パーソル総合研究所、オンライン研修の実態に関する調査結果を発表 コロナ禍で進む集合研修のオンライン化。企業の75%が増えたと回答
研修の効果を発揮するには事後のフォローが重要だが、企業の34.5%が特に行っておらず課題 成果につながるオンライン集合研修のポイントをまとめたチェックリストも公開
株式会社パーソル総合研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:渋谷和久)は、企業におけるオンライン集合研修の実態に関する調査結果を発表いたします。本調査は、コロナ禍において研修のオンライン化が進む中、より成果につながりやすい研修の在り方を探り、研修担当者に向けて提言を行うことを目的に実施しました。調査結果及び分析を踏まえ、オンライン集合研修のポイントをまとめたチェックリストも作成しています(本リリースの「分析コメント」の欄に掲載)。
- 調査結果概要
多数の従業員に対して研修を一斉に行う「集合研修」について、コロナ禍を受けてどのくらいオンライン化が進んでいるかをみたところ、オンライン集合研修を増やした企業の割合は75.0%であった。企業規模が大きくなるほどオンライン化に積極的な傾向がみられる。
図表1.オンライン集合研修を増やした企業の割合
※増加の判断については調査時点(2021年1月29日~2月10日)の1年前との比較
② 今後のオンライン化の見込み
現時点ですでにオンライン集合研修を実施している企業のうち、今後も既存の研修をオンラインに置き換えていきたい企業の割合は全体平均で80.4%であった。さらに、オンライン集合研修で成果(研修目的の達成・実務への貢献)が得られている企業に限ってみると、その割合は90.0%にも及ぶ。なお、成果が得られていない企業でも65.2%がオンラインに置き換えようとしている。今年度以降もオンライン集合研修は増えていくことが見込まれ、オンラインならではのメリット・デメリット、成果につながりやすい研修の在り方を意識することが重要と考えられる。
図表2.今後、研修をオンラインに置き換えていきたい企業の割合
③ オンライン集合研修のメリット
オンライン集合研修のメリットについて受講者に尋ねたところ、1位は「時間の削減」で31.1%、2位は「スケジュール調整がしやすかった」で27.8%となり、時間面の効率性が上位に挙がった。
図表3.オンライン集合研修のメリットTOP5
④ オンライン集合研修のデメリット
オンライン集合研修のデメリットについて受講者に尋ねたところ、1位は「受け身になりやすかった」で21.0%だった。2位は「受講者同士の交流機会の不足」で19.7%、3位は「受講者同士で関係性が構築できなかった」で17.4%、4位は「発言しづらかった」で16.1%と、リアルな場よりもコミュニケーションしづらい様子が伺える。コミュニケーションを誘発する機会や仕掛けを設けるなど、何かしらの対応が必要と考えられる。
図表4.オンライン集合研修のデメリットTOP5
⑤ 学習目的の達成度
企業の研修担当者に対して、研修の実施形式別に学習目標の達成度を聞いたところ、オンライン集合研修では学習目標を8割以上達成したとの回答割合は46.5%となった。eラーニングでは学習目標を8割以上達成したとの回答割合は32.0%であり、達成度が低い。
図表5.学習目標の達成度
⑥ 企業による研修前後のフォロー
企業によるオンライン集合研修前後のフォローについて実施状況を尋ねたところ、事前学習を特に行わなかったとする回答割合は33.0%、事後フォローを特に行わなかったとする回答割合は34.5%となった(図表6)。研修後のフォローは成果との相関が高いことから、より多くの企業が注力すべきと考えられる(図表7)。
図表6.企業によるオンライン研修前後のフォロー形式
図表7.研修に関する取り組みの実施率と成果との相関
- 分析コメント~集合研修のオンライン化が進む中、成果につながりやすいポイントに留意~(研究員 砂川和泉)
コロナ禍のこの1年間で集合研修のオンライン化が進んだが、本調査結果をみると、今後もさらに進んでいくものと考えられる。研修担当者としては、オンライン集合研修における成果(研修目的の達成・実務への貢献)を高めるポイントをしっかりと押さえておくべきだろう。パーソル総合研究所では、そうしたポイントをまとめたチェックリストを作成したので、ぜひ参考にしていただきたい(図表8)。
調査結果を踏まえて、オンライン集合研修の成果を高める上で、特に注力したいポイントは2つある。1つ目は、研修後に、学んだことを上司と議論したり、実際に実践しているかどうかの確認や振り返りの機会を設けたりすることである。研修後のフォローは成果につながりやすいにもかかわらず、現状では実施している企業が少ない(特に行っていない企業は34.5%も存在する)ことから、多くの企業にとって取り組み余地がある施策である。
2つ目は、オンラインならではの没入感を高める働きかけである。没入感を高めるためには、研修前に研修の意図やメリットを伝えることなどで学習の期待感を高め、適切な難易度の学習内容とし、受講者に受け身にならずにメモを取ってもらうなど能動的な姿勢で受講してもらうことや、「研修中は業務メールを見ない」といった受講者側の意識的な心掛けを促すことが大切である。加えて、オンライン集合研修では、講師のインストラクションが没入感を左右するため、講師がわかりやすい説明で受講者の考えを深めることにも留意したい。また、騒音・雑音が没入感を阻害することから、出社時に受講する場合であれば、会議室を予約するなどして静かに受講できる環境を準備するなど、集中環境を整えることが必要である。
図表8.オンライン集合研修のチェックリスト
※本調査を引用いただく際は、出所として「パーソル総合研究所」と記載してください。
※調査結果の詳細については、下記URLをご覧ください。
https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/research/activity/data/online-training.html
- 調査概要
■【株式会社パーソル総合研究所】<http://rc.persol-group.co.jp/>について
パーソル総合研究所は、パーソルグループのシンクタンク・コンサルティングファームとして、調査・研究、組織人事コンサルティング、タレントマネジメントシステム提供、人材開発・教育支援などを行っています。経営・人事の課題解決に資するよう、データに基づいた実証的な提言・ソリューションを提供し、人と組織の成長をサポートしています。
■【PERSOL(パーソル)】<https://www.persol-group.co.jp/>について
パーソルグループは、「はたらいて、笑おう。」をグループビジョンに、人材派遣サービス「テンプスタッフ」、転職サービス「doda」、ITアウトソーシングや設計開発など、人と組織にかかわる多様な事業を展開しています。グループの経営理念・サステナビリティ方針に沿って事業活動を推進することで、持続可能な社会の実現とSDGsの達成に貢献していきます。また、人材サービスとテクノロジーの融合による、次世代のイノベーション開発にも積極的に取り組み、市場価値を見いだす転職サービス「ミイダス」、テクノロジー人材のエンパワーメントと企業のDX組織構築支援を行う「TECH PLAY」、クラウド型モバイルPOSレジ「POS+(ポスタス)」などのサービスも展開しています。
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