『敷金・礼金』の動向をLIFULL HOME'Sが調査【近畿圏版】
物価上昇の今、少しでもコストを掛けずに家を借りたい!敷金は全賃料帯において減額傾向で0物件も増加。一方、礼金も減額傾向だが0物件は少数
事業を通して社会課題解決に取り組む株式会社LIFULL(ライフル)(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:伊東祐司、東証プライム:2120)が運営する不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME'S(ライフルホームズ)」は、近畿圏の「敷金・礼金」の最新動向を調査し、発表します。(※1)
物価も家賃も上がる中、「敷金・礼金」の動向は?
現在、売買市場における物件価格は首都圏を中心に過去にない高騰を見せており、それに連動して賃貸物件の賃料も上昇傾向となっています。(※2)物価や電気代などの上昇が続くなか、経済的な不安を抱いている人も多いかと思います。住まいを借りる際、イニシャルコストとして大きな負担になるのが敷金と礼金。そこで、現在の敷金・礼金の動向を調査し、まとめました。
※2:2024年1~3月「LIFULL HOME'Sマーケットレポート」https://lifull.com/news/32569/
<近畿圏版:調査結果サマリー>
【敷金】
賃貸物件の契約の際に、家賃の不払い時などに備え徴収されるお金。
賃貸契約の終了時には、未払いの賃料などがなければ返金されるのが通常です。
敷金0物件の割合
・全賃料帯において増加傾向
・賃料10万円未満の物件は約3/4が敷金0
敷金平均
・全賃料帯において減額傾向
・直近の相場は0.82~1.01ヵ月分。賃料20万円未満の物件では1ヵ月分を下回る
【礼金】
賃貸物件の契約の際に、「賃貸人(大家)へのお礼」を込めて渡すお金。
敷金と異なり、契約が終了しても通常、返金はされません。
礼金0物件の割合
・賃料15万円未満の物件はゆるやかに増加も、15万円以上は停滞
・直近では10万円未満の物件:27.8%、20万円以上の物件:9.9%と礼金0物件は少数
礼金平均
・全賃料帯において減額
・賃料20万円未満の物件は5年間で0.33~0.37ヵ月分の大幅減額
【敷金】の動向について
①「敷金0物件」割合の推移: 全賃料帯において増加傾向。賃料10万円未満は3/4が敷金0物件
LIFULL HOME'Sに掲載された賃貸物件のうち、敷金0(ゼロ)の物件の割合を賃料帯別に出したところ、全賃料帯において増加傾向となりました。特に賃料20万円未満の物件に関してはコロナ禍に入った2020年の伸びが大きく、5類感染症移行後も増加を続けています。
②敷金平均の推移:全賃料帯において減額傾向。賃料20万円未満の物件では平均が1ヵ月分を下回る
LIFULL HOME'Sに掲載された「敷金あり」物件の平均を賃料帯別に算出したところ、全賃料帯において減額傾向となりました。直近の2023年では平均敷金は0.82~1.01ヵ月分となっており、賃料20万円未満の物件では平均が1ヵ月分を下回っています。
【礼金】の動向について
①「礼金0物件」割合の推移:賃料15万円未満の物件はゆるやかに増加も、15万円以上は停滞
LIFULL HOME'Sに掲載された賃貸物件のうち、礼金0(ゼロ)の物件の割合を賃料帯別に出しました。敷金0物件の割合は全ての賃料帯において増加傾向だったのに対し、礼金0物件は賃料帯によって差が出ました。15万円未満の物件では直近でもゆるやかに増加し続けている一方で、15万円以上20万円未満の物件は2023年に減少に転じています。20万円以上の物件も2022年に減少に転じ、2023年に若干の増加がありつつも6年間を通して大きな増減はありません。
賃料10万円未満の物件でも直近(2023年)のシェアは27.8%に留まっており、近畿圏において礼金0物件は少数派といえそうです。
②礼金の平均値の推移:全賃料帯において減額。賃料20万円未満の物件は5年間で0.33~0.37ヵ月分の大幅減額
LIFULL HOME'Sに掲載された「礼金あり」物件の平均を賃料帯別に算出したところ、全賃料帯において直近は減額傾向となりました。中でも賃料20万円未満の物件は2018年からの5年間でそれぞれ0.33ヵ月~0.37ヵ月分と大きな減額となっています。
LIFULL HOME'S総研チーフアナリスト 中山登志朗 考察
敷金は安価もしくはゼロに設定する代わりに礼金は維持したいという賃貸人(大家)側の意向が浮き彫りに
円安を背景としたエネルギー価格、食糧価格の高騰が続き、消費者物価指数(CPI)の上昇が止まりません。日銀のマイナス金利政策が解除されたことで、日本は賃金上昇を伴う本格的な景気拡大局面を迎えたとの見方もできますが、生活者目線では好景気を実感する機会は少なく、生活コストの負担増が重くのしかかっています。トータルの賃貸コストがどれくらい発生するのかについて考慮し、よりコスパの良い賃貸物件を見つけられるように意識したいものです。
敷金は賃貸住宅を借りる際に貸主に預ける保証金(原則として賃料債務の担保)で、契約終了時に賃借人の責に寄る原状回復費用として活用されることもあります(経年劣化など通常使用の範囲であれば原状回復の対象外)。その使用については“修繕費トラブル”として注目されることもあり、賃貸人(大家)からすると使いにくいお金となっていることから、賃料の相場に関わらず契約時に敷金の負担を求めない“敷金ゼロ物件”が増え続けており、特に賃料水準が月額10万円未満の物件では2023年に74.8%と掲載賃貸物件の4件に3件の割合にまで達しています。この割合は賃料水準が高額になるにつれて減少しますが、近畿圏は“敷金ゼロ物件”が明らかに多い状況です。また、近畿圏ではながらく“敷引き”ルールが適用され、もともと敷金の設定額が高かったのですが、コロナ前には平均で1か月を超えていた敷金も、2023年では概ね1か月を割る水準まで低下しています。
一方、礼金は名称の通り賃貸人に物件を貸してもらうお礼の意味で渡されるものですから、契約終了時に返還されません。この礼金については、コロナ前の2019年から “礼金ゼロ物件”のシェアがどの賃料帯でも拡大しましたが、コロナ後の2023年には前年から横ばい推移しています。また、“礼金あり”の物件はコロナ前には月額賃料の2か月分を設定している物件が圧倒的多数を占めていましたが、コロナ禍で徐々に礼金も1か月とする物件が増加し、相対的に礼金の額も下落傾向が顕著です。それでも2023年時点で賃料10万円未満の物件で1.48か月分、賃料20万円以上の物件では1.77か月分と首都圏よりも高額な水準ですから、敷金は安価もしくはゼロに設定する代わりに礼金は維持したいという賃貸人側の意向が見て取れます。
なお、敷金は減額もしくは敷金ゼロとするケースが増えているのですが、最近は敷金の代わりに“クリーニング代”として賃貸物件退去時の費用を契約時に求めるケースが増加しています。物件の原状回復については、故意過失および通常使用の範囲を超えた原因がある場合は賃借人の負担となるルールがありますが、クリーニング代はその基準が不明確で、国民生活センターへの問合せも増えていることから、今後新たな“預り金トラブル”とならないように予め確認する必要があります。
LIFULL HOME'S PRESS記事:https://www.homes.co.jp/cont/press/report/report_00382/
調査概要
対象エリア:大阪府、兵庫県、京都府
対象物件:LIFULL HOME'Sに掲載された居住用賃貸物件
対象期間: 2018年1月~2023年12月
LIFULL HOME'S について(URL:https://www.homes.co.jp/)
LIFULL HOME'Sは、「叶えたい!が見えてくる。」をコンセプトに掲げる不動産・住宅情報サービスです。賃貸、一戸建て・マンションの購入、注文住宅から住まいの売却まで。物件や住まい探しに役立つ情報を、一人ひとりに寄り添い最適な形で提供することで、本当に叶えたい希望に気づき、新たな暮らしの可能性を広げるお手伝いをします。
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