キリン・ファンケル・浜松市の共同研究で、気分・ストレス状態と嗅覚機能の関連を実証
~キリン・ファンケル共同のヒト試験で初の成果。香りで、簡便に気分状態などを可視化するサービス、健康課題を解決する商品開発も目指す~
キリンホールディングス株式会社(社長 磯崎功典、以下キリン)のR&D本部キリン中央研究所(所長 矢島宏昭)は、株式会社ファンケル(社長 島田和幸、以下ファンケル)と静岡県浜松市(市長 鈴木康友、以下浜松市)の三者で、2020年11月から浜松市民を対象とした「嗅覚機能・自律神経活動と気分・ストレスの関連性を探索する調査研究」を実施してきました。
その結果、気分状態やストレス状態が悪い人ほど嗅覚感度が低下していること、ストレス抵抗性や自律神経活動が低い人ほど、特定の香りの同定能力※1が低下していることをヒト試験で確認しました。本研究は、キリン・ファンケル共同のヒト試験で初の成果となります。この成果は、2022年8月22日(月)から8月24日(水)に開催された「2022年度 日本味と匂学会 第56回大会」で発表しました。
その結果、気分状態やストレス状態が悪い人ほど嗅覚感度が低下していること、ストレス抵抗性や自律神経活動が低い人ほど、特定の香りの同定能力※1が低下していることをヒト試験で確認しました。本研究は、キリン・ファンケル共同のヒト試験で初の成果となります。この成果は、2022年8月22日(月)から8月24日(水)に開催された「2022年度 日本味と匂学会 第56回大会」で発表しました。
今回のヒト試験の結果を受けて、日常的な気分状態の評価に、特定の香りを用いた嗅覚機能検査が活用できる可能性が示唆されました。キリン・ファンケルは、嗅覚機能検査のサービス化や、気分・ストレス状態などをサポートする商品の開発を進めることで、お客様が健やかに過ごせる毎日を実現します。
※1 何の香りか分かる力
●研究背景
超高齢化や昨今の社会環境変化などに伴い、精神疾患患者が増加し※2、メンタルヘルスの維持・向上が社会課題となっています。日常生活の中で自身の気分・ストレス状態を把握し、早期に適切な対策をとることが重要ですが、気分・ストレス状態の悪化は自覚しにくく、簡易的な客観指標が少ないことから、日常的に簡便に評価できる方法が求められています。近年の研究では、気分状態の悪化やうつ病などの精神疾患と嗅覚機能が関連していることを示唆する報告が出てきていますが、日本人を対象とした研究は十分ではありません。
キリン・ファンケルは「脳機能」に関する社会課題の解決を目指した共同研究を進めています※3。また、浜松市、同市内の医療機関や大学、参画企業などと共に設立した「浜松ウエルネス・ラボ※4」を通じて、同市民の健康づくりに役立つ取り組みを2020年から展開しています。今回のヒト試験は、気分・ストレス状態の変化を簡便に評価できる方法を探索するとともに、浜松市民に自身の気分・ストレス状態を知っていただく機会をつくり、メンタルヘルスケアの啓発活動へつなげ、「予防・健幸都市浜松」の実現へ貢献することを目指し、2020年11月か
https://www.kirinholdings.co.jp/news/2020/0130_02.html
※4 2020年2月18日リリース「静岡県浜松市に「浜松ウエルネス・ラボ」を設立」
https://www.kirinholdings.co.jp/news/2020/0218_01.html
●研究概要
2020年11月~2021年7月にかけて、浜松市在住の40歳以上75歳以下の男女317名を対象に、嗅覚閾値検査※5と嗅覚同定検査※6にて嗅覚機能の評価を行い、気分状態の質問紙や自律神経測定器を用いて気分・ストレス状態の評価を行いました。その結果、憂うつな気分や不安な気分を抱えている人では嗅覚の感度が低いことや、ストレス抵抗性が低い人では「みかん」の香りを把握する能力が低いこと、自律神経活動が低下している※7人では、「メントール」の香りを把握する能力が低いことが確認されました。これらの結果から、特定の香りを用いることで、日常的な気分状態を簡易に評価できる可能性が示唆されました。
※5 嗅覚の感度を調べる検査で一般的にn-ブタノール、2-フェニルエタノールの香りが用いられる。
本調査ではn-ブタノールで統計的に有意な結果を得た。
※6 何の香りかを分かる力を調べる検査で、今回の試験では12種類の香りの同定能力を評価した。
※7 自律神経活動の指標の1つであるCVRR(coefficient of variation of the RR interval,
交感神経と副交感神経の両機能を反映する指標)で統計的に有意な結果を得た。
今後は、キリンとファンケルが連携して本調査でのエビデンスを活用し、気分・ストレス状態を簡便に可視化できる判定サービスや、健康課題を解決するサプリメントなどの商品開発を目指します。
●「キリン脳研究」について
日本は、4人に1人が高齢者※8の「超高齢社会」となっており、2025年には高齢者のうち5人に1人が認知症になる※9と推計されています。また、昨今の急激な社会環境変化もあり、脳や心の健康増進は大きな社会課題となっています。キリングループでは、脳科学研究を通じて「脳や心の健康」を守り、新たなよろこびを生み出す「キ
※8 内閣府 令和2年版高齢社会白書
※9 厚生労働科学研究費補助金 厚生労働科学特別研究事業.
日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究.
平成26年度総括・分担研究報告書. 2015.
キリングループは長期経営構想「キリングループ・ビジョン2027」を策定し、「食から医にわたる領域で価値を創造し、世界のCSV※10先進企業になる」ことを目指しています。その実現に向けて、既存事業の「食領域」(酒類・飲料事業)と「医領域」(医薬事業)に加え、キリングループが長年培ってきた高度な「発酵・バイオ」の技術をベースにして、人々の健康に貢献していく「ヘルスサイエンス領域」(ヘルスサイエンス事業)を立ち上げ、育成を進めています。ヘルスサイエンス領域では、「免疫」および「脳機能」などを重点領域に定め、さまざまな研究開発を行っています。
キリングループは、自然と人を見つめるものづくりで、「食と健康」の新たなよろこびを広げ、こころ豊かな社会の実現に貢献します。
※10 Creating Shared Valueの略。お客様や社会と共有できる価値の創造。
-記-
1.発表演題名 「中高齢男女において嗅覚機能の低下は抑うつ症状や不安状態と関連する」
2.学会名 「2022年度 日本味と匂学会 第56回大会」
3.発表日 2022年8月22日(月)
4.発表者 キリンホールディングス株式会社 R&D本部 キリン中央研究所
金留理奈、松浦希実、阿野泰久
株式会社ファンケル 総合研究所 清水良樹、雄長誠、坪川雅哉
医療法人共創会 AMC西梅田クリニック 山崎義光
浜松市健康増進課 鈴木久仁厚
※1 何の香りか分かる力
●研究背景
超高齢化や昨今の社会環境変化などに伴い、精神疾患患者が増加し※2、メンタルヘルスの維持・向上が社会課題となっています。日常生活の中で自身の気分・ストレス状態を把握し、早期に適切な対策をとることが重要ですが、気分・ストレス状態の悪化は自覚しにくく、簡易的な客観指標が少ないことから、日常的に簡便に評価できる方法が求められています。近年の研究では、気分状態の悪化やうつ病などの精神疾患と嗅覚機能が関連していることを示唆する報告が出てきていますが、日本人を対象とした研究は十分ではありません。
キリン・ファンケルは「脳機能」に関する社会課題の解決を目指した共同研究を進めています※3。また、浜松市、同市内の医療機関や大学、参画企業などと共に設立した「浜松ウエルネス・ラボ※4」を通じて、同市民の健康づくりに役立つ取り組みを2020年から展開しています。今回のヒト試験は、気分・ストレス状態の変化を簡便に評価できる方法を探索するとともに、浜松市民に自身の気分・ストレス状態を知っていただく機会をつくり、メンタルヘルスケアの啓発活動へつなげ、「予防・健幸都市浜松」の実現へ貢献することを目指し、2020年11月か
ら開始しました。
※2 厚生労働省「患者調査」より 厚生労働省障害保健福祉部作成
※3 2020年1月30日リリース「脳機能をターゲットとした共同プロジェクトを開始」https://www.kirinholdings.co.jp/news/2020/0130_02.html
※4 2020年2月18日リリース「静岡県浜松市に「浜松ウエルネス・ラボ」を設立」
https://www.kirinholdings.co.jp/news/2020/0218_01.html
●研究概要
2020年11月~2021年7月にかけて、浜松市在住の40歳以上75歳以下の男女317名を対象に、嗅覚閾値検査※5と嗅覚同定検査※6にて嗅覚機能の評価を行い、気分状態の質問紙や自律神経測定器を用いて気分・ストレス状態の評価を行いました。その結果、憂うつな気分や不安な気分を抱えている人では嗅覚の感度が低いことや、ストレス抵抗性が低い人では「みかん」の香りを把握する能力が低いこと、自律神経活動が低下している※7人では、「メントール」の香りを把握する能力が低いことが確認されました。これらの結果から、特定の香りを用いることで、日常的な気分状態を簡易に評価できる可能性が示唆されました。
※5 嗅覚の感度を調べる検査で一般的にn-ブタノール、2-フェニルエタノールの香りが用いられる。
本調査ではn-ブタノールで統計的に有意な結果を得た。
※6 何の香りかを分かる力を調べる検査で、今回の試験では12種類の香りの同定能力を評価した。
※7 自律神経活動の指標の1つであるCVRR(coefficient of variation of the RR interval,
交感神経と副交感神経の両機能を反映する指標)で統計的に有意な結果を得た。
●今後の展開
今後は、キリンとファンケルが連携して本調査でのエビデンスを活用し、気分・ストレス状態を簡便に可視化できる判定サービスや、健康課題を解決するサプリメントなどの商品開発を目指します。
●「キリン脳研究」について
日本は、4人に1人が高齢者※8の「超高齢社会」となっており、2025年には高齢者のうち5人に1人が認知症になる※9と推計されています。また、昨今の急激な社会環境変化もあり、脳や心の健康増進は大きな社会課題となっています。キリングループでは、脳科学研究を通じて「脳や心の健康」を守り、新たなよろこびを生み出す「キ
リン脳研究」を進めています。「キリン脳研究」は、キリンならではの発想と技術で脳の健康を守ることを通じ、社会課題の解決に向けて貢献するとともに、一人ひとりが社会の中で、自信や希望、そして気持ちのゆとりを感じながら暮らせるこころ豊かな社会の実現を目指していきます。
※8 内閣府 令和2年版高齢社会白書
※9 厚生労働科学研究費補助金 厚生労働科学特別研究事業.
日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究.
平成26年度総括・分担研究報告書. 2015.
キリングループは長期経営構想「キリングループ・ビジョン2027」を策定し、「食から医にわたる領域で価値を創造し、世界のCSV※10先進企業になる」ことを目指しています。その実現に向けて、既存事業の「食領域」(酒類・飲料事業)と「医領域」(医薬事業)に加え、キリングループが長年培ってきた高度な「発酵・バイオ」の技術をベースにして、人々の健康に貢献していく「ヘルスサイエンス領域」(ヘルスサイエンス事業)を立ち上げ、育成を進めています。ヘルスサイエンス領域では、「免疫」および「脳機能」などを重点領域に定め、さまざまな研究開発を行っています。
キリングループは、自然と人を見つめるものづくりで、「食と健康」の新たなよろこびを広げ、こころ豊かな社会の実現に貢献します。
※10 Creating Shared Valueの略。お客様や社会と共有できる価値の創造。
-記-
1.発表演題名 「中高齢男女において嗅覚機能の低下は抑うつ症状や不安状態と関連する」
2.学会名 「2022年度 日本味と匂学会 第56回大会」
3.発表日 2022年8月22日(月)
4.発表者 キリンホールディングス株式会社 R&D本部 キリン中央研究所
金留理奈、松浦希実、阿野泰久
株式会社ファンケル 総合研究所 清水良樹、雄長誠、坪川雅哉
医療法人共創会 AMC西梅田クリニック 山崎義光
浜松市健康増進課 鈴木久仁厚
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