民向けサービスの構築につながりました。
*5 内閣官房 認知症施策推進関係者会議(第2回)、 「認知症及び軽度認知症障害の有病率調査並びに将来推計に関する研究」
*6 社会的処方:薬と同じように「社会とのつながり」を処方し、個々が抱える問題の解決をめざす取り組み
*7 ニュースリリース「養父市と日立、マイナンバーカードを用いた市民サービス創出への取り組みを開始」 2023年11月13日
■本サービスの概要
本サービスは、マイナンバーカードや養父市が独自で発行している「やっぷるカード(ID)」で個人認証を行う市民向けWebサービスとして、本日から一部の機能をご利用いただけます。
主な市民向け機能は、以下の3種です。これらの機能は、2023年度に養父市と日立で構築した「パーソナルデータ連携基盤」*8を用いて官民でパーソナルデータを連携することで実現しました。
*8 パーソナルデータ連携基盤:養父市が市民に紐づくデータを安全に管理しながらサービス間で連携可能とする基盤
①認知機能の気づきチェック
脳の認知機能の状態を確認するとともに、認知症への理解を深めていただける機能を提供します。
・電話でガイダンスの質問に回答することで、認知機能の状態を、AIを活用した音声認識により客観的にチェックする「脳の健康チェック」*9(準備が整い次第提供開始予定)
・自身の認知機能の状態を自分で確認する「認知症の気づきチェックリスト」*10

*9 NTTコミュニケーションズ株式会社の「脳の健康チェック」と連携。
*10 東京都福祉局高齢者施策推進部在宅支援課「知って安心認知症」(令和6年9月発行)掲載のチェックリストを活用
②生活振り返りチェック
心身の健康や生活環境の状況を確認することで自身の生活を振り返り、生活の改善やより良く生きることを考えていただける機能を提供します。
・幸福で満足の行く生活を送るための6項目のチャートでチェック結果を表示し、自身の「今」の状態について理解を促すとともに、援助職者等とのコミュニケーションツールとしても活用できる「ポジティヴヘルス」*11クモの巣チャート(レーダーチャート)
・チェック結果をもとに、医療介護福祉の専門職の市職員への相談につなげる「いきいき生活度チェック」

*11 本機能は、iPH(Institute for Positive HeaIth)提供のくもの巣ツールを参考に公益財団法人医療文化経済グローカル研究所の助言を受けながら構築
③個人ごとにアドバイスなどを提示(あなたへのメッセージ)
個人の①・②の調査結果や、健診・医療・介護などの統計データ、養父市が提供する健康管理アプリのデータなどを、AI技術を用いて分析し、個人ごとに「市からのアドバイス」と「つながる先」(相談先)を提示します。認知機能や社会生活のチェック結果をもとに、必要に応じて専門の窓口につなげるほか、市民に地域活動やつどいの場などを紹介します。

■今後の展開
今後、養父市と日立は、本サービスを活用して社会的処方を推進するとともに、個々の趣味・趣向、ライフスタイルに応じた社会参加に導く提案ができるAIリンクワーカー*12支援システムとすべくブラッシュアップを検討していくことで、市民が健康で豊かな暮らしのできる地域共生社会の実現めざします。また、デジタル技術を活用したまちづくりを継続的に推進し、養父市と同様の課題を抱える他の自治体への展開をめざします。
*12 人のしあわせのために、人や地域・社会資源へのつながりをつくる人 養父市 リンクワーカー について
■関連Webサイト
・日立のスマートシティ:https://www.hitachi.co.jp/Div/jkk/jichitai/smart/
・日立のエリア・データ連携基盤: http://www.hitachi.co.jp/app/data_integration_pf
■日立製作所について
日立は、IT、OT(制御・運用技術)、プロダクトを活用した社会イノベーション事業(SIB)を通じて、環境・幸福・経済成長が調和するハーモナイズドソサエティの実現に貢献します。デジタルシステム&サービス、エナジー、モビリティ、コネクティブインダストリーズの4セクターに加え、新たな成長事業を創出する戦略SIBビジネスユニットの事業体制でグローバルに事業を展開し、Lumadaをコアとしてデータから価値を創出することで、お客さまと社会の課題を解決します。2024年度(2025年3月期)売上収益は9兆7,833億円、2025年3月末時点で連結子会社は618社、全世界で約28万人の従業員を擁しています。詳しくは、www.hitachi.co.jpをご覧ください。
お問い合わせ先
兵庫県養父市
経営企画部 デジタルファースト課
079-662-7605
株式会社日立製作所
公共システム営業統括本部 カスタマ・リレーションズセンタ
[担当:森下、北原]
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