多様なデータ活用を容易にするデータレイクハウス向けに進化した超高速データベースエンジン「HADB」の最新版を提供開始
取引履歴データなどの分析による新サービスの創出や、生成AI学習データの整備の加速、分析データ保管コストの最適化などを支援

株式会社日立製作所(以下、日立)は、多様なデータの活用を容易にするデータレイクハウス向けに進化した、超高速データベースエンジン「Hitachi Advanced Database」*1(以下、HADB)の最新版Version 6を10月1日から提供開始します。
具体的には、データレイクとして一般的に利用されるAmazon S3*2などのオブジェクトストレージ上で、各種データ分析や生成AIの学習などに用いられるオープンテーブルフォーマット*3のデータを、HADBからSQLで直接検索できるようになりました。これにより、データ分析担当者は、データレイク内で分析対象となるデータの事前加工やHADBへの取り込み作業が不要となり、HADB内のデータと合わせた横断的な検索・分析が可能となります。例えば、新サービス創出に向け、さまざまなデータを組み合わせて多角的に分析でき、サービスや取引履歴の分析業務の効率化が図れます。加えて、生成AIを業務に活用する際にも、データレイク内のデータ検索をすばやく行えるため、大量の学習データを早く整備でき、生成AIの学習効率の向上にもつながります。
また、HADBが備える非順序型実行原理*4による並列処理で、一般的に、オブジェクトストレージがブロックストレージに比べてデータの読み出し速度が遅いという点をカバーし、高速なデータ検索が可能です。これにより、データ保管コストの低いオブジェクトストレージを利用しながらも、データウェアハウス水準の高速なデータ分析を実現できます。
さらに、一般的なクラウドサービスは検索データ量に応じた従量課金であるのに対し、HADB最新版では、従来のデータ容量ベースのライセンスに加え、データレイク上のデータを容量制限なく定額で検索できる新しいライセンスも選択できます。これらにより、データ保管コストの最適化にも寄与します。
なお、日立では、2025年度中に、オンプレミス環境や拠点ごとのデータレイクに適したAmazon S3互換オブジェクトストレージ「Hitachi Virtual Storage Platform One Object」を提供開始予定です。これにより、HADBのオンプレミス向けデータレイクソリューションの強化を進めるとともに、データレイク検索のさらなる高度化や今後のAI技術の進化を見据え、ベクトルデータやグラフ構造など、データの意味や属性まで考慮した類似検索技術への対応も行うなどHADBの機能強化を図っていきます。これらの取り組みにより、HADBの高速処理能力をさまざまな分野で活用し、企業のDXの加速を支援していきます。
*1 今回のVersion6提供開始とあわせて、製品名称を「Hitachi Advanced Data Binder」から「Hitachi Advanced Database」に変更。
*2 Amazon Web Servicesが提供するクラウドストレージサービス。
*3 Parquet、Apache Icebergなど各種のデータ形式、および、それらを対象に、SQLなどで直接検索・更新・分析可能とするためのメタデータ管理と トランザクション制御の仕組み。Parquetは列指向でデータ圧縮効率が高く、Apache Icebergはデータの効率的な管理とクエリ処理が可能な点が特長。データ分析や生成AIの学習データなどに活用される。
*4 喜連川 情報・システム研究機構 機構長/東大特別教授、合田 東大教授が考案した原理。
■背景
近年、企業では、新サービスの創出や生成AIを活用した業務効率化に向け、データ利活用の重要性がさらに高まっています。そのため、データ分析担当者は、新サービス創出につながるアイデアを得るため、多様で大量のデータをさまざまな観点から多角的に繰り返し分析しています。その際に必要となる大量のデータは、保管コストの面からオブジェクトストレージを利用したデータレイクに格納されることが一般的です。しかし、分析のたびにデータレイク内のデータを加工し、データベースに取り込む作業が分析担当者の大きな負担となっていました。
日立はこれまで、ビッグデータ利活用の促進を目的に、大量のデータの複雑な分析を高速に実行する非順序型実行原理を備えたHADBを、製造・流通・金融・社会・公共など、さまざまな分野のデータウェアハウスに適用してきました。今回、企業のDXをさらに加速させるため、データウェアハウスのみならず外部のデータレイクに対しても、SQLにより柔軟かつ高速なデータ検索が可能なデータレイクハウスを実現するHADBの最新版を提供します。
■HADB最新版の特長
今回の最新版では、オブジェクトストレージ上のファイルやオープンテーブルフォーマットに対して、SQLによる直接検索が可能になりました。具体的にはAmazon S3などのオブジェクトストレージ上のCSV、JSON、Parquet形式データやApache Icebergテーブルを、データの加工やHADBへの取り込み作業なしで、直接SQLで検索できます。また、オブジェクトストレージのデータ読み出し速度をHADB独自の非順序型実行原理による並列処理でカバーし、高速な検索が可能です。さらに、検索した結果は、HADBの機能により、オブジェクトストレージ上でParquetファイルとして出力できるため、大規模分析ワークロードや機械学習パイプラインに用いられるデータとして手間なく活用できます。これらの特長により、たとえば以下のような複雑な分析やデータ利活用のさまざまな場面で利用可能です。
■HADBの活用例と効果
1:サービスや商品の履歴、購買などのデータ分析の多角化や効率化が容易に
企業が提供したサービスや商品の品質向上などのため、履歴データの追跡・検証や購買データを用いて顧客の傾向分析などを行う際、データレイクからHADBへその都度データを加工して取り込む作業が不要となります。これにより、データレイク内のデータとHADB内のデータを横断的に検索できるため、過去と現在のデータを掛け合わせるなど、より多角的な観点での分析が容易となり、検証や分析、予測の効率化や高精度化などが図れます。
2:生成AIの学習データ加工エンジンとしても利用でき、業務への生成AI活用を促進
データレイクに蓄積したデータを生成AIの学習データとして用いる場合には、学習データはあらかじめETLツールなどで構造化データに変換する作業が必要であり、こうした手間を減らすことが大量のデータをすばやく準備したい生成AIの学習において重要です。
HADBは、データレイク上の学習データをそのまま構造化データとして扱い検索できるため、多くの生成AIがそのまま学習可能なParquet形式へ出力できます。そのため、学習前のデータの加工処理が不要となり、学習データの準備を加速します。これにより、与えるデータの量が品質を左右する生成AIの学習効率を向上でき、業務への生成AI適用を促進します。
3:用途や利用頻度に応じてデータ保管場所を最適化でき、コストを抑えつつ迅速な検索が可能
オブジェクトストレージ上のデータも高速検索でき、デーウェアハウスのデータと横断的な検索が可能です。そのため、期毎や期間別の分析などで用いる利用頻度が低い分析データは、保管コストが安価なデータレイク上に格納し、利用頻度が高く、より高速な検索が求められるデータは、HADBに格納するといった使い分けが可能です。これにより、ストレージコストの最適化が図れます。また、利用頻度が低下したデータをデーウェアハウスからデータレイクへ移した場合でも、監査対応や品質保証などの業務で、急遽データが必要になった際、再度データを取り込まずにHADBから直接SQLで検索できるため、必要なデータを迅速に分析に活用することが可能です。
新製品の価格および提供時期

名称 |
概要 |
標準価格(税別) |
提供開始日 |
Hitachi Advanced Database Version 6 |
外部のデータレイクに対しSQLで直接検索を実現 |
サブスクリプション*5 年額 3,834,000円 ~ |
10月1日 |
*5 買い取り型での提供も可能
Hitachi Advanced Databaseついて
HADBは、大量データの高速かつタイムリーな分析を可能とする標準SQLに対応した国産のリレーショナルデータベースです。本製品は、データ処理可能なところから並列に複数タスクを実行することで、サーバ・ストレージの能力を最大限に使い切る「非順序型実行原理」に基づき、超高速検索処理を可能としています。また、集計や分析に影響を与えない高速データインポート機能により、日々生み出される多様で大量のデータをほぼリアルタイムで反映できるため、お客さまの新たなビジネス価値の創出に寄与します。これらの特長は、パブリッククラウド上でのデータ検索にも活用でき、より柔軟で迅速なデータ分析を実現します。
関連ウェブサイト
超高速データベースエンジン Hitachi Advanced Database
https://www.hitachi.co.jp/data-binder/
商標注記
記載の会社名、製品名などは、それぞれの会社の登録商標もしくは商標です。
お問い合わせ先
株式会社日立製作所
AI&ソフトウェアサービスビジネスユニット マネージド&サービスプラットフォーム事業部
お問い合わせフォーム:https://www.hitachi.co.jp/it-pf/inq/NR/
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